作画問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 01:48 UTC 版)
1982年10月3日に放送開始。しかし、スタッフの経験不足、実験的なデザインや演出、話数削減による再構成などの理由で放送開始前から制作スケジュールは逼迫した。 一応、動画用に細部の省略されたメカの設定書もあったが、当時のテレビアニメ制作では作画のコストや人的リソース面の問題から避けられていた「戦闘機の高速アクション」「登場人物の衣装替え」などの手間のかかるシーンを多用していた。河森は「他のアニメでうまくいった手段は絶対に使いたくなかった」が「やってみたら本当に大変だった」と述べている。 さらに同日スタート予定だった『愛の戦士レインボーマン』の制作が遅れ第1話の当日までの納品が不可能になったことのしわ寄せで、1・2話を連続放送せざるを得ないという不測の事態も追い討ちをかけた。第11話「ファースト・コンタクト」では動画作業が間に合わず原画部分のみを撮影、「アニメーションというよりテレビ紙芝居」と揶揄された。スケジュール苦緩和の一策として、第17話「ファンタズム」は新規作画は一部のみで、既存フィルムを再編集して制作した。 また、「スタープロ」と表記される韓国のスタジオに発注したものは作画レベルが著しく低く、日本での修正が間に合わないまま放送された。このためアートランドの主力スタッフなどが担当したストーリーの構成上重要な「作画の良い回」と、外注分の「作画の悪い回」の差が極端になり、これらが交互に放送されるという混乱した状況が続いた。戦闘シーンの描写もミスがあり、機首からビームを放つなど、本来設定にない武装が描写される戦闘シーンも散見された。配色ミスもたびたび見られ、とくにマックスは、軍服の襟の色が輝と同じになったり、機体色が一般機と同色になるなど、機体や髪、軍服の色が違うことが多い。こうした作画の乱れは不評であったため、ビデオソフト化の際には修正が施された。 その一方で、板野サーカスに代表されるような、アニメ史に影響を残した描写も随所に登場する。とくに、第27話「愛は流れる」におけるデストロイド・モンスターの発進シーケンスの描写はアニメ雑誌[要文献特定詳細情報]でも話題となり当時の視聴者をうならせた。モンスターは画面上で歩かない前提のデザインだったが、新人時代の庵野秀明が3か月を費やして格納庫の床を踏み抜くワンカットを描いた。 その他の事情として石黒監督によると、美樹本のキャラクターデザインへの抜擢が他スタッフの反発を呼び、「こんな素人の描いたもの(キャラクター)は描けない」とアートランドのアニメーターの大量離脱を招き、人手不足に拍車をかけたという。
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