初期の作画崩壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 17:32 UTC 版)
1963年のテレビアニメ『鉄腕アトム』は日本初の30分の連続テレビアニメとして知られるが、その反面スケジュールが追い付かず、制作が間に合わなくてフィルムをツギハギして1話分を作り上げたり、再放送を挿入したりなどのことが頻発していた。そんな中、手塚治虫は第34話「ミドロが沼の巻」をスタジオ・ゼロという制作会社にグロス請けを依頼したことがある。しかし、作画を担当した鈴木伸一・石ノ森章太郎・藤子・F・不二雄、藤子不二雄A・つのだじろうなどのアニメーター毎に作画のばらつきが顕著で、これを見た手塚が無言になるほどの出来だったとされる。 1974年のテレビアニメ『チャージマン研!』は、当時の30分アニメ1話あたりの平均的予算が400 - 500万円前後とされていた中で50万円という低予算であったため、制作側もスタッフが勝手に海に遊びに行くなど熱意が無く、低調な作画やご都合主義的かつ辻褄が合わないストーリー展開となってしまった。2000年代に入ってから「ツッコミどころ満載の珍作」として再評価されたが、本放送当時の作品の知名度は極めて低かった。 1982年のテレビアニメ『超時空要塞マクロス』は、斬新なメカアクションの作画が高く評価された一方、作画を日本国外のスタジオに発注した回が不評であった(詳細は「超時空要塞マクロス#作画問題」を参照)。 1985年のテレビアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』では、それまでのロボットアニメとは異なり「変形」を日常的な行動のひとつとして描いた事や、明確な主人公を設けず個々のキャラクターに活躍する場面がある群像劇的な作風が評価されたが、その一方で全編にわたり慢性的に作画ミスが発生しており、特にスタースクリーム・サンダークラッカー・スカイワープの3人で構成されるジェットロン部隊においては、頻繁に人物が入れ替わる、別の人物のカラーリングになるなどのミスが多発した。これらの2作品の中でも特に作画ミスの数が多かった第23話「スチールシティ」、第40話「チルドレン・プレイ」、そして続編である『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』第14話の「音楽惑星への挑戦」は、作画ミスにおけるトランスフォーマーを象徴する回として名高い。 1989年のアニメ『天空戦記シュラト』では、後半に作画のクオリティが低下しカクカクした動きになったことで「シュラる」と呼ばれており、後述のヤシガニ登場まで作画崩壊の代名詞扱いされていた。 1990年のテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』では、第23話から第34話にかけてのエピソードは韓国のスタジオに外注されており、作画が低調なうえストーリーも本編からかけ離れ悪乗りの過ぎた展開であった。なお、後のテレビアニメでは本編からかけ離れた寄り道的なエピソードを「島編」と称することがあるが、これは同作の一連のエピソードが由来であるとも、1979年のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」が由来であるとも言われている。
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