初期の作例と絵巻物とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 初期の作例と絵巻物の意味・解説 

初期の作例と絵巻物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 10:24 UTC 版)

源氏絵」の記事における「初期の作例と絵巻物」の解説

紫式部作者とする『源氏物語』成立して間もないころよりその評価高く紫式部日記紫式部日記』にもそれは伺える。この『源氏物語』絵画化がいつの頃より行なわれたかは正確にしがたいが、それはかなり早い時期のことだったのではないかといわれている。現存する記録の上では源師時日記である『長秋記元永2年1119年11月27日の条に、白河院中宮璋子とのあいだで「源氏絵」を製作してたらしい記述が最も古いが、これは『源氏物語』成立したと見られる年代からおよそ百年のちのことである。この『源氏物語』絵画化は、「源氏絵」の名のもとに日本絵画史にひとつの流れ作ることになる。 現存源氏絵としては、現在徳川美術館五島美術館中心に所蔵され源氏物語絵巻最古である。この絵巻12世紀ごろの制作で、当初『源氏物語』五十四帖を十巻或いは二十巻にしたものではなかったかという。絵に付随する詞書金銀の箔や染色によって美麗装飾なされているが、それら詞書には複数人物による筆跡見出される。そのなかのひとつに藤原教長の筆になるものがあり、それにより小松茂美はこの現存源氏物語絵巻は、後白河院のもとで制作されたものであるとしている。 ただしこの源氏物語絵巻は、じつはほんらい絵と詞書とは別々になっていたことが指摘されている。いずれの絵もよく見ると、およそ20cm幅で均等に折り目付いているのが認められ、これは絵にあたる部分折本にし、詞書のほうはひと続き巻子本したもので、鑑賞する際は折本形態の絵を眺めつつ、ほかの人物巻子本詞書を手で右から左へと繰りながら読み上げたのだという。これはこの絵巻中にも同じよう場面描かれており、徳川美術館の「東屋・一」には、中の君異母妹浮舟慰めよう物語の絵を見せ場面描かれているが、それは浮舟冊子状の絵を眺め傍らにいる女房が字だけの冊子、すなわち本文持ち読み上げている。絵巻物といえば詞書と絵が交互に現われる巻子本形態であると一般に理解されているが、古く詞書と絵とは別々の巻として制作されたものがあり、後世それが現在見られるような詞書と絵が交互に貼り継がれる形態直されている。 『古今著聞集』には貞永2年1233年)の春、後堀河院御所において「源氏絵十巻」が調製されたことが記され、これは藤原定家日記明月記』にも触れられている。さらに室町時代の『看聞日記』にも源氏絵についての記録がある。室町時代には「小絵」(こえ)と称する天地の幅が狭い絵巻物作られているが、そのなかには源氏絵作例伝わっている。源氏絵はこうした絵巻物から、のちの色紙絵などの画題として伝わるなかで、絵画化される場面やその構図次第固まってゆく。

※この「初期の作例と絵巻物」の解説は、「源氏絵」の解説の一部です。
「初期の作例と絵巻物」を含む「源氏絵」の記事については、「源氏絵」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「初期の作例と絵巻物」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「初期の作例と絵巻物」の関連用語

1
10% |||||

初期の作例と絵巻物のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



初期の作例と絵巻物のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの源氏絵 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS