伊豆湯ヶ島へ――『青空』廃刊とは? わかりやすく解説

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伊豆湯ヶ島へ――『青空』廃刊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 02:46 UTC 版)

梶井基次郎」の記事における「伊豆湯ヶ島へ――『青空』廃刊」の解説

1926年大正15年11月、「『新潮十月新人小説評」を掲載した青空第21号発行した同人北川冬彦浅見篤龍村謙美術史学科)、英文科八高出身阿部知二古澤安二郎参加することになり、本郷4丁目の「青木堂」2階顔合わせ会を開いた。彼らは22号から同人になった。 基次郎は夏からの無理が重なっていて、喀血がひどくなり、「君は一日早く、君の文筆生計立てるより外はない、卒業証書を貰つたつて仕方がないではないか」という三好達治勧めもあり伊豆日光療養しようかと考えた自分進学のために苦労した親への申し訳なさから悩んだが、卒業論文提出断念した次郎は、昭和元号改まった12月の暮、品川駅発ち衰弱した身を癒すため伊豆行った現地の人から暖かな西伊豆勧められたが、吉奈で気が変り、基次郎2歳年上作家川端康成のいる湯ヶ島温泉に向った。 宇賀康らが以前宿泊したという「落合」に入るが長逗留は断われ、「湯本館」に滞在中の川端を訪ねてみた。『青空』を寄贈されていた川端は、飯島正北川冬彦の名を知っていた。川端は基次郎会話中、ちょうど部屋遊びに来た板前大川一に相談し狩野川支流猫越川の崖沿いの宿「湯川屋」を基次郎紹介した1927年昭和2年元旦、「落合」を出た次郎は「湯川屋」に移り宿代一泊4円のところ、3食付き半額の2円にしてもらった。川端の宿へそのこと報告行き雑誌文藝戦線』や『辻馬車』の話を聞いていると、岸田国士がやって来たので辞去した。 基次郎はこの地で、これまで書いてきた感覚的な世界を、さらに比喩象徴多用し悲しみ詩的世界にした「冬の日」(前篇後篇)を3月まで執筆したその間川端の宿へ通って囲碁教わり川端の『伊豆の踊子』の刊行校正手伝った梶井君は大晦日の日から湯ヶ島来てゐる。「伊豆の踊子」の校正ではずいぶん厄介を掛けた。「十六歳の日記」を入れることが出来たのは梶井君のお蔭である。私自身忘れてゐた作を梶井君が思ひ出させてくれた。(中略梶井君は底知れない程人のいい親切さと、懐しく深い人柄を持つてゐる。植物動物頓狂な話を私によく同君と取り交した。「青空」の同人四五人も入れ替り立ち替り梶井君の見舞ひに来て、私はそのみんなに会つた。今は三好達治君がゐる。淀野隆三君はいいお茶を送つてくれた。 — 川端康成「『伊豆の踊子』の装幀その他」 2月、「冬の日」(前篇)を掲載した青空』第24号が発行された。この作品同人好評で、三好達治はいきなり室生犀星送り犀星褒めた。基次郎同人たちの思想上の違いを、〈ポルシェビスト〉対〈アナーキスト〉と喩え自身立場を〈資本主義的芸術先端リヤリスチック シンボリズム刃渡りやります〉とした。3月から松村一雄(国文科八高出身)が同人参加した川端散歩途中に、『伊豆の踊子』の装幀者吉田謙吉や、『辻馬車同人小野勇藤沢桓夫連れて湯川屋」に遊びに来たこともあった。 4月、「冬の日」(後篇)を掲載した青空』第26号が発行された。この号で小林馨清水芳夫抜けた川端康成横光利一結婚式出席機に湯ヶ島離れたが基次郎はまだ残ったその後血痰続いて長く歩くと高熱出て東京帰れない思い苦しんだ。この月、『辻馬車掲載中野重治評論感心した5月、『青空27号で浅見篤忽那吉之助抜け三高出身青木義久京都府医大)が加入した。「湯本館」にアナーキスト新居格宿泊し藤沢桓夫一緒に湯川屋」の基次郎訪ねてきた。 6月、『青空28号発行されたが、この月から北川冬彦三好達治淀野隆三脱退決めた同人会で雑誌終刊決定され、この号が最後となった阿部知二古澤安二郎らが新たに同人誌糧道時代』を紀伊国屋書店から発刊する計画をし、基次郎手紙知らされたが、またいつか『青空』を再興することを考えていた基次郎誘い辞退した

※この「伊豆湯ヶ島へ――『青空』廃刊」の解説は、「梶井基次郎」の解説の一部です。
「伊豆湯ヶ島へ――『青空』廃刊」を含む「梶井基次郎」の記事については、「梶井基次郎」の概要を参照ください。

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