ミルク・シェイクとは? わかりやすく解説

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ミルクセーキ

(ミルク・シェイク から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/05 04:09 UTC 版)

ストロベリー(イチゴ)のミルクセーキ

ミルクセーキ英語: milk shakeミルク・シェイクmilkshakeミルクシェイクまたは単にshakeシェイク)は、牛乳アイスクリームバタースコッチ、キャラメルソース、チョコレートシロップ、フルーツシロップ、ホールフルーツなどの調味料甘味料をブレンドして、冷たい飲み物にした乳飲料の種類である。牛乳ではなく、アーモンドミルクココナッツミルク豆乳などの植物性ミルクなどをベースにして作られることもある。

ミルクセーキは20世紀初頭にアメリカで考案され、その後ミルクシェイクマシーン英語版電気ミキサーの導入により人気が高まった。アイスクリームショップは若者の出会いの場であり、ミルクセーキは若者の大衆文化によく見られるようになった。

名称

アイスクリームを使ったミルクシェイクと、その他のさまざまな種類のフレーバーミルクとの違いを表す用語は、地域によって異なる。アイスクリームをベースにしたミルクシェイクは、それと区別するために「シック・シェイク(thick shake、濃いシェイクの意)」と呼ばれることがある。ニューイングランド地方やカナダ東部の一部では、「フラッペfrappe; [fræp] FRAP)」という名称が使われており[1][2]、特にロードアイランド州では、コーヒーキャビネットのように「キャビネット(cabinet)」と呼ばれることがある[3][4]。粉末状である麦芽乳(英語ではmalted milk、モルテッド・ミルク)を加えたミルクシェイクは、「モルト(malt)」の名で呼ばれることがあり、また、ファーストフードチェーンのカルバーズ英語版が提供するような、逆さにしてもこぼれないほど濃厚なミルクシェイクは、「コンクリート(concrete)」という名称で知られている[5]

いくつかの法的管轄区域では、「ミルクシェイク」と呼べるための法的要件が規定されており、例えば乳脂肪分や無脂乳固形分の含有率が定められている場合がある。そのため、多くの飲食店では自社製品を「ミルクシェイク」とは呼ばず、単に「シェイク」と呼ぶことが一般的である。特に多くのファーストフードチェーンの発祥の地であるアメリカ合衆国では、ミルクシェイクに関する食品規制や法的基準は連邦レベルではなくレベルで制定されており、チェーンの場合、「ミルクシェイク」の名称を使用するためには、事業展開をしている複数州全ての規制を満たす製品を開発したり州ごとに違った製品を提供する必要があり、そのような規制やロジスティクス上の煩雑さを避けるため、規制対象となる「ミルクシェイク」の表示・表現を使わず、単にシェイクという名称や独自の名称を採用している[6]。さらには、前述のようにニューイングランド地方ではアイスクリーム入りのシェイクはフラッペという呼称で知られているが、アイスクリームの入らないミルク・ベースのシェイクを指す場合はミルクシェイクと呼び、この呼称と含有材料の違いも同地方のおおむねの州の法令で規定されており、地域によって商業的に提供するアイスクリーム入りのシェイクを合法的にミルクシェイクと呼べない事情も存在する[7]。マクドナルドのようにシェイクのベースを主に低脂肪のソフトクリームとしている場合、複数の州でミルクシェイクの基準が満たせない可能性もある[7]。よって「ミルクシェイク」という表現を使用していないファーストフードチェーンには、マクドナルド(製品名は「マックシェイク」)、ウェンディーズ(製品名は「フロスティ[注 1]」)、バーガーキングデイリークイーンデルタコシェイク・シャックソニック・ドライブインなどがある[6]

日本では、英語のmilk shakeの発音由来だがカタカナによる表記揺れによってミルクシェイクミルクシェーキミルクシェークに加えて、ミルクを省略したシェイクシェーキシェークや、さらには和製英語ミルクセーキという名称がみられる。

歴史

1911年に販売開始された「ドリンクミキサー[注 2]」という名の電動ミルクシェイクマシーン英語版によって、さまざまなフレーバーのシェイクの準備が容易になった[9][10]

「ミルクシェイク」という言葉が初めて印刷物に登場したのは1885年のことで、ミルクシェイクは生クリームウイスキーを使ったアルコール飲料を指しており[11]、「滋養があり体によいエッグノッグ・タイプの飲料で、強壮剤としてもお楽しみ(ごちそう)としても提供されていた」と記されていた[12]。しかし1900年初頭頃には、この言葉は麦芽乳と、チョコレートストロベリーバニラといった風味がついたシロップを使った飲み物を指すように置き換わった[11]。1922年までには、ウォルグリーンが既に人気を博していた牛乳、チョコレートシロップ、麦芽粉乳で作られていたモルト・ミルクに、新たにアイスクリームを加えたシェイクの宣伝を始めるとこの飲料は大人気を博し、「新しいおやつとしてアイスクリーム入りのミルクシェイクを求める人々」が現れ始めた[11][12][13]。1930年代までには、ミルクシェイクはモルトショップ(当時の典型的なソーダファウンテン)で人気の飲み物となり、そこは「学生たちのたまり場、交流の場」として使われるようになった[12]

また、電動ミキサー、モルト・ミルク飲料、そしてミルクシェイクの歴史は、互いに密接に関連している[13]。電動ブレンダーが広く普及する以前、ミルクシェイク系の飲み物は、エッグノッグのようなものか、砕いたと牛乳、砂糖香料を手で振って(シェイクして)混ぜたものがメインだった[14]。1911年に米キッチン家電メーカーのハミルトンビーチ英語版社が「サイクロンドリンクミキサー[注 3]」という名の卓上据え置き型の電動ミルクシェイクマシーン英語版を開発し、ミルクシェイクのブレンドを容易かつ迅速に行えるようになった[15][9][10]。1922年、スティーブン・ポプラウスキーは、ミルクセーキを作る際にも時々使われる底部モーター式のブレンダーを発明した[16]。この時代のミルクシェイクの多くには麦芽紛乳が加えられていたが、その粉は冷たい液体とともに攪拌されると固まってダマになりやすい性質を持っていたが、ブレンダーの発明によってその懸念が解消されたほか、手でシェイクした場合アイスクリームを均等に液体状の材料と均等に混ぜ合わせることに手間がかかっていたがその懸念も消え、高まるアイスクリーム入りのミルクシェイクの需要に答えたほか[17]ミルクシェイクはホイップされ、空気を含み、泡立ちのある現代的な形になり始めた。[要出典]

作り方

シェイクの製法はいくつかある。

いずれの方法でも、材料(種類によって違うので後述)を攪拌して作る。また、冷やして飲むためにと一緒に攪拌することもある(この場合、氷の融解を計算に入れ、牛乳を用いずに練乳を用いることもある)。

種類

フレンチスタイルとアメリカンスタイル

牛乳、卵黄砂糖バニラエッセンスを混ぜて作るものは「フレンチスタイル」と呼ばれる。牛乳を用いずに、コンデンスミルクと細かく砕いた氷(クラッシュアイス)を用いる場合もある。[要出典]

牛乳アイスクリーム、バニラエッセンス、チョコレートシロップ果物のシロップを混ぜて作るものは 「アメリカンスタイル」と呼ばれており[要出典]、こちらはシェーキシェークシェイク)とも呼ばれる。ファーストフード店などにおいて「○○シェイク」とも提供されているものは、これである。アイスクリームの分量が牛乳よりもはるかに多いため、半ば凍った状態で供されることが多く、 フレンチスタイルのミルクセーキよりもカロリーが高い。[要出典]

その他

他に、チョコレートストロベリー(イチゴ)など(それらを原料としたシロップなどの場合もある)を配合することで味付けされたものも飲まれている。また、卵黄だけではなく全卵を用いる作り方も知られている。牛乳を温めて作られるものは、ホットミルクセーキと呼ばれる。

カクテルとして

エタノールを含まないノンアルコールカクテルの1つとして作られる。上記にもある通り、日本ではなまってミルクセーキと呼ばれるようになったので、バーでもミルクセーキと呼ばれる。元々はバーテンダーなどがシェーカーでシェークして作っていたためにShakeと付くものの、現在ではミキサーで作るようになった。

標準的なレシピ

作り方

ミキサーに、牛乳、砂糖、鶏卵(全卵)を入れ、そこに適量のクラッシュドアイスを加えて混ぜる。それをゴブレット(容量300ml程度)に注げば完成である。

長崎市のミルクセーキ

ツル茶んの長崎風ミルクセーキ

長崎市では、ミルクセーキは砂糖練乳かき氷を入れてシャーベットにした食べ物である。そのため、「食べるミルクセーキ」とも呼ばれている。市内にある九州最古の喫茶店「ツル茶ん」が考案したもので、暑い夏に涼めるように開発されたものである[18]

主な市販品

現行商品

缶飲料

  • ダイドー - 【コクグランタイム】濃厚リッチミルクセーキ
  • 宝積飲料[1] - パレード ミルクセーキ(広島と岡山・東京・大阪の一部の100円自販機で見かけることが多い)

ペットボトル飲料

ファストフード

製造販売終了商品

脚注

注釈

  1. ^ ウェンディーズは、フロスティはミルクシェイクでもアイスクリームでもないとしている[8]
  2. ^ 米キッチン家電メーカーのハミルトンビーチ英語版社が特許を保持する、商標名「サイクロンドリンクミキサー」の通称。
  3. ^ ハミルトンビーチ社が特許を保持する商標名。通称ドリンクミキサー。

出典

  1. ^ milk shake. The American Heritage Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
  2. ^ The Difference between a Milkshake and a Frappe”. Yankee Magazine. 2016年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月2日閲覧。
  3. ^ Luchtel, Amanda (2023年4月3日). “What Is a Milkshake? And How Is It Different from a Frappe or a Cabinet?” (英語). americastestkitchen.com. America's Test Kitchen. 2025年7月24日閲覧。
  4. ^ Cabinet” (英語). Dictionary of American Regional English. 2021年2月7日閲覧。
  5. ^ American Dialect Society CABINET, CONCRETE, FROSTED, VELVET Text accompanying illustration on a poster advertising Hood's Ice Cream (observed in Hancock Pharmacy, State and Hancock Sts., Springfield, Mass., September 30, 1952).
  6. ^ a b Billet, Alexander (2023年9月9日). “Why You're Technically Not Able To Order A Milkshake At McDonald's” (英語). daily meal. 2025年8月2日閲覧。
  7. ^ a b Staropoli, Anna (2025年5月20日). “There's A Good Reason Why McDonald's Can't Call Its Shakes 'Milkshakes'” (英語). Tasting Table. 2025年8月4日閲覧。
  8. ^ What Frosty® Flavors Does Wendy's Have Right Now? | Wendy's”. www.wendys.com. 2025年8月4日閲覧。
  9. ^ a b Hamilton Beach Brands Holding Company - About Our Company - Our History”. www.hamiltonbeachbrands.com. 2025年8月2日閲覧。
  10. ^ a b Lohman, Sarah (2023年10月2日). “How the Coachella Valley became known for its dates” (英語). High Country News. 2025年8月2日閲覧。
  11. ^ a b c The All-American Milkshake” (英語). The Dairy Alliance. 2025年8月2日閲覧。
  12. ^ a b c Flexner 1982, p. 178.
  13. ^ a b Ried 2009, pp. 14–15.
  14. ^ Vanilla Milk Shake Recipe from the "Second Edition of The Neighborhood Cookbook" published by the Council of Jewish Women, Portland, in 1914. Fill a glass two-thirds full of milk, sweeten to taste with any fruit syrup or with sugar, and then flavor with vanilla. Fill glass up with cracked ice and shake well together until thoroughly mixed. http://www.homemade-dessert-recipes.com/milk-shake-recipes.html
  15. ^ Ried 2009, p. 14.
  16. ^ Poplawski, Stephen J. US Patent US1480914 – Beverage mixer, Issued February 18, 1922
  17. ^ Rowley 2024, p. 72.
  18. ^ まさに長崎発祥!の3大グルメ&スイーツ ながさき旅ネット

参考文献

  • Flexner, Stuart Berg (2009) (英語). Listening to America. New York: Simon & Schuster. ISBN 0671527983 
  • Ried, Adam (2009) (英語). Thoroughly Modern Milkshakes. W. W. Norton, Incorporated. ISBN 9780393068771 
  • Rowley, Matthew (2024). “In the Thick of It” (英語). Imbibe Jul/Aug2024 (110): 67-75. ISSN 1557-7082. 
  • 若松誠志 監修 『ベストカクテル』 大泉書店 1997年9月5日発行 ISBN 4-278-03727-9

関連項目


ミルクシェイク(Milkshake)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 17:18 UTC 版)

スポンジ・ボブ」の記事における「ミルクシェイク(Milkshake)」の解説

カーニバーガー作り方』や『ミルクシェイクの免許』で登場したミルクセーキ。なお、シェイク作りには免許書が必要で、期限切れた場合新しいものに変える必要がある実際にスポンジ・ボブのものは7年前に期限切れだった)。

※この「ミルクシェイク(Milkshake)」の解説は、「スポンジ・ボブ」の解説の一部です。
「ミルクシェイク(Milkshake)」を含む「スポンジ・ボブ」の記事については、「スポンジ・ボブ」の概要を参照ください。

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