ミルクシェイクの逸話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 23:39 UTC 版)
ある企業からミルクシェイクの売上を伸ばす相談をクリステンセン氏は受けた。その企業はさまざまな調査を行い、フレーバーを追加したり、トッピングを加えたりしたが、あまり効果がなかった。そこで、クリステンセン氏らは、商品がよく売れる平日の朝に来店者を観察することにした。この時間帯の顧客は一人で入店し、ミルクシェイクだけを買い、車でそのまま走り去る顧客が多かった。一方で、休日の日中に同様の調査を行うと、親子で入店し、店内でミルクシェイクを飲んで帰るパターンが多く観察された。それぞれの購入目的も大きく異なり、前者では車での通勤途中に退屈しのぎのために飲むためのもの、後者では子供へのご褒美として買い与えるためのものという違いがあった。平日と週末では同じデモグラフィックの顧客であり、同じ製品であるのにもかかわらず、両者は異なる目的でミルクシェイクを購入していたことにクリステンセンは着目し、この目的をジョブと呼ぶことにした。通勤の退屈しのぎというジョブにおいては、運転の邪魔にならず、手も汚れず、ゆっくりと飲めることが重視されているのに対し、子供へのご褒美というジョブにおいては、多すぎず小さな子供でも素早く飲み干せる特性が望まれていた。従来のマーケティング手法では同一の市場としてみなされて埋もれていた二つの違いを抽出できたのがジョブ理論についての有名な逸話として語られている。
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