テレビとビデオ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:59 UTC 版)
「クローズドキャプション」の記事における「テレビとビデオ」の解説
生放送番組では、番組のサウンドトラックを構成する発話が、人間のオペレーター(発話から文字への記録者)によってステノタイプやステノマスク機器を使って写し取られ、その音声出力がコンピューターによって瞬時に文字変換されて画面に表示される。この技術は、BBCのシーファクス文字放送サービスの先駆けとして1970年代に開発された。BBCと協力して、この目的のために大学生が最初の音韻から文字への変換プログラムを作成する研究プロジェクトを実行した。ニュース速報、スポーツ大会、娯楽生番組、その他の生放送のキャプションは数秒遅れることがある。人間が次に言わんとする内容を機械は知る筈もないので、出演者が文章を述べた後でキャプションが表示されるためこの遅延が生じる。コンピュータでの自動音声認識は、単一音声を認識するよう設定した場合にうまく機能するため、2003年以降BBCは放送内容を他の人に再度喋らせることで生放送の字幕を作っている。生放送のキャプションはリアルタイム字幕放送の形式でもある。一方、ESPNのスポーツ大会では、特殊な(ステノ)キーボードと個別に作成された「辞書」を活用した速記法を使っている。 たまに台本が事前入手可能なケースがあり、その場合のキャプションは編集された後に番組内で単純表示される。事前に準備済みの内容と生放送の内容が混在するニュース速報などの番組では、技術の組み合わせを活用する。 事前収録済みの番組、コマーシャル、ホームビデオの場合、事前に音声が文字起こしされてキャプションの配置や時間配分が調整される。 あらゆるNTSCプログラムでは、キャプションが可視区間のすぐ上となる垂直帰線区間の21番目(line21)に「エンコード」される。ATSC(米国式デジタルテレビ)プログラムではビデオ内に3編がエンコードされ、うち2つは下位互換の"line21"キャプションで、3番目はEIA-708形式で埋め込まれた最大63個の追加キャプションセットである。 EIA-608ではなくテレテキストが使用されるPALやSECAMの国ではキャプションが別の方法で変換・保存されているが、準備方法やline21区間が使用される点は同様である。家庭用ベータマックスやVHSビデオテープの場合、PAL諸国では使用されている垂直帰線区間の本数が多いため、このline21区間の配置換えを行う必要があるが、欧州のPAL方式VHS機器でクローズドキャプションの記録様式まで対応するものはごく一部だけである。あらゆるテレテキスト区間がそうだが、テレテキストのキャプションは標準のPAL諸国のVHSレコーダーでは記録できない(垂直帰線区間の配置換え非対応なので)。全区間を記録するプロ仕様のS-VHSレコーダであれば対応可能になる。記録されたテレテキストのキャプション区間はまた、ビット数の増加および特に低帯域VHSでのSN比低下に起因してキャプションエラーの数が多くなる。DVDには字幕・キャプション用の独自方式があり、データ領域にデジタル化されて挿入され、再生時にビデオに変換表示される。 古いテレビの場合、通常はセットトップボックスやその他デコーダー機器が必要となる。米国では、デコーダ回路法案可決以降に販売されているテレビの製造業者の大半には、クローズドキャプション表示機能を組み込むことが義務付けられている。技術仕様は異なるものの、ハイビジョンテレビやその受信機やチューナーカードも対象に含まれる(ハイビジョンテレビではキャプションが表示されない場合がある)。カナダに類似の法律はないが、概ね米国と同じ設定で受信している。 大文字表記はキャプション製作側によってまちまちである。米国では大半の業者があらゆる単語を大文字表記にするが、WGBHや米国以外の業者は大文字と小文字を混在させて使うことを優先させる。 line21クローズドキャプションには主に2つのスタイルがある。 *ロールアップ(又はスクロールアップ、ペイントオン、スクローリング):このモードで送信されたリアルタイムの単語は、左から右へ1行で一度に表示される。 行がいっぱいになると行全体が上にスクロール(ロールアップ)して新しい行が表示され、一番上の行が消去される。通常だと画面下部に文字行が表示されるが、実際には画面どの辺りにも配置することができ、映像やアクションが隠れないようにすることが可能である。この手法は、単語ごとの逐次キャプション手順が必要とされたり事前作成済みの中間ファイルが使えないような、生中継などリアルタイム映像のキャプションで使用される。 ポップオン(又はポップアップ、ブロック):14個ある画面列のいずれかにキャプションが完全な文章で表示され、追加キャプションの後追いも可能である。この手法は、キャプションが一般的に専用施設で制作された事前収録済みテレビ番組や映画の中間ファイルから来る場合に使用される。このキャプション手法は、デジタル文書や音声認識ソフトウェアに補助させることができるが、生中継に使用する場合、テレテキストでエンコードされた生中継字幕で発生する画面上のキャプション表示の大幅遅延が避けられず、ビデオ映像を遅らせる必要がある。
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