テラフォーミングとは? わかりやすく解説

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テラフォーミング

スペースコロニー構想はその実現性を危惧する声も

人類宇宙における未来生存拠点として、今なお重要な選択肢1つとして挙げられるのがスペースコロニーです。1978年オニール博士提唱したスペースコロニー構想は、具体的で定量的建設プラン発表されたものとしては最も大規模な宇宙移住計画です。しかし、この計画に対してその実現性を危惧する意見出されています。というのも、このシステム本当に内部生態系の力だけで、自律的に物質循環サイクル維持していけるかが、まだよくわかっていないのです。つまり、この程度の規模生態系地球巨大なオープン・スペースから隔離され地球大きく違う物理的条件の中で、また、強い宇宙線の影響下でどこまで安定して存在することができるのかが、強く疑問視されています。

太陽系の星を改造し地球型生命の定着できる星に変える

そのような危惧の声があるなかで、テラフォーミング(惑星地球化計画)という考え方提案されました。太陽系には、現時点生命活動見られない地球型の惑星巨大衛星存在してます。これらの星を、将来わたしたちが自らの手改造し地球生命定着できる世界変えることができたらどうなるだろう?という構想がテラフォーミングの発想原点です。1つ惑星環境丸ごと変えてしまうということが、そもそも原理的に可能なだろうか、という疑問あります。しかし現実には、工学的には決し不可能な課題ではないと考えられています。

太陽エネルギーをうまく調節するのがテラフォーミングの基本

たとえば、火星金星のような惑星現在の環境あまりにも地球かけはなれてます。しかし、これらの惑星進化の過程をよく分析してみると、今日金星高温高圧灼熱地獄になっているのも、火星カラカラ乾燥し凍結した世界になっているのも、太陽からのエネルギーの届く量と惑星自身質量という2つの点に起因しているのです。とりわけ惑星環境決定直接的に影響するのは太陽エネルギーです。太陽に近すぎた星は熱くなり、遠すぎた星は冷たくなります。そこで、熱いときには太陽エネルギー入射さえぎり、冷たいときには逆にそれを増やしてやればよいというのが、テラフォーミングの考え方基本となります

1961年のカール・セーガンの論文が最初の研究

このように惑星進化の過程から順を追って考えると、テラフォーミングは原理的に実現可能だということなります。このテラフォーミングが研究対象として扱われるようになったのは、1961年のことでした。アメリカカリフォルニア大学惑星物理学カール・セーガン金星環境改造に関する論文発表したのが発端とされています。これを境に、世界中研究者たち惑星環境改造という巨大なテーマに真剣に取り組むようになりました

火星の素顔がわかるにつれテラフォーミングの研究もさかんに

1965年アメリカ打ち上げた火星探査機マリナー4号火星写真地球送って以来いくつかの無人探査機火星向けて打ち上げられました。1976年にはバイキング火星初め着陸し大きな成果あげました。これらの無人探査機によって火星素顔明らかになるにつれ、一部研究者の間には、火星思ったよりずっと地球に近い素顔をもっているのではないかという印象広がり火星のテラフォーミングの研究さかんにおこなわれるようになりました。テラフォーミングを進めるためには、事前に研究施設火星開発のための特別施設設け技術者科学者一時的に火星滞在し環境調査積み重ねなければなりません。すでに将来火星探査については、具体的な計画いくつも提案されています。

1997年7月、アメリカの火星探査機マーズ・パスファインダーが撮影した火星の地表
1997年7月アメリカ火星探査機マーズ・パスファインダー撮影した火星地表

極冠の氷を解かし温室効果で気温を暖かく保つ

テラフォーミングの方法としては、具体的に2つの案が検討されています。1つは、火星地表吸収される太陽の光量を増やし火星の気温上昇させる方法です。これには、アルミホイルよりも薄い巨大な鏡を火星近く宇宙空間設置することが必要です。それで太陽の光集めて火星極冠照射し、氷を解かします。極冠の氷が溶けると、大気中に水蒸気二酸化炭素増えて温室効果働き気温暖かく保たれるようになります。そしてもう1つは、火星表面覆っている、太陽光吸収しやすい暗黒色炭素質物質利用します。この炭素質物質破砕して火星表面まき散らし太陽光吸収効果上げるわけです。

藻類を利用すれば火星の大気に酸素をもたらすことも可能?

また、火星環境変えるために、藻類利用する方法考え研究者もいます。藻類は、これまで地球酸素もたらし環境変え維持してきました火星の大気温暖化し、液体状態の維持できるようになったときに、こうした藻類持ち込めば、火星の大気にも酸素もたらすことができるかもしれないというわけです。そのためには、藻類火星育てられるよう品質改良加えるなど、遺伝子工学研究も重要となってます。

二酸化炭素(ドライアイス)の氷からできている火星の南極の極冠
二酸化炭素(ドライアイス)の氷からできている火星南極極冠

高温の星・金星のテラフォーミングは火星をしのぐ大事業

火星以外にテラフォーミングが考えられているのは、地球に近い金星です。しかし、金星地表摂氏400度に達す高温世界であるなど、その環境あまりにも過酷であり、火星比べて注目度低くなっています。金星地球化するための手順としては、太陽入射エネルギー低減大量二酸化炭素の除去自転加速水の確保などが挙げられます。いずれも火星のテラフォーミングをはるかにしのぐ大事業となることはまちがいありません。これらの課題技術的に達成できる可能性がないわけではありませんが、人類宇宙進出する最初惑星としては、金星よりも火星のほうが有望視されています。



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