ガッテラーの苦渋とは? わかりやすく解説

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ガッテラーの苦渋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)

普遍史」の記事における「ガッテラーの苦渋」の解説

1737年創設されドイツゲッティンゲン大学は、同国歴史学形成する中心的役割担った。ヨハン・クリストフ・ガッテラー(1727年 - 1799年)(en)は1759年以後同大学で歴史学教授務め歴史学専門的学問育て上げる功績残したゼミナール史料収集編纂人材の育成を行うとともに歴史理論考察批判活動の場となるドイツ初の歴史学専門雑誌紋章学古文書学系譜学地理学年代学教科書出版したこのような多岐にわたる学問体系対象とした彼らは「ゲッティンゲン学派」と呼ばれるうになるゲッティンゲン学派開祖となったガッテラーは、生涯に4冊の世界史著作残している。1761年の『普遍史教科書』と1771年の『普遍史序説』は、その題名が示す通り普遍史概念基礎置いている。しかし、その内容伝統的普遍史のままでは無かった。『普遍史序説』にてガッテラーは、人類史4期区分している。第1期天地創造始まり第2期バベルの塔崩壊による諸民族発生起点としており、ここまで聖書記述にほぼ則っている。しかし続く部分について彼は、「世界帝国」を放棄して諸民族体系」という概念導入している。アッシリアペルシアマケドニアまでは人類世界はひとつの国家による単一体系にあったが、ローマ時代世界ヨーロッパとアジアという二つ体系両立する状態になったという論を展開した。そして第3期は「中世」という区分名を用いて5世紀民族大移動から1492年アメリカ大陸発見までの期間とした。ここでは、世界はヨーロッパ・アジアの二体系から、それぞれに多く民族発生して並存する状態を指した第4期は、フン族中国史に言う匈奴だという仮説皮切りに中国史論説し、その他に日本史朝鮮史なども採録している。この最後の期は15世紀から18世紀対象とした箇所であるが、これら遠方民族史は「発見された」時がこの時代区分に当たるために含めているだけで、「諸民族体系」に含めか否か態度留保した考えられるこのように四世界帝国論」を排除しつつも、この時点でガッテラーは普遍史的な枠内世界記述していた。 しかし、1785年著作世界史』から、ガッテラーは大きな転換図った。題から「普遍史」という単語除いた通り彼の世史記述は普遍史からの脱却果たした歴史初期について、『普遍史序説』と同様にアダムからモーセまでを取り上げているが、これを「セトを租とする大種族一派ノア家すなわちヘブライ人伝説」として扱った。すなわち、大洪水事実としても、それはあくまでインダス川上流起こった局地的な事件でしかなく、他の地域には多く人間動物生きていたと考えたこれに伴い聖書中事件起こった年度も見直し施した。そして時代区分変更した。『普遍史序説』の4段階から、文化史観点基礎に6段階改訂したが、この考察中にはモーセソクラテスの他に孔子ゾロアスターなども加え聖書対象とした世界中国など記述されない世界とを同等に扱っている。 そして4冊目の『世界史試論』では、よもや普遍史枠組み創世紀元使用アダムからニムロドまでを記した部分にしか見られない。しかもそれは、全861ページ大書の中でたった2ページが宛がわれたに止まり、それも「伝説的歴史」という扱いに過ぎない同書記載は、中国日本アラビアインドなどアジア全域歴史含んだ啓蒙主義的または社会史評論が行われている。ガッテラー自身敬虔なキリスト教徒であり、4冊目の著作でも少々残滓見られるが、よもや普遍史放棄せざるを得ないところまで来てしまっていたことを表す。彼は、キリスト教内側か普遍史自己否定する役目担った人物となった

※この「ガッテラーの苦渋」の解説は、「普遍史」の解説の一部です。
「ガッテラーの苦渋」を含む「普遍史」の記事については、「普遍史」の概要を参照ください。

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