『1.5』の開発中止と、『2』に向けた作り直し
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「バイオハザード2」の記事における「『1.5』の開発中止と、『2』に向けた作り直し」の解説
『1.5』の開発は40~50人体制で行われ、彼らはのちにカプコン・プロダクション・スタジオ4 (フランス語版)の一員になった。ディレクターの神谷英樹率いる開発チームは若手社員を中心に構成されており、その大半が前作のスタッフだった。 開発初期、プロデューサーの三上と神谷の間には創作上の不一致があり、三上は自ら指示を出して開発チームに影響を与えることを一時は考えたものの、最終的にはプロデューサーとしてチームを監督する立場にとどまり、月に一回進捗状況を見せるよう開発チームに命じた。 個々のデータ自体の出来は悪くない一方それらを組み合わせても満足のいくものにはならなかったものの、三上は1997年5月の発売予定日に向けてこれらのデータを組み合わせるのだろうと考えた。 だが、それからまもなく、完成度が60%か80%に達したところで、『1.5』の開発データは廃棄された。プロデューサーの三上真司は辞表を用意し、開発中止を訴えたという。 のちに三上は「前述の期間で満足のいく仕上がりにならず、遊んでいてもつまらないものになるだろうと判断した」と振り返っている。 製作総指揮の岡本吉起から「話がまとまりすぎていて、続編を作るのに支障がある」という指摘が上がった。岡本は、本作をガンダムシリーズや007シリーズのような大型シリーズにするため、シリーズ内の複数の作品が共有できるような世界観を作り上げることを約束した。開発チームによるシナリオの書き直し作業が進まなかったことから、岡本はメタルヒーローシリーズなどで知られる脚本家の杉村升を『2』のシナリオライターに起用した。杉村は『1』のストーリーを非常に気に入っていた。杉村は試用期間という形で雇われていたが、杉村がスクリプトのトラブルの解決策を提示したことによって岡本からの信頼を得、その岡本からシナリオ全体の改善について相談を受けた。その結果、エルザの代わりとなる主人公として、『1』の主人公クリスの妹であるクレアが起用された。カプコンから提示された200万枚の売り上げ目標を達成すべく、神谷は新規ファンを獲得するため、ストーリーをハリウッド映画のような大げさなものにしてはどうかと提案した。単なるハリウッドの真似は避けたいと考えた岡本は、杉村に三上ら開発スタッフと話し合うよう頼んだ。『2』のメインシステムの担当者だった安保康弘は、2018年12月の合同インタビュー中で杉村について「『バイオ2』のシナリオを詰めるときに、杉村さん、神谷とのミーティングに僕も参加していたんですけど、杉村さんはすごく面倒見が良い方なんですよ。(中略)フランクな方でお仕事でご一緒するのはすごく楽しかったんですよ。」と振り返っており、カプコンCS第一開発統括 第一開発部ディレクターの門井一憲も安保のコメントに同意している。企画担当者たちはゲームデザインを根本から作り直し、プログラマーをはじめとする残りのメンバーはディレクターズカット版『1』の開発にあたった。ディレクターズカット版『1』は、『2』の発売延期のお詫びを兼ねており、『1.5』の一部映像や『2』の体験版が収録された。 『1.5』の開発データのうち、物語の上で重要な場所は、日本の街にある西洋風の建物の内部の写真のデータを基にビジュアルが強化される形で『2』に流用された。背景の作成にはO2というソフトウェアが用いられ、1つの背景のレンダリングには2 - 3週間を費やした。一度に画面上に表示できるゾンビの数は7体に限られたものの、これによってレオンとクレアに使われているポリゴン450個を有効に活用することができた。 敵キャラクターは、目に見える傷をつける代わりに、重傷を負ったことを示すためによろよろと歩くように設計された。 また、これとは別に目玉としてザッピングシステムが導入された。このシステムは『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』において、前作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を異なる視点から見るところにヒントを得ている。 『1』のディレクターズカット版同様、本作の台詞もまた英語で収録された、まず台本を日本語で執筆し、それを日本人が英語に翻訳する形で、キャスト用の台本が作られた。それから、カットシーンが完成する前の段階で、カナダ出身の声優による収録が行われた。英訳された台詞はネイティブスピーカーから見ると若干おかしな言い回しだった上、声優への指示も「日本人が聞き取れるようにしっかり発音してほしい」というものだったため、妙に大げさな言い回しになってしまったのではないかと、カプコンCS第一開発統括 第一開発部のディレクター門井一憲はPlayStation Blogとのインタビューの中で振り返っている。 ムービーパートはアクションフィギュアを用いたストップモーションアニメとして撮影された後、コンピュータグラフィックに落とし込まれた。この時点までにエイダのモデルを完成させることはできなかったため、彼女は主要人物の中で唯一プリレンダリングされたムービーシーンには登場しなかった。また、開発用のポリゴンモデルを流用し、隠しシナリオの一つである『The 豆腐 Survivor』の主人公に仕立て上げた。 テレビ用コマーシャルはゾンビ映画の第一人者であるジョージ・A・ロメロが監督し、レオン役としてブラッド・レンフロが出演した。 なお、『1.5』のゲームエンジンは『2』のプロモーションなどにプロデューサーとして関わった稲船敬二が「せっかく作ったものを捨てるのはもったいない」として引き取り、『鬼武者』の開発に役立てた[出典無効]。
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