芝野虎丸 芝野虎丸の概要

芝野虎丸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 09:37 UTC 版)

 芝野虎丸 名人
阪急納涼囲碁まつりにて(2019年8月)
名前 芝野虎丸
生年月日 (1999-11-09) 1999年11月9日(24歳)
出身地 神奈川県相模原市
所属 日本棋院東京本院
在位中タイトル 名人
段位 九段
概要
タイトル獲得合計 12
七大タイトル
棋聖 挑戦者(2023)
名人 3期 (2019・22-23)
本因坊 挑戦者(2020-21)
王座 2期 (2019-20)
十段 2期 (2020・23)
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主な実績に第44・47・48期名人位、第67・68期王座位、第58・61期十段位、第26・30期竜星戦優勝[4] など。入段から史上最短での全棋士参加棋戦優勝[5]、史上最年少での七大タイトル獲得、名人戦リーグ入り[6]本因坊戦リーグ入り[7] など多数の最短・最年少記録を有する。

一力遼許家元と並び「令和三羽烏」と呼称されている[8][9][10]

経歴

ヒカルの碁』のファンだった親の影響により、5、6歳ぐらいのときに囲碁を始める[11][12]

小学校3年生のころ、2歳上の兄で、同じプロ棋士である芝野龍之介が通い始めた洪清泉棋士が主宰する東京都杉並区の道場について行った。プロになれるとは思わず、ただただ熱中していたら、いつしか兄を追い抜いていたという[13]。おなじ道場出身者に一力遼平田智也藤沢里菜などがいる[14]。小学5年生からは平日3日は道場、土日は日本棋院に通っていた[3]

2014年、対象期間の院生研修成績1位により夏季棋士採用を決め、9月1日入段[15]

2015年10月9日付けで勝ち星対象棋戦通算30勝にて二段に昇段。

2016年10月、第41期棋聖戦Cリーグ4勝1敗でBリーグ昇格[16]。10月21日付けで勝ち星対象棋戦通算40勝にて三段に昇段。

2017年7月31日、第26期竜星戦余正麒七段に中押し勝ちし優勝。入段から2年11か月での全員参加棋戦優勝は井山裕太の3年6か月を更新する史上最短記録[5]、17歳8か月での全員参加棋戦優勝も井山裕太の16歳4か月に次ぐ歴代2位の年少記録[17]。規定により翌8月1日付けで七段に昇段。入段から2年11か月での七段昇段も史上最短記録[5]。第65期王座戦では挑戦者決定戦まで進出したが、8月25日に一力遼七段に敗れた[18]。9月4日、第73期本因坊戦最終予選決勝で許家元四段に勝利しリーグ入り。17歳9か月、入段から3年0か月での本因坊戦リーグ入りはいずれも史上最年少[注 1]・最短記録[7]。10月2日、第42期新人王戦で優勝[19]。11月2日、第43期名人戦最終予選では一力遼七段に勝利し、名人戦でも史上最年少でのリーグ入り(17歳11か月)を果たした[6]

この年、芝野は棋道賞新人賞・最多勝利賞・最多対局賞を受賞。また、66局53勝13敗・16連勝の戦績で連勝賞を受賞した。

2018年4月29日、第4回日中竜星戦で中国ナンバーワン棋士の柯潔九段に中押し勝ちし優勝[20][21]。日中竜星戦での日本代表選手の優勝は初めて。10月6日、第25期阿含・桐山杯決勝で一力遼八段に敗れる。

2019年、第44期名人戦リーグでは6勝2敗で河野臨九段と同率首位となり、その後8月8日に行われたプレーオフで河野九段に黒番半目勝ちし、プロ入りから史上最速の4年11か月、また史上2人目となる10代での名人挑戦を決めた[22]。規定により八段昇段も決めた。挑戦手合七番勝負では張名人に4勝1敗で七大タイトル史上最年少での名人位を獲得(19歳11か月)[1][23][注 2]、さらに10月9日付けで規定により史上最短での九段昇段(5年1か月)[注 3] を決めた。また、第67期王座戦挑戦手合でも、11月29日、井山裕太四冠を相手に3勝1敗で王座を奪取し、2つ目の七大タイトルを獲得[24][25]20歳0か月での七大タイトル二冠も史上最年少記録[25][注 4] である。

2020年6月26日、村川大介十段を3勝1敗で破り、初の十段位を獲得(20歳7か月)した。これは第53期の伊田篤史を6か月上回る歴代最年少記録[26]七大タイトル三冠も史上最年少記録(20歳7か月)[25][27][注 5] となった。その後第75期本因坊戦では挑戦者として井山裕太と戦うが、1勝4敗で敗れた[28]。また、第45期名人戦では挑戦者となった井山裕太に敗れ、名人位を失った[29]

2021年、76期本因坊戦では前年に引き続き挑戦者となって井山裕太と戦うが、3勝4敗で敗れた[30]。また、竜星戦で2度目の優勝を果たした一方で、第59期十段戦では許家元に敗れ[31]、第69期王座戦では井山裕太に敗れて無冠になった[32]

2022年の第47期名人戦リーグで7勝1敗とし、再度井山名人への挑戦権を獲得[33]。11月3日の第7局で勝利し、4勝3敗で名人位を奪還した[34]。また、初参戦の第47期棋聖戦Sリーグでも5戦全勝で挑戦者決定変則三番勝負に進出。山下敬吾九段に2勝1敗で勝ち、一力棋聖への挑戦権を得た[35]

2023年、第47期棋聖戦挑戦手合は一力棋聖に2勝4敗で敗れ、棋聖位獲得はならなかった[36][37]。第61期十段戦の挑戦者決定戦で本因坊文裕に勝利し、2期ぶりに十段挑戦権を獲得[38]。挑戦手合では許家元十段を3勝1敗で破り、十段位を奪回[39]。同時に二冠へと復帰した。第48期名人戦は井山裕太王座のリベンジマッチを受ける。番勝負は開幕3連勝から2連敗を喫するものの、11月3日の第6局を逆転で制し、4勝2敗で名人位を防衛した[40]

2024年、第71回NHK杯戦で初めて決勝進出したが、一力棋聖に敗れて準優勝。十段戦でも井山に2-3で敗れて失冠[41]。2年連続で決勝で敗れていたテイケイグループ杯俊英戦は3度目の正直で優勝を果たした。

エピソード

将棋棋士豊島将之と顔がそっくりと言われることがある。その豊島は、2019年の将棋名人戦(毎日新聞社と朝日新聞社の共催)で名人のタイトルを獲得しており、2020年1月1日発売の朝日新聞で当時名人であった豊島との紙上対談を行っている[42]

2020年6月26日、最年少で名人、王座、十段の3冠を達成するが、インタビューの中で、将棋棋士の藤井聡太七段(当時)に言及し、「年も近い。藤井さんのダブルタイトル(棋聖王位)挑戦のニュースは励みになった。自分も負けていられない。」と答えていた[43]。そして、同年7月16日、藤井聡太七段が史上最年少で棋聖のタイトルを獲得した際には、ツイッターで「藤井先生、おめでとうございます」と祝意を述べた[44]

2020年、第69回神奈川文化賞・スポーツ賞(神奈川文化賞未来賞)を受賞[45][46]

両親はともに京都大学法学部出身。姉は東京大学理学部から同大学院へ進んだ[47]。妹も東京大学に入学。


注釈

  1. ^ リーグ入りの最短記録は一力遼の第39期棋聖戦リーグ入り(16歳9か月)。
  2. ^ 従来の記録は井山裕太の20歳4か月(名人位)。
  3. ^ 従来の記録は井山の7年6か月。
  4. ^ 従来の記録は井山の21歳11か月。
  5. ^ 従来の記録は井山の23歳1か月。

出典

  1. ^ a b 史上初「10代の名人」誕生 芝野八段、張栩名人を破る 朝日新聞 2019年10月8日
  2. ^ 南区出身、入段5年で快挙 タウンニュース(2019年10月17日)
  3. ^ a b 囲碁界に輝く一番星『棋士 芝野虎丸三冠』に聞く|マイ広報さがみはら”. マイ広報さがみはら. 2022年1月31日閲覧。
  4. ^ 第26期 竜星戦
  5. ^ a b c 芝野虎丸三段、最年少優勝!七段昇段! 日本棋院(2017年7月31日)
  6. ^ a b 芝野、名人戦史上最年少リーグ入り 日本棋院(2017年11月2日)
  7. ^ a b 芝野、本因坊戦史上最年少リーグ入り 日本棋院(2017年9月4日)
  8. ^ (月刊囲碁)待ってろ芝野、白星発進 「令和三羽烏」の一力遼、許家元 第45期名人戦リーグ開幕 朝日新聞”. 2020年5月5日閲覧。
  9. ^ 第75期本因坊戦挑戦者決定リーグ 芝野虎丸名人-許家元八段 第15局の2 毎日新聞”. 2020年5月5日閲覧。
  10. ^ 将来は名門新聞社社長も兼務する!?囲碁トッププロ・一力遼八段は何者? Number Web”. 2020年5月5日閲覧。
  11. ^ “気鋭に迫る:昨年は全棋士中勝率1位 囲碁棋士・芝野虎丸(16) - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20160910/ddm/014/040/018000c 2018年5月25日閲覧。 
  12. ^ 中国最強囲碁棋士に勝った18歳の「怪物」芝野虎丸七段に聞く”. ダイヤモンド・オンライン (2018年8月14日). 2022年1月31日閲覧。
  13. ^ 芝野虎丸名人・王座 能あるトラはキバを隠す”. 日刊スポーツ (2020年2月16日). 2020年5月22日閲覧。
  14. ^ 洪道場出身 プロ棋士
  15. ^ 東京本院夏季棋士採用が決定【平成27年度新入段者】 日本棋院(2014年7月4日)
  16. ^ 第41期 棋聖戦 日本棋院
  17. ^ 囲碁竜星戦、17歳芝野三段が優勝 井山六冠に次ぐ若さ 朝日新聞
  18. ^ NIKKEI STYLE 第65期 王座戦 挑戦者決定戦 一力遼七段 - 芝野虎丸七段
  19. ^ 芝野、新人王戦優勝 日本棋院(2017年10月2日)
  20. ^ 芝野、日中竜星戦初優勝 日本棋院(2018年4月30日)
  21. ^ 中国最強囲碁棋士に勝った18歳の「怪物」芝野虎丸七段に聞く”. ダイヤモンドonline (2018年8月14日). 2020年5月22日閲覧。
  22. ^ 囲碁名人戦、芝野七段が張栩名人に挑戦へ プロ入り最速 朝日新聞 2019年8月8日
  23. ^ 芝野虎丸名人「タイトル取っても…」史上初に気負わず”. 朝日新聞 (2019年10月19日). 2020年5月26日閲覧。
  24. ^ 新王座に20歳・芝野名人 井山三冠に後退、囲碁王座戦”. 日本経済新聞 (2019年11月29日). 2020年5月26日閲覧。
  25. ^ a b c 芝野虎丸名人が王座奪取 最年少20歳0か月で2冠”. 日刊スポーツ (2019年11月29日). 2019年11月29日閲覧。
  26. ^ 囲碁・芝野が最年少で新十段に、無傷の3冠”. 産経新聞 (2020年6月26日). 2020年6月27日閲覧。
  27. ^ 芝野が史上最年少三冠 十段奪取、20歳7か月―囲碁”. 時事通信社 (2020年6月26日). 2020年6月27日閲覧。
  28. ^ 本因坊戦、文裕が9連覇 歴代2位タイ 芝野名人に4勝1敗”. 毎日新聞 (2020年7月9日). 2023年3月7日閲覧。
  29. ^ 井山挑戦者が名人位を奪取 史上初、3度目の大三冠達成”. 朝日新聞 (2020年10月14日). 2023年3月7日閲覧。
  30. ^ 文裕が本因坊戦10連覇 趙治勲に並ぶ偉業 芝野降し4勝3敗”. 毎日新聞 (2021年7月7日). 2023年3月7日閲覧。
  31. ^ 許家元八段が十段初奪取 大和ハウス杯囲碁十段戦”. 産経新聞 (2021年4月28日). 2023年3月7日閲覧。
  32. ^ 第69期 王座戦”. 日本棋院. 2023年3月7日閲覧。
  33. ^ 芝野九段が挑戦権 囲碁名人戦”. 朝日新聞 (2022年7月22日). 2023年3月7日閲覧。
  34. ^ 囲碁名人戦、芝野挑戦者が勝利 史上最年少名人が3期ぶりに奪還”. 朝日新聞 (2022年11月3日). 2023年3月7日閲覧。
  35. ^ 囲碁の棋聖戦、芝野虎丸名人が一力遼棋聖への挑戦権を獲得…山下敬吾九段の粘り封じる”. 読売新聞 (2022年11月26日). 2023年3月7日閲覧。
  36. ^ 【囲碁】一力遼棋聖が初防衛 芝野虎丸名人の挑戦を退ける 棋聖戦第6局”. 日刊スポーツ (2023年3月10日). 2023年3月12日閲覧。
  37. ^ 棋聖戦、一力棋聖が初防衛…4勝2敗で芝野名人退ける【棋譜速報】”. 読売新聞 (2023年3月11日). 2023年3月12日閲覧。
  38. ^ 囲碁の十段戦挑戦者に芝野名人”. 産経新聞 (2023年1月30日). 2023年3月7日閲覧。
  39. ^ 芝野名人が3期ぶり十段奪還、許十段を3勝1敗で下す”. 産経新聞 (2023年4月20日). 2023年4月21日閲覧。
  40. ^ 芝野虎丸名人が大逆転勝利 井山裕太挑戦者を破り、名人初防衛”. 朝日新聞 (2023年11月3日). 2023年11月5日閲覧。
  41. ^ 囲碁十段戦、井山裕太王座が緩まず押し切る 七大タイトル60期の大台に”. 産経新聞 (2024年4月30日). 2024年4月30日閲覧。
  42. ^ “囲碁と将棋の名人は顔そっくり 初対面してぶつけた哲学。”. 朝日新聞. (2020年1月1日). https://www.asahi.com/articles/ASMDK5K7DMDKUCVL024.html 2020年8月28日閲覧。 
  43. ^ 芝野虎丸二冠、史上最年少3冠「藤井さんに負けていられない」/囲碁”. SANSPO.COM (2020年6月27日). 2020年7月17日閲覧。
  44. ^ 囲碁最年少記録ホルダー・芝野虎丸3冠も祝福「藤井先生、おめでとうございます」”. スポニチアネックス (2020年7月17日). 2020年7月17日閲覧。
  45. ^ 神奈川県. “第69回神奈川文化賞・スポーツ賞贈呈式”. 神奈川県. 2022年1月31日閲覧。
  46. ^ 神奈川文化賞・スポーツ賞 7人決まる”. カナロコ by 神奈川新聞. 2022年1月31日閲覧。
  47. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年12月7日). “虎丸二冠の名人就位式に家族で登場!史上初の10代名人育てた秀才・芝野家の天才育成法とは/囲碁”. サンスポ. 2022年5月12日閲覧。
  48. ^ 第49回棋道賞の受賞者一覧
  49. ^ a b 第51回棋道賞の受賞者一覧
  50. ^ a b c 第52回棋道賞が決定”. 日本棋院 (2019年2月6日). 2019年11月29日閲覧。


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