ヘッドフォン 使用上の注意点

ヘッドフォン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/25 06:21 UTC 版)

使用上の注意点

難聴の原因となる

ヘッドフォンを大きな音量で用いると、耳の損傷や難聴を起こすことがある。短期的で済む場合もありはするが、1日100デシベル以上の音を(わずか)15分以上聞くだけで長期的な難聴になる可能性がかなり高くなる、と言われている。ヘッドフォンが原因で起きる難聴をヘッドフォン難聴という(ヘッドフォンで聴いた音量が大きすぎるという意味では「騒音性難聴」ともいう)。耳の最深部の、音波を神経の電気信号に変換する部分である有毛細胞[19]が並んでいる列の一部が破壊されてしまう。有毛細胞は再生はしないので、大音量で聴くことを繰り返すと、有毛細胞の破壊が次第に「蓄積」し、破壊された有毛細胞の数がどんどん増えていってしまう。大音量によって引き起こされた難聴は一生治らない(簡単に治る皮膚のスリ傷などとは全然違って、破壊された有毛細胞は決して治らないので、要注意なのである)。

ミュージシャン、アーティストで、ヘッドフォンの音量を普段から上げ過ぎたり(また同様にステージでモニタスピーカーの音量を上げ過ぎたり)して、大切な商売道具であるはずの聴覚をキャリアなかばで失ってしまう悲惨な事例が後を絶たない。またミュージシャンでない普通の人でも、若者で音楽をイヤホンで大音量で聴きたがる癖がある人は、それを数年続けるだけで、かなりの確率でかなりの難聴になってしまう。どのようなことが起きるかというと、音量の刺激を求めてボリュームをいじり音量を上げる。→ある音量を超えた段階で(自分でも気づかないうちに)聴覚神経が一時的に軽度の麻痺(つまり短期の難聴)を引き起こす → (主観的に)まるで音が小さくなったように感じて不思議に思い、ついボリュームをいじりもっと音量を上げる → ますます難聴の程度が増す....という悪循環が簡単に起きてしまい、こうしてうっかり数十分ほど大音量で聴いただけでも、そのダメージ(一生治らないダメージ)が耳の最深部で蓄積してゆく。

もし普通の大きなスピーカーで音楽を聴いていれば、何かの拍子に周囲の人が気づいて「ちょっと!ちょっと! おかしいよ、大丈夫?? 異常に大音量になっているよ!音量下げたほうがいいよ!」などと注意して止めてくれるが、イヤホンやヘッドフォンで聴いていると、たとえ異常な大音量になっていても周囲の人は気づいてくれず、放置されてしまい、誰も止めてくれないので悲惨な結果を生みがちなのである。

したがって、ヘッドフォンやイヤフォンを使用する時には、音量の「刺激」を求めて音量をどんどん上げてゆくことようなことは絶対にやってはいけない。 イヤホンやヘッドフォンで聴く場合は、「(常に)意識的に小さめの音量で聴く」くらいが安全なのである。

ヘッドフォン難聴も参照のこと。

外部の音が聞こえづらく交通事故などの原因となる。

また運転中や運動中などに使用すると、外部の音が遮られ周囲の状況に気づかなくなる可能性がかなり高くなり、交通事故を引き起こしてしまう可能性が高まる。

特にカナル型は形状的には音の出る耳栓なので、外の音声が聞き取りづらくなるという特性があり、事故につながりやすい。

そのようにかなり危険なので、多くの自治体において、運転中はイヤホンやヘッドフォンを装着することは禁止されている(四輪の自動車やオートバイももちろん禁止であり、さらに自転車もれっきとした軽車両であり運転中はイヤホンをつけてはいけない。特に両耳は絶対にいけない。)[20]。(なお運転中は「音を聞かないと、事故に巻き込まれる」というよりも、実際には「周囲の音も聞かないような問題外の者が原因となり、交通事故を引き起こす」と自覚したほうがよい。)

外耳道真菌症など

長時間のイヤホンやヘッドホンの使用で外耳道に湿気がこもると耳の中にカビが繁殖する外耳道真菌症(外耳炎の一種)の原因になる[21]

また、カナル型の場合は特に、イヤーピースの取り付けが緩いと本体を取り外す際にイヤーピースの部分が耳穴に残ってしまうようなものもあり、最悪の場合は手術で取り出すことにもなる。

パッドの劣化

耳に当てるパッド部分は、素材となるポリウレタンが発汗や体温の影響で加水分解し、数年のうちにボロボロに劣化する。製品によっては交換用のパッドが市販されているため、劣化の際はパッドを交換するのがよい[22]


  1. ^ ソニーWebサイト「「MDR-Z1000/EX1000」開発秘話 スタジオモニター MDR-Z1000 | 開発者インタビュー」,2013年8月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n JEITA RC-8140C ヘッドホン及びイヤホン”. 電子情報技術産業協会. 2021年4月17日閲覧。
  3. ^ テクニカルコミュニケーター協会”. www.jtca.org. 2021年11月18日閲覧。
  4. ^ 外来語(カタカナ)表記ガイドライン第 3 版”. 一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会. 2021年1月11日閲覧。
  5. ^ BTS6141 日本放送協会
  6. ^ a b c d e f g 投野 耕治「ヘッドホン技術動向」”. JAS Journal 2013 Vol.53 No.6(11月号). 2019年1月20日閲覧。
  7. ^ 高機能ヘッドホンでイイ音を備えたソニー「ウォークマンEシリーズ」”. BCNランキング. BCN (2007年6月27日). 2010年4月2日閲覧。
  8. ^ カナル型ヘッドホン”. 知恵蔵2013. コトバンク. 2013年8月11日閲覧。
  9. ^ ドライバーユニットオーディオテクニカ
  10. ^ ASCII.jp:音質重視派の必須アイテム「Sound Blaster ZxR」を試す (2/3)
  11. ^ a b ヘッドホンのインピーダンスについて” (日本語). Denon 公式ブログ (2018年6月1日). 2021年6月10日閲覧。
  12. ^ a b ヘッドホン・イヤホンに求められる「性能」とは?”. 一般社団法人日本オーディオ協会. 2021年6月10日閲覧。
  13. ^ 第2回 イヤホンの基本 イヤホンの用語について | 日本経営合理化協会
  14. ^ ヘッドホンアンプの必要性についてフジヤエービック
  15. ^ No.31 モバイル・ミュージックとスピーカ技術” (日本語). TDK Techno Magazine. 2021年6月10日閲覧。
  16. ^ a b イヤースピーカーとは?” (日本語). STAX (2018年3月28日). 2021年6月10日閲覧。
  17. ^ Bluetoothイヤホンで音飛びが起こる原因と対策法 - radius公式コラム
  18. ^ Bluetooth、その音質と遅延について - Denon Official Blog
  19. ^ [1]
  20. ^ [2]
  21. ^ 耳の中にカビ? 外耳道真菌症とは”. 毎日新聞. 2019年6月12日閲覧。
  22. ^ 海上忍 (2021年3月10日). “ヘッドホンのパッドがボロボロ...その原因は”. PHILE WEB (音元出版). https://www.phileweb.com/review/column/202103/10/1231.html 2021年3月13日閲覧。 
  23. ^ 2019年05月21日 (火)"スマホ難聴"どう防ぐ?”. 日本放送協会. 2021年1月11日閲覧。 “「骨伝導」のイヤホンを使えば、音量を過度に上げなくても聴きやすいので、難聴の予防策としては効果があるのではないかと話していました。”
  24. ^ テレワークでの「イヤホン使用」で耳トラブル増加?投稿した耳鼻科医に危険な兆候と対処法を聞いた”. FNN プライムオンライン編集部. 2021年1月11日閲覧。






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