ポイント賞とは? わかりやすく解説

ポイント賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/22 09:07 UTC 版)

ポイント賞(ぽいんとしょう。: Points Classification)とは、自転車ロードレースのステージレースにおいて、ゴール地点や中間地点で獲得した順位ポイントの最も多い選手に与えられる賞。総合成績、山岳賞と並び、主要3部門賞と言われている(なお、英語では『Sprint Classification』(スプリント賞)と呼ぶこともある)。

概要

ポイント賞がグランツールで設けられたのはいずれの大会も第二次世界大戦後のことである。ツール・ド・フランス1953年ブエルタ・ア・エスパーニャ1955年ジロ・デ・イタリア1966年にそれぞれ設けられた。

トラックレースにもポイントレースという種目があるが、要領はそれとほぼ同じである。各コースに設定されたポイント地点とゴール地点において早く到達した順に高いポイントが付与され、完走した選手の中から一番ポイントを稼いだ選手が受賞となるが、特にゴール地点は中間のポイント地点よりも高いポイントが与えられており、ここでの順位がとりわけ重要である。

ツール・ド・フランスと2014年以降の[1]ジロ・デ・イタリアにおいては、平坦なステージには高いポイントが与えられ、難易度の高い山岳ステージほどポイントが低く、完全にスプリンターのための賞となっている。特に序盤ステージは平坦コースが続き、ポイント賞を狙うスプリンター型選手にとってみればまさしく稼ぎ場のステージである。

これに対し、2020年以前のブエルタ・ア・エスパーニャや2013年以前のジロ・デ・イタリアでは、平坦ステージも山岳ステージも与えられるポイントは同じであるため、山岳ステージで上位に入るオールラウンダークライマーもポイント賞争いの上位に入ったり、時にはポイント賞を獲得することがあった。

平坦なステージにおける、ゴール前数キロメートルの大集団による高速走行とそこからのスプリントはしばしば落車を誘発し、ひいてはそれがもとで大量落車へと繋がるケースもしばしある。ポイント賞争いにはこうした事故の危険性と隣り合わせであるのもまた特徴である。

グランツールのポイント賞に関する記録

通算獲得回数上位選手

エリック・ツァベルドイツ)・・・9回
ツール・ド・フランス・・・1996, 1997, 1998, 1999, 2000, 2001
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・2002, 2003, 2004
ショーン・ケリーアイルランド)・・・8回
ツール・ド・フランス・・・1982, 1983, 1985, 1989
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・1980, 1985, 1986, 1988
ペーター・サガンスロバキア)・・・8回
ツール・ド・フランス・・・2012, 2013, 2014, 2015, 2016, 2018, 2019
ジロ・デ・イタリア・・・2021
ローラン・ジャラベールフランス)・・・7回
ツール・ド・フランス・・・1992,1995
ジロ・デ・イタリア・・・1999
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・1994,1995,1996,1997

全グランツール受賞達成者

過去5人達成。

エディ・メルクスベルギー
ツール・ド・フランス・・・1969,1971,1972
ジロ・デ・イタリア・・・1968
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・1973
ジャモリディネ・アブドヤパロフウズベキスタン
ツール・ド・フランス・・・1993,1994
ジロ・デ・イタリア・・・1994
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・1992
ローラン・ジャラベール(フランス)・・・重複を避けるため、上記参照。
アレサンドロ・ペタッキイタリア
ツール・ド・フランス・・・2010
ジロ・デ・イタリア・・・2004
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・2005
マーク・カヴェンディッシュイギリス
ツール・ド・フランス・・・2011, 2021
ジロ・デ・イタリア・・・2013
ブエルタ・ア・エスパーニャ・・・2010

グランツールにおけるポイント賞受賞者

※太字は総合優勝&ポイント賞
※斜太字は総合優勝&ポイント賞&山岳賞

ツール・ド・フランス ジロ・デ・イタリア ブエルタ・ア・エスパーニャ
2024年 ビニヤム・ギルマイ ジョナサン・ミラン
2023年 ヤスペル・フィリプセン ジョナサン・ミラン ケイデン・グローヴズ英語版
2022年 ワウト・ファンアールト アルノー・デマール (2) マッズ・ピーダスン
2021年 マーク・カヴェンディッシュ (2) ペーター・サガン ファビオ・ヤコブセン
2020年 サム・ベネット アルノー・デマール プリモシュ・ログリッチ (2)
2019年 ペーター・サガン (7) パスカル・アッカーマン プリモシュ・ログリッチ
2018年 ペーター・サガン (6) エリア・ヴィヴィアーニ アレハンドロ・バルベルデ
2017年 マイケル・マシューズ フェルナンド・ガビリア クリス・フルーム
2016年 ペーター・サガン (5) ジャコモ・ニッツォーロ (2) ファビオ・フェリーネ
2015年 ペーター・サガン (4) ジャコモ・ニッツォーロ アレハンドロ・バルベルデ (3)
2014年 ペーター・サガン (3) ナセル・ブアニ ヨーン・デーゲンコルプ
2013年 ペーター・サガン (2) マーク・カヴェンディッシュ アレハンドロ・バルベルデ (2)
2012年 ペーター・サガン ホアキン・ロドリゲス アレハンドロ・バルベルデ
2011年 マーク・カヴェンディッシュ ミケーレ・スカルポーニ[2] バウケ・モレマ
2010年 アレサンドロ・ペタッキ カデル・エヴァンス マーク・カヴェンディッシュ
2009年 トル・フースホフト (2) デニス・メンショフ[3] アンドレ・グライペル
2008年 オスカル・フレイレ ダニエーレ・ベンナーティ フレフ・ファンアヴェルマート
2007年 トム・ボーネン ダニーロ・ディルーカ[4] ダニエーレ・ベンナーティ
2006年 ロビー・マキュアン (3) パオロ・ベッティーニ (2) トル・フースホフト
2005年 トル・フースホフト パオロ・ベッティーニ アレサンドロ・ペタッキ
2004年 ロビー・マキュアン (2) アレサンドロ・ペタッキ エリック・ツァベル (3)
2003年 バーデン・クック ジルベルト・シモーニ エリック・ツァベル (2)
2002年 ロビー・マキュアン マリオ・チポリーニ (3) エリック・ツァベル
2001年 エリック・ツァベル (6) マッシーモ・ストラッツェール ホセ・マリア・ヒメネス
2000年 エリック・ツァベル (5) ディミトリ・コニシェフ ロベルト・エラス
1999年 エリック・ツァベル (4) ローラン・ジャラベール フランク・ファンデンブルック
1998年 エリック・ツァベル (3) マリアーノ・ピッコリ ファブリツィオ・ギディ
1997年 エリック・ツァベル (2) マリオ・チポリーニ (2) ローラン・ジャラベール (4)
1996年 エリック・ツァベル ファブリツィオ・ギディ ローラン・ジャラベール (3)
1995年 ローラン・ジャラベール (2) トニー・ロミンゲル ローラン・ジャラベール (2)
1994年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ (3) ジャモリディネ・アブドヤパロフ ローラン・ジャラベール
1993年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ (2) アドリアーノ・バフィ トニー・ロミンゲル
1992年 ローラン・ジャラベール マリオ・チポリーニ ジャモリディネ・アブドヤパロフ
1991年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ クラウディオ・キアプッチ ウーヴェ・ラープ
1990年 オラフ・ルードヴィッヒ ジャンニ・ブーニョ ウーヴェ・ラープ
1989年 ショーン・ケリー (4) ジョバンニ・フィダンツァ マルコム・エリオット
1988年 エディ・プランカールト ヨハン・ファン・デル・フェルデ (3) ショーン・ケリー (4)
1987年 ジャンポール・ファンポッペル ヨハン・ファン・デル・フェルデ (2) アルフォンソ・グティエレス
1986年 エリック・バンデレールデン ギド・ボンテンピ ショーン・ケリー (3)
1985年 ショーン・ケリー (3) ヨハン・ファン・デル・フェルデ ショーン・ケリー (2)
1984年 フランク・ホスト ウース・フローラー ギド・バンカルステール
1983年 ショーン・ケリー (2) ジュゼッペ・サローニ (4) マリノ・レハレタ
1982年 ショーン・ケリー フランチェスコ・モゼール (4) ステファン・ムッテル
1981年 フレディ・マルテンス (3) ジュゼッペ・サローニ (3) ヤビエル・セデナ
1980年 ルディ・ペヴェナーフ ジュゼッペ・サローニ (2) ショーン・ケリー
1979年 ベルナール・イノー ジュゼッペ・サローニ アルフォン・デヴォルフ
1978年 フレディ・マルテンス (2) フランチェスコ・モゼール (3) フレディ・バンデホート
1977年 ジャック・エスクラサン フランチェスコ・モゼール (2) フレディ・マルテンス
1976年 フレディ・マルテンス フランチェスコ・モゼール ディートリッヒ・チューラオ
1975年 リック・ファン・リンデン ロジェ・デフラミンク (3) ミゲル・マリア・ラサ
1974年 パトリック・セルキュ ロジェ・デフラミンク (2) ドミンゴ・ペルレナ (2)
1973年 ヘルマン・バンスプリンゲル エディ・メルクス (2) エディ・メルクス
1972年 エディ・メルクス (3) ロジェ・デフラミンク ドミンゴ・ペルレナ
1971年 エディ・メルクス (2) マリーノ・バッソ シリル・ギマール
1970年 ワルテル・ホデフロート フランコ・ビトッシ (2) ギド・レイブローク
1969年 エディ・メルクス フランコ・ビトッシ レイモン・ステーフマン
1968年 フランコ・ビトッシ エディ・メルクス ヤン・ヤンセン
1967年 ヤン・ヤンセン (3) ディーノ・ザンデグー ヤン・ヤンセン
1966年 ウィリー・プランカールト ジャンニ・モッタ ヨー・バンデルローテン
1965年 ヤン・ヤンセン (2) 1966年より実施 リック・ファン・ローイ
1964年 ヤン・ヤンセン ホセ・ペレスフランセ
1963年 リック・ファン・ローイ バス・マリーパール
1962年 ルディ・アルティヒ ルディ・アルティヒ
1961年 アンドレ・ダリガード (2) アントニオ・スアレス
1960年 ジャン・グラチィク アルテュル・デ・カボーテル
1959年 アンドレ・ダリガード リック・ファン・ローイ
1958年 ジャン・グラチィク サルバトール・ボテッラ
1957年 ジャン・フォレスティエ ビンセント・イトゥラット
1956年 スタン・オッカー (2) リック・バンステーンベルヘン
1955年 スタン・オッカー フィオレンツォ・マーニ
1954年 フェルディナント・キュプラー 1955年より実施
1953年 フリッツ・シェーア
1952年 1953年より実施

関連項目

脚注


ポイント賞(プントス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 06:28 UTC 版)

ブエルタ・ア・エスパーニャ」の記事における「ポイント賞(プントス)」の解説

ツールマイヨ・ヴェールと同じ明る緑色ジャージ、「プントス(Puntos)」は「ポイント賞」に対して与えられる。「マイヨ・ベルデ (Maillot Verde)」とも呼ばれる各ステージゴール、およびステージ途中中間スプリント地点通過順位に応じてスプリントポイントが加算されスプリントポイント1位の選手が「プントス」着用権利を得る。2016年スポンサーマイヨ・ヴェールと同じシュコダ以前青色ジャージであったこともある。 2020年まで、平坦ステージ山岳ステージ難易度関わらず全てのステージで同じポイント配分となっていたため、スプリンターだけでなく、山岳ステージ上位に入る総合成績有力勢のオールラウンダー(やクライマー)が上位に入る例が多かった2021年ツール・ド・フランス同様の平坦ステージでポイント山岳ステージでポイントとなる方式採用された。

※この「ポイント賞(プントス)」の解説は、「ブエルタ・ア・エスパーニャ」の解説の一部です。
「ポイント賞(プントス)」を含む「ブエルタ・ア・エスパーニャ」の記事については、「ブエルタ・ア・エスパーニャ」の概要を参照ください。

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