2014年 - 現在 : Endless、Blonde
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/24 16:28 UTC 版)
「フランク・オーシャン」の記事における「2014年 - 現在 : Endless、Blonde」の解説
2014年3月10日、ミック・ジョーンズ、ポール・サイモン、ディプロとのコラボレーション楽曲「Hero」がコンバースのOne Songシリーズの一環でリリースされる。 4月にフランク・オーシャンはセカンドアルバムがほぼ完成したと発表した。アルバムの制作は2013年2月から始まり、タイラー・ザ・クリエイター、ファレル・ウィリアムス、デンジャー・マウスらが参加し、ザ・ビーチ・ボーイズとビートルズの影響を受けていると明らかにしていた。2014年6月にビルボードは、Happy Perez、Charlie Gambetta、Kevin Ristro、Hit-Boy、Rodney Jerkins、Danger Mouseなどがアルバムに参加していると報じた。11月29日にオーシャンはTumblrで「Memrise」という呼ばれる楽曲の一部を公開した。 2015年4月6日、オーシャンは7月に次の作品を「2つのバージョン」と出版物としてリリースすると発表したが、詳細は明かされなかった。アルバムは最終的に7月にリリースされず、その遅延についてのアナウンスも行なわれなかった。この出版物は『Boys Don't Cry』と呼ばれており、アルバムは前述の「Memrise」をフィーチャーする予定だったと報じられている。 翌2016年7月、セカンドアルバムのリリース日を示唆する画像がオフィシャルサイトで公開される。8月1日にはブルックリンの倉庫で撮影されたライブ配信が特設ウェブサイト「boysdontcry.co」で始まった。配信で公開されたインストゥルメンタルは後日リリースされるビジュアルアルバム『Endless』のものであった。同日、多くの報道機関は8月5日が『Boys Don't Cry』のリリース日になると報じた。ニューアルバムに参加している音楽プロデューサーのMalayはredditで、オーシャンは完璧主義者で未だ作品を微調整しており、リリース日は確定していないと述べた。 8月18日の深夜、突如Apple Music限定でビジュアルアルバム『Endless』(エンドレス)が発表された。『Endless』はオーシャンとレコードレーベルDef Jamの最後のアルバムとなり、このリリースをもってDef Jamとの契約を満了した。オーシャンはこのビジュアルアルバムの発売前にDef Jamとの交渉を進めており、その過程で代理人の多く(弁護士とマネージャーを含む)を替えるだけでなく、Def Jamからマスターレコードをすべて買い戻す必要があった。オーシャンはレーベルとの交渉を「7年間のチェスゲーム」と説明しており、難航したことが伺える。 2日後の8月20日深夜0時、突如「Nikes」という曲のミュージックビデオがApple Musicにアップロードされ、後にオーシャンのWebサイトにもアップロードされる。同日、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、ロンドンで雑誌『Boys Don't Cry』のポップアップストアがオープンし、2作目のスタジオアルバム『Blonde』(ブロンド)が自主レーベルからリリースされた。『Blonde』は、米国や英国などで初登場1位を記録し、アメリカでは最初の週に232,000枚(アルバム相当のユニットで275,000枚)の売上を記録した。アルバムは後にアメリカレコード協会からプラチナディスクに認定された。 アルバム『Blonde』は前作に比べて抽象的な雰囲気のあるサウンドを特徴としており、多くの曲にビートが無いなど型破りな音楽スタイルが採用されていた。会話、奇妙なエフェクト、ギター、長尺のビートレスメロディーがサンプルカットされ、シュールな夢の風景に迷い込むような構成となっている。音楽メディアThe ObserverのKate Mossmanはアルバムを「知的で、ノンマッチョな、境界のないR&B」と紹介した。またThe Guardianはゆるいスケッチのような実験的なアルバムの構成について、Radioheadの『Kid A』やBig Starの『Third』との類似性を指摘した。 アルバム『Blonde』は批評家から前作以上に大絶賛を受け、2010年代を代表する作品となった。多くの音楽メディアが年間ベストアルバムの一つに選んだ他、2010年代のベストアルバムのランキングでは、Pitchforkが1位に、Noiseyが3位に、Stereogumが5位に選出した。 この年フランク・オーシャンは、アルバムのプロモーションは特に行なわず、プライベートで中国、日本、フランスなどに旅行するなどして過ごしていた。また、翌年のグラミー賞の選考対象作品としてアルバムを立候補しないことに決め、グラミーの姿勢について批判する声明を発表した。オーシャンは「グラミー賞が僕が生まれてきたシーンにいる人々を、代表しているものとは、とても思えない。エントリーシステムも授賞式も、審査も全部時代遅れだ。僕はコリン・キャパニックみたいにグラミーをボイコットした方が、観客たちと一緒に座っているよりマシさ」と述べている。 2017年2月、カルヴィン・ハリスの楽曲「Slide」にフィーチャリングボーカルで参加する。このシングルはアメリカレコード協会からダブルプラチナディスクに認定され、BIllboad Hot 100では最高9位を記録した。フランク・オーシャンはApple MusicのBeats 1 Radioで不定期の冠番組『Blonded Radio』をスタートし、第一回の放送で「Slide」が繰り返しオンエアされた。その後のBlonded Radioでは放送の度に新曲を発表し「Chanel」「Biking」「Lens」「Biking (Solo)」「Provider」のシングルがリリースされた。 2017年は約3年ぶりにライブ活動に復帰し、夏にFYF Fest、Panorama NYCなど8つのフェスティバルを含む10公演を行なった。FYF Festのステージではライブカメラマンをスパイク・ジョーンズが務め、ステージ演出の一つとしてブラッド・ピットが登場するなど、斬新なステージセットが話題になった。しかしこの夏以降、再びライブ活動を行なわなくなってしまう。 2018年2月14日、オーシャンは1961年の映画『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘプバーンが歌った主題歌のカバー「Moon River」をリリースする。 5月にはエイサップ・ロッキーのアルバム『Testing』に2曲で参加、8月にはトラヴィス・スコットのアルバム『Astroworld』に参加した。 2019年10月17日、オーシャンは自身が主宰するナイトパーティー「PrEP+」を開催し、いくつかの新曲がDJプレイされた。10月19日、オーシャンはBlonded Radioで新曲「DHL」を公開する。また「Dear April (Justice Remix)」「Cayendo (Sango Remix)」の2つの7インチシングルをウェブサイトで発売した。11月1日にはBlonded Radioで新曲「In My Room」が公開される。11月3日には7インチシングル「Little Demon (Arca Remix)」がウェブサイトで予約開始されたが、翌年2月25日に「Little Demon」は別の未発表曲に差し替えると発表された。 2020年4月、約3年ぶりのライブとなるCoachellaでのヘッドライナー公演が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で中止となった。
※この「2014年 - 現在 : Endless、Blonde」の解説は、「フランク・オーシャン」の解説の一部です。
「2014年 - 現在 : Endless、Blonde」を含む「フランク・オーシャン」の記事については、「フランク・オーシャン」の概要を参照ください。
- 2014年 - 現在 : Endless、Blondeのページへのリンク