1973年の映画とは? わかりやすく解説

1973年の映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/10 01:27 UTC 版)

1973年の映画(1973ねんのえいが)では、1973年(昭和48年)の映画分野の動向についてまとめる。

1972年の映画 - 1973年の映画 - 1974年の映画

出来事

世界

日本

周年

日本の映画興行

配給会社別年間配給収入
配給会社 配給本数 年間配給収入

(単位:百万円)

概要
新作 再映 洋画 前年対比[注 3]
松竹 40 3,945 ヒットした正月の『男はつらいよ 寅次郎夢枕』と8月の『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』は異例のロング興行を実施。それに加えて、2回の旧作「男はつらいよ」リバイバル公開もヒット。寅さん以外では『同棲時代』がヒットしたが、『藍より青く』・『花と龍』・『花心中』[39]・『しなの川』・『新・同棲時代』[40]は失敗。
25 10 5 136.7%
東宝 55 4,635 シナノ企画との提携大作『人間革命』(13億円[41])が1973年東宝最大の話題作となった。大規模な創価学会の組織動員が配給収入増加の最大の要因。ベストセラーとなり、恍惚ブームとなった『恍惚の人』を公開、封切配収で1億円を稼ぐ。『朝やけの詩[42]は前年の『忍ぶ川』に及ばす、異色作『日本侠花伝』は失敗。東宝はヒット・シリーズを持たないので安定性を欠くが、〔それを補う〕大作主義が軌道に乗った。
50 5 - 149.7%
東映 65 7,385 東映の強みは、従来の任侠路線、新路線の実録物、併映にポルノ映画と硬派・軟派取り揃えた強力番組を有すること。実録の『仁義なき戦い』・『仁義なき戦い 広島死闘篇』・『仁義なき戦い 代理戦争』が大ヒット。主要館で2週間番組から3週間のロング興行になり、1973年を代表するシリーズとなった。8月公開の実録路線の『山口組三代目』が正月映画の成績を上回るという前代未聞のヒット。任侠のスター鶴田浩二の主演作はなく、実録の菅原文太が東映のエースの座に収まりつつある。
62 3 - 118.9%
日活 99 1,927 一般映画の大作『戦争と人間 完結篇』は配給収入4億円と成功したが、同じく大作『陽は沈み陽は昇る』[43]は0.7億円と失敗し明暗を分けた。秋公開の『四畳半襖の下張』は日活ロマンポルノ事件ワイセツ論争のおかげで話題となりロマンポルノ初の17日間ロング興行となった。ロマン・ポルノの配給収入は増加し、映画の製作・配給のみなら収支トントンの状態だが、累積赤字は67億円と膨大。スウェーデンでのポルノ製作も失敗した。
89 9 1 128.5%
年間配給収入の出典: 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月、48頁。 
上記以外の出典:「1973年度日本映画/外国映画業界総決算」『キネマ旬報1974年昭和49年)2月決算特別号、キネマ旬報社、1974年、94 - 105頁。 

各国ランキング

日本配給収入ランキング

日本映画は正確な数字が発表されていない[44]。以下、邦画配給会社別の好稼働番組を挙げる[44]

1973年洋画配給収入トップ10
順位 題名 製作国 配給 配給収入
1 ポセイドン・アドベンチャー 20世紀フォックス 11億0000万円
2 007/死ぬのは奴らだ ユナイテッド・アーティスツ 08億3000万円
3 ゲッタウェイ 東和[45] 07億2000万円
4 バラキ ヘラルド 06億7000万円
5 街の灯 (リバイバル) 東和[46] 03億2000万円
6 ラストタンゴ・イン・パリ ユナイテッド・アーティスツ 03億1800万円
7 十戒 (リバイバル) CIC[47] 03億1200万円
8 ジョニーは戦場へ行った ヘラルド 03億0000万円
9 ジャッカルの日 CIC 02億7200万円
10 ベン・ハー (リバイバル) MGM[48] 02億7100万円
出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、312頁。ISBN 978-4873767550 

北米興行収入ランキング

1973年北米興行収入トップ10
順位 題名 スタジオ 興行収入 出典
1. スティング ユニバーサル映画 $156,000,000 [49]
2. エクソシスト ワーナー・ブラザース $128,000,000 [50]
3. アメリカン・グラフィティ ユニバーサル映画 $96,300,000 [51]
4. パピヨン アライド・アーティスツ $53,267,000 [52]
5. 追憶 コロンビア ピクチャーズ $45,000,000 [53]
6. ダーティハリー2 ワーナー・ブラザース $39,768,000 [54]
7. ラストタンゴ・イン・パリ ユナイテッド・アーティスツ $36,144,000 [55]
8. 007/死ぬのは奴らだ ユナイテッド・アーティスツ $35,377,836 [56]
9. ロビン・フッド ウォルト・ディズニー $32,056,467 [57]
10. ペーパー・ムーン パラマウント映画 $30,933,743 [58]

日本公開映画

1973年の日本公開映画を参照。

受賞

誕生

死去

日付 名前 国籍 年齢 職業
1月 26日 エドワード・G・ロビンソン 79 俳優
30日 ジャック・マッゴーラン 54 俳優
2月 22日 カティナ・パクシノワ 72 女優
3月 10日 ロバート・シオドマーク 72 映画監督
26日 ノエル・カワード 73 俳優・作家・映画監督
5月 11日 レックス・バーカー 54 俳優
29日 P・ラムリー 44 俳優
7月 2日 ベティ・グレイブル 56 女優
7日 ヴェロニカ・レイク 53 女優
11日 ロバート・ライアン 63 俳優
12日 ロン・チェイニー・ジュニア 67 俳優
18日 ジャック・ホーキンス 62 俳優
20日 ブルース・リー 32 俳優
29日 アンリ・シャリエール 66 作家・俳優
8月 2日 ジャン=ピエール・メルヴィル 55 映画監督
31日 ジョン・フォード 79 映画監督
9月 13日 ベティ・フィールド 60 女優
26日 アンナ・マニャーニ 65 女優
10月 7日 森雅之 62 俳優
21日 小田基義 64 映画監督
11月  23日  早川雪洲 87 俳優
コンスタンス・タルマッジ 76 女優
25日 ローレンス・ハーヴェイ 45 俳優
12月 22日 浪花千栄子 66 女優
26日 ウィリアム・ヘインズ 73 俳優

脚注

注釈

  1. ^ 〔引用者註〕『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集』では、「米国」となっていたが、「香港」に修正した。
  2. ^ 『松竹九十年史』では「5月 大佛次郎没」となっている[11]
  3. ^ 〔引用者註〕引用者が前年の年間配給収入から手計算で求めた。

出典

  1. ^ ラストタンゴ・イン・パリ (1972) - Release info” (英語). IMDb. 2024年2月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 石原良太 1986, p. 132.
  3. ^ 戒厳令 (1972) - Release info” (英語). IMDb. 2024年2月5日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 谷川 1993, p. 162.
  5. ^ a b 東映 1992, p. 57.
  6. ^ 映画に愛をこめて アメリカの夜 (1973) - Release info” (英語). IMDb. 2024年2月5日閲覧。
  7. ^ P. Ramlee dies in Kuala Lumpur” (英語). New Nation (1973年5月29日). 1973年5月29日閲覧。
  8. ^ Malay movie idol Ramlee dies after heart attack” (英語). The Straits Times (1973年5月30日). 1973年5月29日閲覧。
  9. ^ ブルース・リーの死の真相。未公開の検死報告書から新事実が判明!「グレイテスト ミステリーS2 #7ブルース・リーの死の真相」ヒストリーチャンネルで独占放送」『NEWSCAST』2021年12月7日。2024年2月6日閲覧。「シーズン2では、1973年7月20日に香港で亡くなった武道界のスーパースター、ブルース・リーの死を弟ロバートが香港警察の元刑事の協力を得て調査するエピソードを放送。」
  10. ^ ジョン フォードとは”. コトバンク. 日外アソシエーツ『20世紀西洋人名事典』(1995年刊). 朝日新聞社. 2019年11月3日閲覧。
  11. ^ a b c d e 松竹 1985, p. 692.
  12. ^ a b c d e 東宝 1982b, p. 121.
  13. ^ エクソシスト (1973) - Release info” (英語). IMDb. 2024年2月6日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n 東宝 2010b, p. 224.
  15. ^ a b c d 過去データ一覧”. 一般社団法人日本映画製作者連盟. 2016年8月2日閲覧。
  16. ^ a b 東映 1992, pp. 56, 59.
  17. ^ 沿革”. 東映公式サイト. 東映. 2020年4月1日閲覧。
  18. ^ パシフィック・リーグ略史1973年”. 日本野球機構公式サイト. 日本野球機構. 2020年4月15日閲覧。
  19. ^ a b c 東宝 1982b, p. 119.
  20. ^ a b c d 東宝 1982b, p. 120.
  21. ^ a b c d e f g h i j k l m n 東映 1992, p. 56.
  22. ^ 東映クロニクル”. 東映公式サイト. 東映. 2020年4月1日閲覧。
  23. ^ a b 日活 2014, p. 134.
  24. ^ 淫魔(1970)”. allcinema. 2023年4月2日閲覧。
  25. ^ a b 東映 1992, p. 58.
  26. ^ 菊田一夫とは”. コトバンク. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. 朝日新聞社. 2019年11月3日閲覧。
  27. ^ 大佛次郎とは”. コトバンク. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. 朝日新聞社. 2019年11月3日閲覧。
  28. ^ 東映 1992, p. 59.
  29. ^ a b c d e f g h i j k l m 東宝 2010b, p. 225.
  30. ^ 森雅之とは”. コトバンク. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. 朝日新聞社. 2019年11月4日閲覧。
  31. ^ 斉藤 2009, p. 69.
  32. ^ 第10作 男はつらいよ 寅次郎夢枕”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年12月28日閲覧。
  33. ^ 第11作 男はつらいよ 寅次郎忘れな草”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年8月7日閲覧。
  34. ^ 斉藤 2009, pp. 84–85.
  35. ^ 斉藤 2009, pp. 85–86.
  36. ^ 斉藤 2009, pp. 86–87.
  37. ^ 小売物価統計調査(動向編) 調査結果”. 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  38. ^ 主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)〜平成22年(2010年)” (Excel). 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  39. ^ 花心中”. KINENOTE(キネノート). 2018年10月8日閲覧。
  40. ^ 新・同棲時代 愛のくらし”. KINENOTE(キネノート). 2018年10月8日閲覧。
  41. ^ キネマ旬報ベスト・テン85回全史 2012, p. 312.
  42. ^ 朝やけの詩”. KINENOTE(キネノート). 2018年10月8日閲覧。
  43. ^ 陽は沈み陽は昇る”. KINENOTE(キネノート). 2018年10月9日閲覧。
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  45. ^ 映画 ゲッタウェイ”. allcinema. 2018年5月25日閲覧。
  46. ^ 映画 街の灯”. allcinema. 2018年5月25日閲覧。
  47. ^ 映画 十戒”. allcinema. 2018年5月25日閲覧。
  48. ^ 映画 ベン・ハー”. allcinema. 2018年5月25日閲覧。
  49. ^ The Sting (1973)”. Box Office Mojo. May 26, 2014閲覧。
  50. ^ Phillips, Kendall (2005). Projected Fears: Horror Films and American Culture. ABC-CLIO. p. 102. ISBN 9780313017964. "The Exorcist grossed $128 million in its initial release, a figure that, when adjusted for inflation, would make it the most successful R-rated film in American history." 
  51. ^ Block, Alex Ben; Wilson, Lucy Autrey, eds (2010). George Lucas's Blockbusting: A Decade-By-Decade Survey of Timeless Movies Including Untold Secrets of Their Financial and Cultural Success. HarperCollins. ISBN 9780061778896 
    • The Sting: p.717. $156.0 million (Initial Release Domestic Box office)
    • American Graffiti: p.421. $96.3 million (1973 Release Wave)
  52. ^ Papillon, Box Office Information”. Box Office Mojo. May 26, 2014閲覧。
  53. ^ The Way We Were (1973)”. Box Office Mojo. May 26, 2014閲覧。
  54. ^ Magnum Force (1973)”. Box Office Mojo. May 26, 2014閲覧。
  55. ^ Last Tango in Paris, Box Office Information”. Box Office Mojo. May 26, 2014閲覧。
  56. ^ Live and Let Die, Box Office Information”. Box Office Mojo. May 26, 2014閲覧。
  57. ^ Robin Hood, Box Office Information”. The Numbers. January 16, 2012閲覧。
  58. ^ Paper Moon, Box Office Information”. The Numbers. January 16, 2012閲覧。

参考文献

外部リンク


1973年の映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 00:43 UTC 版)

日本沈没」の記事における「1973年の映画」の解説

東宝映画東宝映像の製作、東宝配給1973年昭和48年12月29日より正月映画として公開された。 映画化企画東宝プロデューサー田中友幸によって小説刊行前から進められており、「映画化のあと、TBSテレビドラマ化する」という契約交わされていた。このため撮影現場にはテレビドラマ版のスタッフも2台のカメラ持ち込んで撮影参加している。 監督黒澤明作品チーフ助監督務めた経験がある森谷司郎が、脚本同じく黒澤作品参加していた橋本忍それぞれ担当した製作期間は約4か月短かったが、約880万人観客動員し配給収入164000万円1974年邦画部門配給収入1位)を挙げる大ヒット記録したまた、中野昭慶監督した特殊撮影アジア映画祭の特殊効果賞受賞する評価受けた本作品の成功で、森谷司郎『八甲田山』などの大作映画任せられる監督地位確立し東宝も本作品に続く形で『ノストラダムスの大予言』1974年)、『東京湾炎上』1975年)までパニック映画一つ路線として敷くこととなったアメリカ合衆国では、1975年ロジャー・コーマンニューワールド・ピクチャーズにより『Tidal Wave 』のタイトル公開された。ハリウッド俳優使った追加撮影行われたが、オリジナルより大幅に短縮されている。

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