10-300形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:32 UTC 版)
「東京都交通局10-300形電車」の記事における「10-300形」の解説
第37 - 48編成(編成表記は10-370F - 10-480F)の8両編成12本(96両)が製造され、8両すべてが新造車両で構成される。車体の帯は新宿線のラインカラーであるリーフグリーン(黄緑色)の太帯を基本として、ダークブルー(紺色)の細帯の2色が配される。 最初の第37編成は2004年(平成16年)11月に搬入されたが、従来のATC方式では誘導障害の関係から運転できず、営業運転開始までは終電後に保安装置を切り換えて夜間に性能試験を実施した。その後、2005年(平成17年)5月14日に新宿線がD-ATCに切り換えられ、乗務員訓練後の5月21日から営業運転が開始された。 車体、走行機器をはじめ、機構面ではE231系と同様のものを使用している部分が多い。ただし、勾配の多い地下鉄を走る関係で、電動車 (M) 付随車 (T) の構成(MT比)は8両編成では5M3T、10両編成では6M4Tと電動車の比率が高められている。 制御方式はE231系500・800番台と同等の三菱電機製3レベルIGBT素子によるVVVFインバータ制御を採用した。制御装置外観形状はE231系通勤形が搭載するSC60形タイプと同じである。回生ブレーキのほか、純電気ブレーキ機能も有する。また一定速度以上の走行時にマスコンハンドルを「P4」位置から「P2」位置にすると定速運転となる。主電動機は東洋電機製造製のTIM-10形(出力95kW、端子電圧1,100V、電流68A、定格回転数2,350rpm)で、名称は異なるもののE231系などのMT73形と同一である。 台車もE231系用のDT61・TR246形をベースに開発した軸梁式ボルスタレス台車である。ただし、新宿線の軌間にあわせて1,372mm用としたほか、軸距は10-000形と同じ2,200mmとされている点が異なる。電動車はTS-1029形(交通局形式T-10B形)・付随車と先頭車の連結面寄りはTS-1030形(T-10C形)を使用し、先頭車の前面用には駐車ブレーキを装備したTS-1030A形(T-10D形)が使用される。 基礎ブレーキは、電動車が片押し式踏面ブレーキ、付随車が片押し踏面併用のディスクブレーキとしている。また、これらの台車は今後の京王線での高速運転を考慮してヨーダンパが設置可能な構造としている。 補助電源装置は富士電機システムズ製のIGBT素子を使用した静止形インバータ (SIV・三相交流440V出力・容量210kVA) を編成で2台搭載し、電動空気圧縮機 (CP) はクノールブレムゼ社製の都営地下鉄では初めてのスクリュー式を採用し、編成で2台搭載する。蓄電池は両先頭車に搭載する。パンタグラフは都営地下鉄で初めてシングルアーム形を採用し、末尾1と7の車両に2台、末尾5の車両に1台搭載した(10両編成では末尾1と5と7の車両に2台)。パンタグラフはE231系で使用されているPS33B形に似た形状であるが、バネカバーやイコライザー取り付け枠の形状などが異なる。 E231系と同様に列車情報管理装置 (TIMS) を搭載している。これにより各機器のインタフェースを行うことで車両間配線や艤装の簡略化、車両の軽量化を図っている。乗務員支援機能としては出庫点検機能の自動化、また月検査の各試験項目をTIMSによる自動点検機能を設けている。 運転台にはTIMSモニタ表示器を設置するが、JR車と異なり京王線で使用するTNS装置モニタ表示器も搭載しており、ATC導入前は前後駅の発着時刻はTIMSモニタ画面ではなく隣接のTNS装置モニタ画面に表示されていた。(その後、ATC化に伴い使用停止となった。)画面上での号車番号は車両番号の一の位の数字と一致しており、将来の10両化を見据えて3番目と4番目が欠けた状態になっていた。(一部編成では埋められた。) ただし、現在のTNS装置モニタ画面は京王ATC表示灯の設置改造で移設されている(後述)。また、10-370F以外のTNS装置モニタ画面はモノクロタイプであるが、これは廃車になった10-000形の初期編成から京王形ATS等とともに転用されたためである。 前面・側面にはLED式の種別行先表示器を設置している。書体は前面の運行番号表示器も含めてゴシック体である。側面の行先表示器は70km/hを超えると自動的に消灯する。 自動放送音声搭載され、車外放送用に乗車促進チャイムを搭載する。登場当初は電子音のベルだったが、その後チャイムに変更された。ドアチャイム付きの車内案内表示器は各ドア上に設置されている。ドアエンジンにはE231系と同タイプの電気式のスクリュー軸駆動式を採用している。 車椅子スペースは先頭車両と同車両から2両目(車両末尾-0,1,8,9)に設置されており、編成では4か所となる。車両間の貫通扉は都営地下鉄では初めて傾斜式戸閉機構とされた。
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