解体工事の遅延
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 08:24 UTC 版)
「国立競技場の建て替え」の記事における「解体工事の遅延」の解説
日本スポーツ振興センター (JSC)による入札の不手際により、解体工事の開始が遅延した。1回目の入札では、中堅ゼネコン各社が入札に参加、2014年5月29日に開札されたが、すべての入札価格が予定価格を上回り不調に終わった。2回目の入札では参加資格が緩和され、より多くの業者が参加し、2014年7月17日に開札された。南北2工区とも関東建設興業株式会社が落札したが「1番札(最も安い価格)」ではなかった。南北2工区の1番札であった株式会社フジムラおよび南工区の2番札であった株式会社関口興業は「特別重点調査」により無効と判断されたためである。フジムラがJSCに抗議に出向いたところ、JSC幹部は官製談合の疑いを示唆、JSCは公正取引委員会への報告を経て調査部会を設置して調査した。(調査部会はJSCの理事、JSC指定の弁護士・公認会計士で構成されており、明らかに「身内の調査」であった)。8月19日JSC調査部会は「官製談合はなかった」と結論づけたため、フジムラは弁護団を結成して8月28日 内閣府政府調達苦情処理対策室 に苦情処理申立書を提出した。内閣府政府調達苦情検討委員会は、「JSCが調達過程の公正性および公平性ならびに入札書の秘密性を損った」として契約を破棄し、新たに調達手続を行うよう提言、2回目の入札による契約は破棄された。一連の経緯は第187回臨時国会 参議院予算委員会において取り上げられ、民主党 蓮舫議員により、下村文博文部科学大臣・日本スポーツ振興センター(JSC)河野一郎理事長に対し、談合疑惑の追及がなされた。JSC河野一郎理事長は、「(入札情報が)漏れたとは考えていない」「(落札価格の)操作事実はない」と平然と答え、更には、開札前に各業者の応札価格を認識した事実を蓮舫議員に指摘されながら、内部関係者への聞き取り調査さえ「していない」と開き直った。河野一郎理事長は最終的には不手際を陳謝、「聞き取り調査もせずに「談合の事実はなかった」と判断した」ことを認めた。また、蓮舫議員からの調査要請に対し下村博文文部科学大臣は「談合が疑われたので警察庁に通報した」と答弁した。同議員から談合防止のための第三者管理機関創設の考えを問われた安倍晋三内閣総理大臣は「今回は警察に調査を依頼している」と述べた。 下村博文文部科学大臣、安倍晋三内閣総理大臣の答弁を受け、警視庁捜査2課が調査に動くという異常事態に発展した。3回目の入札は2014年12月2日に開札され、北工区はフジムラ、南工区は関東建設興業が落札した。当初2014年7月開始予定であった解体工事は、大幅に遅れ、2015年1月から開始されることとなった。基礎の一部は解体せずに流用するなど、一部計画を変更した。 2013年 11月 - 総床面積の縮小を発表(約29万m2→約22万5000m2)。 2014年 01月 - (23日)「基本設計」に着手したとJSCが発表。フレームワーク設計を担当した4社JVが担当。 05月 - 「基本設計」が発表。21万0878 m2(機能上の面積 は22万2606m2)まで再縮小。 08月 - JSCが技術協力会社を募る。「施工予定者技術協力方式」「ECI方式」を採用。 12月 - スタンド工区を旧国立の建設にも携わった大成建設(3社が応募:次点は清水建設で次々点は大林組)と1億2400万円で、屋根工区を竹中工務店(2社が応募:次点は清水建設)と1億2500万円で契約締結し、両社による「設計技術協力」が開始。 2015年 05月 - 開閉式屋根の設置を、2020年の五輪終了後に延期する方針を発表。 05月 - 「スタジアム本体」の解体作業が完了。9月末までに建物基礎の解体、がれき処理終了を目指すとした。地下を掘る(大量の残土が発生)前に、旧国立を支えていた杭(5000 - 10000本あるとされる)を抜く必要があるともいわれた。 07月 - (7日)「実施設計」が発表。 07月 - (9日)スタンド工区の大成建設にJSCが一部資材を発注し、施工業者と本件初となる契約を締結(32億9400万円)。基礎工事を10月から開始し、スタンド、屋根、外装・内装、フィールドの順で着手する予定とした。現場工事は、大成建設統括所長の伊藤清仁が率いる。作業所長は八須智紀氏。 07月 - (14日)月内にも、JSCはキールアーチ用の資材を発注する予定と報じられた。 07月 - (17日)一転、安倍晋三首相が計画白紙化を表明。 10月 - (23日)「地表」すべての解体作業を終了(それぞれA案では「準備工事」、B案では「解体工事」 の期間を設けている)。砂塵対策で更地にクローバーの種を蒔いた。 2016年 01月迄 - 業者決定の予定(2015年8月時点の計画)。 06月 - (24日)基本設計を完了(当初は5月を予定)。 12月 - (11日)着工(当初は2015年10月を予定)。 2019年 11月 - (30日)大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体より竣工引き渡しが完了。
※この「解体工事の遅延」の解説は、「国立競技場の建て替え」の解説の一部です。
「解体工事の遅延」を含む「国立競技場の建て替え」の記事については、「国立競技場の建て替え」の概要を参照ください。
- 解体工事の遅延のページへのリンク