球場付属施設の開発
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「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」の記事における「球場付属施設の開発」の解説
本球場が建設された貨物ヤード跡地は、全体で11.6haの広大な土地であり、そのうち球場用地として利用されるのは中央部分の約5haである。残る球場を挟んだ東側と西側の未利用地には、プロ野球が開催されない日も賑わいを創出できるよう「集客施設」が建設される。 2006年9月に行われた球場設計コンペでは、設計者が球場設計案と共に、この未利用地の将来の整備イメージを提出することが認められており(広島市は参考意見として聴取)、最優秀案に選ばれた環境デザイン研究所案では、「鯉をイメージした躍動する屋根」「スポーツミュージアム」「平和広場(イベントステージ)」などが提案された。 2007年11月、正式に広島市はこの未利用地に集客施設を建設・運営する民間事業予定者の募集を行った。募集要項では、「景観的に球場とのバランスが取れていること」「JR列車からの景観に配慮すること」等が条件とされた。計画の策定が円滑に行われるようにするため、民間事業予定者に対してコンセプトやデザインの指導を行うマスターアーキテクトには、新球場設計者である環境デザイン研究所が任命された。 その後、2007年12月中旬までに5つの民間事業体から、アミューズメント施設、フィットネスクラブ、スポーツクラブ、温浴施設、観覧車などの集客施設の他、飲食、物販の商業系施設、併せてマンション、病院などを建設する概要案の応募があり、さらに2008年3月下旬までに、これら概要案を応募した5社のうち、3社から詳細な事業計画案が提出された(残る2社は失格、または辞退)。 選考委員会で審査した結果、三井不動産、コナミスポーツ&ライフ、ラウンドワン等で構成する民間事業体の計画案「Hiroshima Ball Park Town」が、「資金計画や出店企業が具体的で実現性が高い」「事業内容が近隣の商業施設と競合しない上、広域集客が見込める」などの観点から最優秀案に選ばれ、広島市は同年4月28日、新球場周辺の事業予定者とすることを正式決定した。 最優秀案は、球場西側地区(A地区1.8ha)を「観客を迎え、交流を育むライフスタイルセンター」とし、大型スポーツストア、コミュニティホテル、マンションの他、球場の利便性向上に貢献する商業施設として飲食・物販等のサービス店舗が整備される。一方、球場東側地区(B地区2.6ha)は「様々なスポーツ・レジャーを満喫できるスポーツ&エンターテイメント」とし、大型スポーツクラブ、複合エンターテイメント施設が並ぶ予定である。西側地区は球場の玄関となる大型スロープと連結し、また東側地区は球場の大型コンコースに連結することで、球場と各施設を合わせた街並みに回遊性が生まれる計画である。土地購入費を含めた総事業費はA・B地区併せて160億円、新球場と併せて年間680万人の集客を見込むものとされた。 当初は最優秀案で提示された各施設の基本計画の策定を2009年2月に終了させ、実施設計を経て、2009年9月に球場東側地区(B地区)、2009年12月に球場西側地区(A地区)が着工する予定としていた。しかし、折からの急激な国内経済情勢悪化に伴い、主要企業以外に出店が見込まれていたテナントの事業参画交渉が難航しているとして、事業代表の三井不動産は2009年2月16日、基本計画書の提出期限延長を申し入れたため、広島市も了承し、工事着工は先延ばしされた。 2010年10月28日、三井不動産は「難航していたテナント誘致にめどがついた」として、策定が遅れていた基本計画書を広島市に提出した。この計画では球場東側地区(B地区)の先行整備を行うこととし、ラウンドワンに代わって、ウェアハウス・クラブ(会員制倉庫型卸売小売)チェーンのコストコホールセールを、さらにコナミスポーツ&ライフに代わってルネサンスを誘致するものとなった。さらに、これら集客施設と球場は接続されており、プロ野球開催時には集客施設・商業棟内に球場集客用の駐車場が200台分用意される内容となっている。B地区における総事業費は約100億円である。 これを受けて、広島市は基本計画と最優秀案「Hiroshima Ball Park Town」との整合性を精査、さらに球場西側地区(A地区)の整備を確約するよう三井不動産と協議を行った結果、2016年2月までに三井不動産がA地区の用地を購入することになった。こうして2011年1月14日に計画は承認され、2011年12月から球場東側地区(B地区)の工事が開始、2012年9月に「ルネサンス 広島ボールパーク店」、2013年3月に「コストコ広島倉庫店」がオープンし、さらに2014年8月にマンション(ボールパークレジデンス)が竣工する一方で、球場西側地区(A地区)は、球場東側地区に当初予定されていたアミューズメント施設の誘致を目指すとされ、引き続き計画の調整が行われた。 2014年1月8日、広島市は三井不動産が示した球場西側地区(A地区)の開発計画を承認したことを発表した。大型スポーツショップ出店が計画されていたプロムナードの北・球場寄りのエリアは広島球団が三井不動産から土地を買い取り、総工費16億円をかけて広島球団史上初となる球場と隣接した屋内練習場が建設されることになった。この練習場は45m四方のグラウンドと4つのブルペン、4台のピッチングマシン、さらに2階、3階には多目的室を備えており(3階多目的室は炊事・調理が可能)、従来の大野練習場より大きな3,206m2の空間が確保されている。さらにプロムナード北・入口部分のホテル・賃貸アパート建設を計画していたエリアには15階建てのマンション(ボールパークレジデンスII(仮称))が建設され、球場完成以後は駐輪場やシャトルバス乗り場として利用されていたプロムナード南エリアは、アイ・ケイ・ケイによるゲストハウス型の結婚式場が誘致されることになった(これに伴い、駐輪場はプロムナード下に移設された)。A地区における総事業費は約66億円である。 東側で計画を断念したアミューズメント施設は西側でも実現しなかったものの、1軍選手用の施設とされる広島球団の屋内練習場は3階部分にプロムナードに連結した歩行デッキが設置され、ファンが気軽に練習風景を見学できるようになった。また少年野球教室等のイベントにも活用されている。さらにゲストハウス型結婚式場には一般利用可能のカフェとレストランが併設されている。 屋内練習場と結婚式場は2015年3月に竣工、マンションは2016年10月末に竣工し、これをもって球場西側地区(A地区)および東側地区(B地区)における付属施設の開発は完了した。 完成した球場東側地区・集客施設の全景 2012年9月にオープンしたルネサンス棟(球場内側) 2012年9月にオープンしたルネサンス棟(球場外側) 2013年3月にオープンしたコストコ広島倉庫店 2015年3月に完成した広島球団の屋内練習場 屋内練習場内部。手前に内野ダイヤモンド、その奥に打撃練習用スペース 2015年3月にオープンしたゲストハウス型結婚式場
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