現代のドキュメンタリーとは? わかりやすく解説

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現代のドキュメンタリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 22:03 UTC 版)

「ドキュメンタリー」記事における「現代のドキュメンタリー」の解説

第二次世界大戦後ドキュメンタリーは、産業映画教育映画呼ばれる分野から、新植民地主義資本主義への異議を唱えるものにいたるまで多様化し、さらにテレビジョン登場普及によってテレビ・ドキュメンタリーという放送前提とした作品分野登場したその中で古典的スタイルドキュメンタリー制作深刻な社会的問題連動して盛んに制作された。たとえばベトナム戦争時代にはヨリス・イヴェンス米軍北爆曝されるハノイ入り市民日常撮影し てベトナムから遠く離れて』(1967年)や『北緯17度』(17e parallèle: La guerre du peuple 1968年)を制作したなかでもベトナムから遠く離れて』はクリス・マルケルジャン=リュック・ゴダールなどフランス気鋭映画作家たちとの共作となった日本人では、牛山純一テレビドキュメンタリーとして『南ベトナム海兵大隊戦記』を制作した日本においてはほかに『絵を描く子供たち』を制作した羽仁進水俣病追及し続けた土本典昭三里塚闘争描いた小川紳介、『ゆきゆきて、神軍』の原一男などが活躍した。 さらに8ミリ映画16ミリ (16 mm film) 映画ビデオカメラなど廉価扱える機材普及したことで、極めて私的な世界扱った個人映画勃興した。たとえばジョナス・メカス (Jonas Mekas) の『リトアニアへの旅の追憶』(Reminiscences of a Journey to Lithuania 1972年)はアメリカに暮らす作者自身生まれ故郷であるリトアニア訪ねる様子を自らの撮影構成した一見ホームビデオ的な作品であるが、世界中で個人映画記念碑的作品として支持された。 一方で観客劣情訴え娯楽としてのドキュメンタリー映画テレビ・ドキュメンタリー普及以前には流行した。これらは世界各地大都市の夜の風俗退廃的奇怪なイベント欧米以外のアジア日本も含む)やアフリカ民族の「野蛮な風習切り取ったのである。特にグァルティエロ・ヤコペッティの『世界残酷物語』(1962年)は海外旅行の珍しい時代世界奇習紹介して大ヒット記録し以後1980年代前半衰退するまでこの手ドキュメンタリー数多く制作された(これらの映画モンド映画呼ばれている)。 これらのモンド映画当初から多くのやらせを含んでいたほか、ヨーロッパ側から劣った東洋アフリカを見るというオリエンタリズム的な視線があったことが批判されている。モンド映画ブームの後半にはやらせの手の内を見せ半ばフィクション的なものが登場したほか、観客もやらせの存在暗黙の了解として楽しむようになり、やがてテレビによるショッキングな特集番組などに吸収され消えていった。 また、ドキュメンタリーの制作技法ステレオタイプ化し手持ちカメラなどドキュメンタリー特有の技法逆手に取って臨場感本物感のあるフィクションドラマ)が制作されるようなケース1970年代以降現れこうした手法はすでにハリウッドなどでも一般化している。さらに日本においては1980年代頃から伝統的な取材構成形式の他に、ドラマとともに構成された「ドキュメンタリードラマ」 (Docudrama) (アメリカでは1970年代確立され形式である)、クイズスタジオでトークショーなどを織り交ぜた「ドキュメントバラエティー」などが登場しそれぞれ一般化している。 1990年代以降テレビ放送では「リアリティーショー」と呼ばれる一定の極端な設定のもとでの、台本なし(という建前)の、視聴者から募った素人出演者など登場人物言行固定カメラ観察するというスタイル世界的に流行した。この技法真実らしく表現するという意味では、その監視カメラ的な映像故に斬新であったが、演出された(または虚構の)撮影対象表現手法よって真実らしく見せてしまう実例が目立つ。 リアリティー番組実話再現番組警官密着番組日本の警察24時アメリカでは全米警察24時 コップス)などの隆盛により、人々台本のあるドラマよりも真実ドキュメンタリーらしく見えるものを好みつつある傾向明らかになってきた。また、2001年アメリカ同時多発テロ事件の影響ドラマ打撃を受け、一方で監督本人素人社会問題などに突撃するリアリティー番組似たスタイルドキュメンタリー映画良い興行成績を出すようになった。『華氏911』や『スーパーサイズ・ミー』などはその例である。

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