概要と走行方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 22:28 UTC 版)
「東京箱根間往復大学駅伝競走」の記事における「概要と走行方法」の解説
各競技者とも走行は1区間に限られる(内規第15条第2項)。競技者は競技中に理由の如何を問わずいかなる人の手助けを受けても失格となるとされているが、大会医務員が触診のために競技者の身体にふれても手助けとはならない(内規第15条第4項)。当然ながら禁止薬物の使用は厳禁とされており(内規第15条第5項)、大会の要項にはドーピング検査等に関する規定がある。 1区と6区を除く往路と復路の各区間において給水が実施されるが、給水場所の選定や実施方法については駅伝対策委員会で設定される(内規第15条第6項)。各区間の給水場所(給水ポイント)は、近年チーム間で給水の必要性が議論されて設けられたものである。ただしマラソンなどで行われる給水とは異なり、テーブルに置かれたボトルなどを取るのではなく、各チームの部員あるいは各チームが許可した大学関係者が伴走しながら渡す。必ずしも長距離部門の部員に限られておらず、2013年の往路は早稲田大学のやり投げ選手であるディーン元気が、2020年では東洋大学の競歩選手である川野将虎が給水スタッフを務めた。給水要領 によると主催者が用意する水・スポーツドリンクを使用することとしており、競技者はいずれかもしくは両方を飲むことができる。ボトルは協賛しているポッカサッポロフード&ビバレッジのものが使用されている(ヴィッテル→ヴァットヴィレール→富士山麓のきれいな水)。以前は監督の任意で認められていた2回までの給水が認められていたが、給水方法が道路交通法に抵触するおそれがあるため2015年の第91回大会から禁止された。 鉄道踏切における遮断閉鎖は不可抗力ではあるが、審判員が計時を行い、その間のロスタイムは競技者の所要時間に含まれないこととなる(内規第15条第7項)。実際には近年は鉄道会社の配慮によって電車の一旦停止やダイヤ調整が行われている。2012年の京急蒲田第一踏切の高架化によって第89回(2013年)以降に競走路上に存在している踏切は箱根登山鉄道の小涌谷踏切のみとなった。東海道踏切(JR東海道線・横須賀線。通称・戸塚大踏切。現在は廃止) - かつては戸塚中継所の近くにある東海道線・横須賀線の東海道踏切(戸塚大踏切)を通るコースが設定されたが、開かずの踏切だったため、状況によっては長時間の立ち往生を余儀なくされた。当時は踏切での足止めによるタイムロスが計算されず、業を煮やした選手が踏切上で立往生した貨物列車のすき間をかいくぐったり、列車が来ない合間を見計らって踏切を突破したりすることもあった。第20回(1939年)では、先行する専修大学を猛追していた日本大学が、ここでの足止めが元で優勝を逃したというケースもあり、このタイムロスを味わった選手は「あの時以来横須賀線には乗らない」と振り返っている。しかし、1953年、当時首相の座にあった吉田茂が大磯の私邸から上京する際にこの区間が渋滞することに激怒し、バイパスが造られ、これによって箱根駅伝のコースもバイパス側に再設定されたため結果として踏切遮断による足止めが解消されることとなった(バイパスについては戸塚道路も参照)。なお、戸塚大踏切については2015年3月25日にアンダーパスが開通したことに伴い、廃止された。 蒲田第一踏切(京浜急行電鉄空港線。現在は廃止) - 第88回(2012年)まではコース上(往路1区・復路10区)には京急空港線の京急蒲田駅に隣接する京急蒲田(空)第一踏切があり、ランナーの通過が予想される時刻を対象に京急本線・空港線と、同路線に直通運転する都営地下鉄浅草線・京成電鉄押上線・成田スカイアクセス線・北総鉄道北総線で臨時ダイヤを組むなどして電車の行き先を変更していた。2007年の第83回から、列車の発車は京急社員の代用手信号によって許可されるなどの措置が取られていた。第84回(2008年)では東海大学の選手が踏切内の線路につまづいて足を痛め、その後20km過ぎで棄権に至るというアクシデントが発生した。その後、2010年5月16日、上り線が先行して高架化された為、臨時ダイヤが大幅に変更され、選手通過中は踏切を使用停止にする事が可能となった。その後、2012年10月20日に立体交差化事業が完成したことによって蒲田第一踏切は廃止となり第89回(2013年)以降は当該ポイントでの踏切通過はなくなった。 小涌谷踏切(箱根登山鉄道鉄道線) - 小涌谷駅横のコース上(往路5区・復路6区)にあり、現在では選手が通過する時間帯に箱根登山鉄道の係員が待機し、選手通過時には電車を踏切手前で停止させる措置がとられている。かつては箱根山中で箱根登山鉄道の踏切に駅伝の隊列が引っかかり、やむを得ず選手を先に行かせて関係車両が後から追い掛けるハプニングもあった。最近ではバイクカメラによる中継で選手を後ろから追うことも多くなっているが、このハプニングの際には通常は選手の正面から撮影している大型の中継車が選手の後姿を放映するという、当時としては珍しい映像が放送される事態になった。第89回(2013年)以降は小涌谷踏切がコース上唯一の踏切となった。 特殊事情によって審判員に走行を制止された場合のロスタイムも原則として競技者の所要時間に含まれないが、この場合の計時も審判員が行う(内規第15条第8項)。2001年の箱根駅伝では復路のスタートで2位以下のチームについてもスタート時にピストルを鳴らすように変更された。しかし、ピストルに弾を詰め直す作業が間に合わなかったためか、3位の法政大学が本来の時間から25秒遅れでスタートするハプニングがあり、この年の法政大学の記録はこの25秒を含まない時間となった(これを教訓に、翌年の箱根駅伝からは再び2位以下は手旗によるスタートに戻っている)。
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