概要と重要性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 08:02 UTC 版)
「紡錘体チェックポイント」の記事における「概要と重要性」の解説
中期の開始は、染色体のキネトコアへの微小管の連結と、細胞の中央部への染色体の整列によって特徴づけられる。各染色分体にはキネトコアが存在し、姉妹染色分体の各キネトコアに結合した微小管はそれぞれ細胞の反対側の極から発したものである。これらの微小管は染色体を細胞の両側の極へ引っ張る力を発生させるが、姉妹染色分体間の接着がこの力に対抗する。 中期から後期への移行段階では、この姉妹染色分体間の接着は解消され、分離された染色分体は紡錘体微小管によって細胞の両側の極へと引っ張られる。染色分体は紡錘体極の物理的な移動によってもさらに分離される。未成熟な段階で染色分体の分離が起こると、染色体の誤分離と娘細胞での染色体の異数性が引き起こされる可能性がある。そのため、中期でのチェックポイントは、染色体が適切に接着するまで後期への移行を防ぐ役割を果たす。 細胞の同一性と適切な機能を維持するためには、各細胞分裂後に適切な染色体の数が維持される必要がある。染色体数が正常よりも少ないまたは多い娘細胞が形成されるエラー(異数性と呼ばれる)が生じた場合、最善の場合には細胞死が引き起こされるが、壊滅的な表現型が生じる可能性もある。 がん細胞では異数性は頻繁にみられる現象であり、これらの細胞では染色体分離に関与する装置や分離の適切な遂行を保証する機構に欠陥が存在することを示している。 ヒトのダウン症候群では親の減数分裂時の染色体分離の欠陥の結果、子の細胞は21番染色体の余剰コピーを有している。減数分裂時の欠陥によって余剰の21番染色体を持つ配偶子が形成され、この配偶子が受精後に21番染色体を3コピー持つ胚を形成する。
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