概要と近年の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:51 UTC 版)
「太陽光発電のコスト」の記事における「概要と近年の動向」の解説
太陽光発電のコストの相場は、いまのところ他の電源の数倍とも言われる。電力量あたりのコストでは価格競争力が不足するため、現時点では普及促進に際して助成が必要とされる。しかし普及に伴い、ほぼ経験曲線効果に従って価格が低下し続けている。2012~2020年には条件の良い国・地域から、既存の火力発電と発電コストで競うようになると見られる。一部地域では2011年時点でグリッドパリティが既に達成されていると見られる。また中長期的には、コストが最も安い発電手段の一つになると見られている(右図)。 開発初期の太陽電池は高価で性能も低く、僻地での通信や人工衛星、海に浮かぶブイ等、限られた用途で使われた。1970年頃の日本におけるコストは、数千万円/kWであった。 2008年末の時点では、(結晶シリコン太陽電池が主体の)比較的高出力(125Wp以上)のモジュールについては、需要逼迫による価格の高止まりが数年間続いていた。2009年は結晶シリコン原料の増産が追いつくことで値下がりが見込まれていたところ、実際に2009年に入ってから世界的に価格の低下が始まった。普及で先行するドイツでは、国内における設備導入費用が2006年からの5年間で半額以下になっている。 現在の価格は(地域や国、統計によっても異なるが)たとえば2011年10月の時点の平均でモジュール価格にして容量1Wpあたり約2.6ドル、発電量1kWh当たり15~65セント程度と報告されている。発電量あたりのコストでは比較的高いが、一部の国では系統電力価格よりも安価になっている。最も安いモジュールの容量あたり単価は2011年10月時点でWpあたり約1.2ドルまで下がっている。 グリッドパリティの目安はモジュール生産コストにして1Wpあたり1ドルとされたが、2009年にFirstSolar社が0.88$/Wpを達成している。またグリッドパリティの価格水準は国や地域ごとに大きく異なり、1$/Wpよりコストが高い場合でも国や地域によっては既に達成されていると言われる。 ドイツにおける設備導入コストは、2006年からの5年間で半額以下に低減している。2017年には助成が不要な水準まで安くなると見られている。 欧州主要国(フランス・ドイツ・イギリス等)では、2020年までに順次、既存の火力発電とコストで競い始めると見られている。 米国の条件の良い地域では、2012~2014年頃に天然ガス等の発電コストよりも安くなってくると見られる。 既に一部の生産企業はモジュールの生産コストが$0.84/Wpまで低くなったとしており、売り上げを伸ばしている。2014年にはさらに$0.52~$0.63まで安くできると表明している。 日本国内においては、補助金が中断した2005年頃から国内市場は縮小・コスト増加傾向を示した。このため2009年から新たな普及促進政策が施行され、価格も再び下がり始めている(太陽光発電のコスト#政策も参照)。 蓄電池を用いた独立型システムにおいても、今後の価格低下と途上国などでの普及拡大が予測されている。 こうしたことを踏まえ、“2030年ごろになっても経済的に自立できない”などとする主張は誤りであるとの指摘もなされている。
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