中期から後期への移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 08:24 UTC 版)
中期から後期への進行は、姉妹染色分体の分離によって特徴づけられる。姉妹染色分体の分離と後期への移行を防ぐ細胞周期監視機構は紡錘体チェックポイント(SAC)と呼ばれる。紡錘体チェックポイントは染色体分離のエラーに対する安全装置として機能し、すべての姉妹染色分体が二方向型(bi-oriented)配置となるまで後期への移行を遅らせる。 微小管がキネトコアに接着すると染色体は中期板(metaphase plate)に整列し、適切な二方向型配置が達成されるとSACは不活性化される。後期への移行はAPCCdc20の活性化によって媒介される。APCCdc20はユビキチンリガーゼであり、セキュリンに分解のためのタグをつける。セキュリンの分解によって、セキュリンに結合しているプロテアーゼであるセパラーゼが解放されて活性化される。セキュリンに結合したセパラーゼは阻害状態であるが、この阻害が解除されると、活性化されたセパラーゼは姉妹染色分体を結び付けているコヒーシン複合体を切断する。 Cdc20(英語版)が存在しない場合、APCは活性化されず、後期は開始されない。Mad2はAPC、Cdc20と三者複合体を形成し、直接的な物理的相互作用によってAPCの活性を阻害することが示されている。微小管に接着していないキネトコアはMad2によるCdc20の隔離を触媒する。中期の哺乳類細胞を紡錘体脱重合剤であるノコダゾールで処理すると、Mad2は全ての姉妹染色分体のキネトコアに局在するようになる。
※この「中期から後期への移行」の解説は、「Mad2」の解説の一部です。
「中期から後期への移行」を含む「Mad2」の記事については、「Mad2」の概要を参照ください。
中期から後期への移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 08:30 UTC 版)
「後期促進複合体」の記事における「中期から後期への移行」の解説
中期が開始されると、すべての姉妹キネトコアが紡錘体の双方の極に接着する過程が完了するまで、スピンドルチェックポイントはAPC/Cを阻害する。すべてのキネトコアが適切に接着されると、スピンドルチェックポイントはサイレンシングされてAPC/Cは活性化される。M-CdkはAPC/Cのサブユニットをリン酸化し、Cdc20への結合を促進する。その後、セキュリンとM期サイクリン(サイクリンAとサイクリンB)はAPC/CCdc20による分解の標的となる。分解が行われると、セパレースが放出されてコヒーシンが分解され、後期に姉妹染色分体がそれぞれの極へ移動する準備が整えられる。 動物細胞では、基質の分解のタイミングから、少なくとも一部のAPC/CCdc20の活性化は有糸分裂の初期段階(前期または前中期)に起きていると考えられている。サイクリンAが有糸分裂の初期に分解されることはこの説を支持するが、サイクリンBとセキュリンは中期まで分解されない。この遅れの分子的基盤は不明であるが、後期の開始の正確なタイミングに重要であると考えられている。動物細胞では、染色体の二方向性配置を修正する必要がある場合、スピンドルチェックポイントシステムがその遅れに寄与する。スピンドルチェックポイントシステムがサイクリンBとセキュリンの分解を阻害する一方で、サイクリンAの分解を許容している機構は不明である。この遅れは、未知の調節因子との相互作用や、局在化、リン酸化の変化によって説明されるのかもしれない。 APC/CCdc20の活性化はM-Cdkを必要とするが、APC/Cはサイクリンを分解してM-Cdkの不活性化を担う。このことは、 APC/CCdc20が自身の不活性化を促進することを意味している。このネガティブフィードバックループは、M期サイクリンとS期サイクリンの濃度振動によって制御されるCdk活性の根幹となっている可能性がある。
※この「中期から後期への移行」の解説は、「後期促進複合体」の解説の一部です。
「中期から後期への移行」を含む「後期促進複合体」の記事については、「後期促進複合体」の概要を参照ください。
- 中期から後期への移行のページへのリンク