曽谷貝塚
名称: | 曽谷貝塚 |
ふりがな: | そやかいづか |
種別: | 史跡 |
種別2: | |
都道府県: | 千葉県 |
市区町村: | 市川市曽谷二丁目 |
管理団体: | |
指定年月日: | 1979.12.22(昭和54.12.22) |
指定基準: | 史1 |
特別指定年月日: | |
追加指定年月日: | 平成21.07.23 |
解説文: | S54-6-031曽谷貝塚.txt: 曽谷貝塚は、千葉県北部地域に広がる下総台地の西南縁部に位置する。市川付近の台地は、南北方向の谷によって東西に3分されており、西から国分台、曽谷台、柏井台と呼ばれ、それぞれの台地には数多くの貝塚が分布している。曽谷貝塚は、この中の曽谷台に位置し、大規模な馬蹄形貝塚として、近くの堀之内貝塚や姥山貝塚と共に、早くから全国的に著名なものとなっている。 本貝塚は、明治末頃の高橋百太郎氏らによる発掘以来、しばしば調査の手が加えられた。その中で、昭和34年の明治大学による発掘と地形測量、昭和49年から53年にわたる市川市教育委員会による継続的な発掘調査は、本貝塚の概要を明らかにするものであった。 本貝塚は、標高22~25メートルの台地上の窪地の周囲に形成されており、東西210メートル・南北240メートルの規模で、北の谷側を開口部とする馬蹄形をなしている。ただ、貝層は一連でなく、東側に2つ、西側に1つの貝層ブロックが独立的に存在している。この地に、裾野にあたる周辺部に小貝塚ブロックが点在しており、集落としての大きな広がりが予想される。竪穴住居は、窪地周囲の土手状の高まりの頂部から外側にかけて設けられ、貯蔵穴と推定されるピットは高まり頂部から少し入ったところに多く設けられている。埋葬人骨も特に集中することなく、高まりの頂上付近で点々と発見されている。中央の窪地は未調査であるが顕著な遺構はなく、広場であったと推定される。調査によって発見された遺物は、繩文時代早期後半のものから晩期初頭のものまで、断続的にみられるが、竪穴住居を中心とする遺構は、前期から後期にかけてのものに限られており、その中でも顕著なものは質量ともに後期に集中している。したがって、本遺構の住居や貝塚形成の中心は、繩文時代後期にあるといえる。 曽谷貝塚は、全国でも稀にみる大きな規模を有し、遺跡の残存状況も良好であって、学術上きわめて高い価値を有するものである。 |
曾谷貝塚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/25 09:34 UTC 版)
座標: 北緯35度44分49.45秒 東経139度56分6.91秒 / 北緯35.7470694度 東経139.9352528度
曾谷貝塚(そやかいづか)は、千葉県市川市曽谷二丁目にある縄文時代中期末から後期末にかけての貝塚および環状集落の遺跡。縄文時代後期末の土器型式である曾谷式の標式遺跡で、国の史跡に指定されている[1][2]。貝塚形成以前の縄文前期にあたる土層からも遺構が検出されており、集落としてはその時期からの歴史を有する。
概要
国分川中流左岸の下総台地西縁にある標高20-25メートルの台地上に東西210メートル・南北240メートル、中央窪地型で北側に開いた馬蹄形の貝塚である。単独の馬蹄形貝塚としては日本で最も広い[2]。
1893年(明治26年)に山崎直方によって初めて発掘調査され、1935年(昭和10年)に大場磐雄が2体の埋葬人骨を発掘した。1937年(昭和12年)に山内清男が竪穴建物跡を発掘調査し、2年後にそこで検出された土器を加曾利式と安行式の中間形態を持つ土器として「曾谷式」と命名した。だがその後、根拠となる土器が行方不明となり公開されなかったために「幻の土器」と称され、存在自体を否定する説も出された。
その後、周辺の宅地化や曾谷式土器の存在の是非に絡んで度々発掘調査が行われた(1950年(東京大学)・1959年(明治大学)・1960年(早稲田大学)・1962年(明治大学)・1965年(千葉県教育委員会)・1974年-77年(市川市教育委員会)など)。その結果、1960年(昭和35年)には抜歯跡が見られる人骨が見つかったほか、貯蔵穴から貝輪の材料であるイタボガキの貝殻が大量に検出され、貝輪が集落のみならず外部との交易に用いられていた可能性が指摘された。更に竪穴建物跡(前期4棟・中期1件・後期38棟)や貯蔵穴21基、埋葬人骨20体が検出された。こうした成果により1979年(昭和54年)には貝塚周辺約42,100平方メートルが国の史跡に指定された。しかし山内が主張した曾谷式土器が再発見されたのは更に遅れて1987年(昭和62年)のことであった。
現在も周辺地域の都市化・宅地化に対応する形で貝塚周辺での発掘調査が市川市教育委員会を中心に行われている。
脚注
- ^ 市川の国指定史跡(市川市)
- ^ a b 市川市・文化財(国指定)-曽谷貝塚
参考文献
- 『日本歴史地名大系 12 千葉県の地名』(平凡社、1996年) ISBN 978-4-582-49012-1
- 堀越正行「曾谷貝塚」『日本古代遺跡事典』(吉川弘文館、1995年) ISBN 978-4-642-07721-7
関連項目
固有名詞の分類
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