映像流出に肯定的な新聞社説
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「尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件」の記事における「映像流出に肯定的な新聞社説」の解説
読売新聞 読売新聞は2010年11月6日付の「尖閣ビデオ流出 一般公開避けた政府の責任だ」と題する社説において、「政府内部から持ち出された疑いが濃厚で、極めて遺憾な事態である」、「だが、それ以上に残念なのは、こんな不正常な形で一般の目にさらされたことだ」、「政府または国会の判断で、もっと早く一般公開すべきだった」と書き起こし、流出経路については徹底的に調査するのは当然で管理を厳格にする必要性を示しつつ、「もし、これが衝突事件直後に一般に公開されていれば、中国メディアが「海保の巡視船が漁船に追突した」などと事実を曲げて報道することはできなかったのではないか」、「政府・民主党は、今回の事態を招いた責任を重く受け止めるべきだ」などと評し、「中国は速やかに国内の対日強硬論を抑え、日中関係の修復に努めてもらいたい」と結んだ。 また、11月9日付の「ビデオ流出告発 危機感をもって真相の解明を」と題する社説においては、刑事告発された事に触れ、「検察当局に捜査を委ねたのは当然だ」、「検察当局は警察と連携して、迅速に解明を進めてもらいたい」などと評し、「ビデオ映像の一般公開を避け続けた政府にも責任の一端がある」、「改めて国民に対するビデオの全面公開を検討する必要があろう」と結んだ。保安官が名乗り出た翌11日の社説では「法に触れる行為があれば、捜査当局は厳正に捜査すべき」としている。 産経新聞 産経新聞は2010年11月6日付の「尖閣ビデオ流出 政府の対中弱腰が元凶だ」と題する社説において、「危惧されていたことが現実化した」、「問題点は2つある。1つは情報管理の不備だが、より深刻なのはビデオ映像を非公開とした政府の判断である」などと書き起こし、先立って仙谷官房長官が流出だとした場合の改革の必要性について言及したことについて、「一見、もっともらしいが、情報漏洩の「犯人捜し」と組織改革に国民の目をそらそうという意図が透けてみえる」と評し、政府が非公開とした理由である刑事訴訟法47条に触れ、「弁護士でもある仙谷長官が、中国をアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加させようと、故意に条文の解釈をねじ曲げたとしかいいようがない」と評したうえで、仙谷官房長官の発言を引用し、「『大きなメス』を入れるべきは、真実を国民の目から覆い隠し、対中弱腰外交を繰り返してきた民主党政権自身である」などと評し、「菅首相は国民に伝えるべき情報を隠蔽(いんぺい)した非を率直に認め、一刻も早くビデオ映像すべての公開に踏み切るべきだ」と結んだ。 また、2010年11月9日付の「ビデオ流出捜査 優先順位をすり替えるな」と題する社説においても、「不正は法と証拠のもとに明らかにされるのが当然である」、「だが、事の本質は、中国漁船の側に非があることを明確に映し出している映像を、政府が国民の目から隠し続けたことにある」などと前述の評を重ねたうえで、仙谷官房長官が罰則を強化する考えを示した事について、「対処すべき優先順位のすり替えである」、「まず急ぐべきは映像の公開と、中国の反発を恐れて非公開を続けた弱腰外交を反省することだろう」と断じ、能登半島沖不審船事件を引き合いに出し、「直後にビデオが公開され、海保の行動の正当性が裏付けられる結果となった。今回も、その教訓に学ぶべきだったのである」などと評し、「ただちに政府の手で、全面的にビデオを公開すべきである」と結んだ。 また、2010年11月11日付の「海上保安官聴取 流出事件の本質見誤るな」と題する社説においても、守秘義務違反に触れながらも「流出により国民の『知る権利』に応えたという重要な側面も見落とせない」、「事件を担当する弁護士は、海上保安官の言い分を不足なく伝えてもらいたい」などとし、前日の衆議院予算委員会における小泉進次郎のもっと早く公開していれば事件は起こらなかったという発言を引用し、「それがこの事件の本質である」、「菅直人首相は、衝突は中国側に非があったという政府側の共通認識が『流出したビデオで客観的になった』と、効用を一部認める発言まで行った」などと評し、「一刻も早く全世界に衝突ビデオを公開すべきである」と結んだ。 日本経済新聞 日本経済新聞は2010年11月11日の社説で「政府は事件の証拠になる捜査資料だから公判前には公にできないとの見解をとってきた。しかし漁船の船長を中国に帰国させた結果、裁判にかけられないし公開によって名誉を傷つける恐れもない」「ビデオ映像が刑事罰をもって守るのに値する秘密か疑問」とした。11月19日の社説では「国家統治に関する情報を知る権利が国民にある民主主義の原則から、秘密性の薄いビデオ映像を公開しない政府方針は確かにおかしい」「しかし非公開の方針に違法や不正があるわけではないし、映像自体も違法、不正を暴く内容ではない」「その限りでは映像流出を内部告発とは評価しづらく、自分なりの正義感に基づいていたとしても一公務員が政府の方針を覆した側面が重視されよう。正義を実現するには正義にかなう手段をとるべきだった」「保安官の行いを勇気ある行動などと称揚する動きを憂慮しつつ、映像の全面公開を改めて求めたい」とした。 琉球新報 琉球新報は2010年11月6日付の「衝突映像流出 なぜ公開できないのか」と題する社説において、「ビデオが外部に流れたこと以上に衝撃的なのは映像の中身だ」、「中国漁船が意図的に巡視船にぶつかってきた様子が分かる」、「論より証拠」と評したうえで、「ぶつけてきたのが日本人であれば、捜査途中で釈放するなど、まずあり得ない」と政治的な配慮があった可能性を指摘したうえで、かねてより映像を公開してこなかった政府の姿勢に対して「表に出さないのは、中国人船長を釈放した日本側の判断ミスが白日の下にさらされるからか」と疑問を呈し、政府が調査を始めた事について、「論点のすり替えに躍起になっているようにも映る」、「証拠資料が外部に出たこと以上に問題なのは、公表した方が国益にかなうであろう映像を内外に開示せず、中国側の理不尽な言動を助長したことだ」、「真っ先になすべきなのは、この間の対応のまずさを深く反省し、海上保安庁が撮影したビデオ映像をすべて国民に公表することではないか」などと評し、「同時に、映像漏出の原因を突き止め、再発防止を図るべきだ」と結んだ。
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