映像流出に否定的な新聞社説
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「尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件」の記事における「映像流出に否定的な新聞社説」の解説
朝日新聞 朝日新聞は2010年11月6日付の「尖閣ビデオ流出―冷徹、慎重に対処せよ」と題する社説において、「政府の情報管理は、たががはずれているのではないか」と書き起こし、「政府の意に反し、誰でも容易に視聴できる形でネットに流れたことには、驚くほかない」、「一般公開を求める強い意見が、野党や国民の間にはある」、「仮に非公開の方針に批判的な捜査機関の何者かが流出させたのだとしたら、政府や国会の意思に反する行為であり、許されない」、「政府は漏洩(ろうえい)ルートを徹底解明し、再発防止のため情報管理の態勢を早急に立て直さなければいけない」、「映像を公開し、漁船が故意にぶつけてきた証拠をつきつけたとしても、中国政府が態度を変えることはあるまい」などと評し、「ビデオの扱いは、外交上の得失を冷徹に吟味し、慎重に判断すべきだ」と結んだ。 2010年11月11日の社説では「政府の高度な判断を、一職員が独自の考えで無意味なものにしてしまっては行政は立ちゆかない」とし、17日の社説でも「保安官の行為を支持する声が一部に広がっている」とした上で「これはおかしい。政府の方針が自分の考えと違うからといって現場の公務員が勝手に情報を外に流し始めたら国の運営はどうなるか」「保安官の行いは法律で保護される内部告発の要件を満たしてもいない。称賛したり英雄視したりするのは間違いだし、危険なこと甚だしい」「まだ真相が見えない。捜査を尽くし事実を解明する、それがネット時代の情報の公開や保全のあり方について冷静な議論を進めることに繋がる」とした。 毎日新聞 毎日新聞は2010年11月6日付の「尖閣ビデオ流出 統治能力の欠如を憂う」と題する社説において、「漏えいを許したことは政府の危機管理のずさんさと情報管理能力の欠如を露呈するものである」と書き起こし、「早急に流出経路を解明し、責任の所在を明らかにしなければならない」、「政府と国会の意図に反する形で一般公開と同じ結果になってしまったことに大きな不安を感じる」、「この政権の危機管理はどうなっているのか」、「もし内部の職員が政権にダメージを与える目的で意図的に流出させたのだとしたら事態は深刻である」、「不満を背景にした行為であるなら、それは国家公務員が政権の方針と国会の判断に公然と異を唱えた「倒閣運動」でもある」、「由々しき事態である」、「厳正な調査が必要だ」などと評し、「菅政権は新たな危機管理も問われている」と結んだ。 また、2010年11月9日付の「尖閣ビデオ 非公開の理由は薄れた」と題する社説においても、「職員が意図的に流出させたのだとしたら影響は深刻だ」と前述の評を重ねたうえで、告発について「海保自身が内部調査の限界を認めている以上、「調査」を「捜査」に切り替えたのは当然である」、「徹底した捜査をしてほしい」と評し、「政府がまず取り組むべきは情報管理体制の再構築と、動画投稿サイトを利用した新しい手口の情報流出に対する有効な対応策を早急に考えることだ」、「罰則強化だけに傾斜するのは問題がある」、「(流出を歓迎する世論は)政府がビデオを一般公開しない理由をきちんと説明していないからだろう」などと評し、「流出した映像は多くの国民がすでにテレビでも見た」、「もはや非公開を続ける理由は薄れたと言わざるを得ない」、「政府は国民の不信をぬぐうため時期を見てビデオを公開すべきである」と結んだ。11月11日の社説では「政府の一員である海保職員が政府の意思に抗する形で投稿したとすれば、妥当性を欠き許されない」とした。また11月14日の社説では仙谷由人官房長官が罰則強化に言及したことについて、毎日、読売、朝日、産経、日経が「筋違い」「短絡的」と揃って批判していることを強調したいとしている。 北海道新聞 北海道新聞は2010年11月6日の社説『尖閣ビデオ 流出は誰が、何の目的で』で、『まず突き止めなければならないのは、映像の出どころだ。(中略)問題は政府の情報管理のずさんさである。(中略)一定の期間は非公開としても、本来は国民に開示すべき情報だ。いつ、どのように開示するのか、政府があいまいなままにしてきた結果が今回の事態を招いたとも言えよう。(中略)あるいは流出の裏に、日中関係の修復に水を差そうとする意図があったのだろうか。ゆゆしき問題である。』と報じた。 中日新聞・東京新聞 中日新聞・東京新聞は2010年11月6日の社説『尖閣ビデオ 政府対応が招いた流出』で、『映像流出は真相にふたをした事件の幕引きに反発する政府関係者が、かかわっている可能性が高い。捜査資料の流出は遺憾だが、それを招いたのは政府の混乱した事件への対応ではないか。』と報じた。 北國新聞・富山新聞 北國新聞・富山新聞は2010年11月6日の社説『「尖閣ビデオ」流出 政府の二重、三重の失態』で、『ビデオ映像が、インターネット上に流出したことは、菅内閣の二重、三重の失態と言わざるを得ない。国家主権にかかわる漁船衝突事件のビデオは本来、政府が一般公開に踏み切ってしかるべきであったが、出所不明の「ネット上の公開」という事態を許し、事件の処理と対中外交の立て直しを一層難しくしてしまった。(中略)対外的な配慮から公にしない重要な「外交機密」でもある捜査情報が、簡単に漏えいするのは国家として由々しいことである。』と報じた。 沖縄タイムス 沖縄タイムスは2010年11月6日の社説『[尖閣ビデオ流出]一体どうなってるんだ』で、『13日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が迫る中の最悪のタイミングで2件も立て続けに起きた情報漏洩(ろうえい)事件だ。国際社会がテロへの警戒を強めているときに、日本に極秘情報を提供すると外部へ漏れてしまう、と思われては安全保障上の深刻なダメージとなる。(中略)もはや秘匿する理由はなく、早い段階で事件映像を公開し、国民と情報を共有すべきだ。(中略)政府は危機感を持って一刻も早く流出事件の真相を明らかにすべきだ。』と報じた。
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