日系人部隊とは? わかりやすく解説

日系人部隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 06:10 UTC 版)

アメリカ陸軍情報部」の記事における「日系人部隊」の解説

真珠湾攻撃1ヶ月前にあたる1941年11月、サンフランシスコ・プレシディオ(英語版)のクリッシー陸軍飛行場英語版)内にて第4軍情報学校(Fourth Army Intelligence School)が設置され、まもなくMIS語学学校MIS language school, MISLS)と改称された。MISLSの校長日系将校ジョン・F・アイソで、その他に日系人インストラクターであるアーサー・カネコ、シゲヤ・キハラ、アキラ・オーシダ、テツオ・イマガワの4名と、60名の生徒(うち58名は日系人、2名は日本居住経験のある白人)が所属した1942年5月には最初のMISLS卒業生アリューシャン列島南太平洋戦地派遣されている。同年5月25日軍事地域から全ての日系人排除する旨の命令により、MISLSはミネソタ州キャンプ・サベージ(英語版)へ移動し1944年8月には同州のフォート・スネリング(英語版)への移転に伴いその規模拡大された。MISLSは終戦までに約6,000人の卒業生輩出しそのうち85%が日系人だった。MIS所属した日系将兵多くは帰米2世日系2世のうち、日本教育受けた後にアメリカ移った者)であった。 MISLSの授業では、日本語読み書き会話翻訳・通訳草書読み方捕虜尋問、『作戦要務令』や『応用戦術』を使って軍隊用語、日本の地理歴史・文化といった、前線日本兵から入手した手紙日記地図等の押収文書の翻訳や、日本兵捕虜尋問為に必要な基礎知識となる広範囲科目を、6か月という短期間集中して教え込まれた。日本語と英語どちらか不十分な生徒は、その訓練期間9か月1年延長された。1週間授業時間も、平日は9時間土曜4時間という極めてハードなスケジュール組まれいただけではなく膨大な量の宿題出され消灯時間過ぎて明かり求めてトイレ勉強する学生少なくなかったという。 オーストラリアブリスベーン郊外にある連合国軍翻訳通訳部(英語版)に配属されMIS隊員は、海軍乙事件の際には、現地抗日ゲリラ福留繁から奪い取った新Z号作戦計画書の解読並びに翻訳尽力した。 他にも、大戦末期沖縄戦では少なくとも日系人通訳兵(非MIS隊員)が170人、語学兵(MIS隊員)が152派遣されていたことが判明している。沖縄戦では、防衛プラン軍隊位置示した文書砲兵隊位置示した地図などの日本語文書翻訳したことや、沖縄方言投降呼びかけたりしたことによって、沖縄戦短縮貢献しMIS派遣されていなければ更に犠牲者増えていたと言われている。一方軍政府内の住民尋問室では、日系人通訳による暴力的な尋問が行われることがあった。また、沖縄戦進駐軍MIS隊員なかには、「米軍が今もっとも必要とする人間」として認められ現実満足して日本人見下す者もいた。当時日本政府機関民間団体が、何らかの許可申請陳情を行うのには、まずこの窓口にいる日系2世担当官媚を売る必要があった。 任務性質からMIS存在戦中戦後通して長らく極秘扱いとされ、元隊員らも日本側から裏切り者」と非難されることを恐れて経歴明かそうとしない者が多かったMIS存在アメリカ国内公に知られるようになったのは、1972年ニクソン大統領当時)が第二次世界大戦期軍事情報機密扱い解除する大統領命令11652号を発令してからのことだった。1980年5月9日には、MISLSの後身にあたるカリフォルニア州モントレーにあるアメリカ国防総省外国語学校DLI)の3つの建物に、第二次世界大戦戦死した日系人兵士であるフランク・タダカズ・ハチヤ、ユキタカ・“テリー”・ミズタリ、ジョージ・イチロー・ナカムラらの名前が冠せられた。 戦後55年経った2000年4月部隊に対して授与されるものとしては最高級栄典となる大統領殊勲部隊章英語版)がMIS贈られた。2010年10月アメリカ合衆国議会(第111議会)にて日系人部隊(MIS442連隊100大隊)への議会名誉黄金勲章授与に関する法案承認された。授与式典は2011年11月催された。 第二次世界大戦における日系2世将兵贈られ議会名誉黄金勲章(裏)

※この「日系人部隊」の解説は、「アメリカ陸軍情報部」の解説の一部です。
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