日本の製薬業の歴史とは? わかりやすく解説

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日本の製薬業の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 16:06 UTC 版)

製薬」の記事における「日本の製薬業の歴史」の解説

日本の製薬業の歴史は古く奈良時代には貧民救済施設兼ねていた施薬院作られており、正倉院にも当時中国王朝から輸入したとされる薬物残っている。しかし、この当時薬草中心成していたため、そのまま服用する生薬として用いられることが多く創るものではなくどちらかというと栽培するものとい時代だったと考えられる。現在でも薬草民間療法使われたり、原材料になるものもあり、広い意味では製薬通じる。 続く平安時代入ってからも薬草中心占め、いわば薬草中心時代長く続くことになる。この頃には輸入書籍によって漢方薬知識導入されるようになり、国内でも当時医学・薬学集大成ともいえる医心方編纂されたが、日本具体的な(配合薬)が創られるのは鎌倉時代以後となる。 鎌倉時代から室町時代安土桃山時代戦乱時代であり、戦乱からの貧民救済行っていた寺社製薬主な担い手となり、東大寺の「奇応丸」や西大寺の「豊心丹」などが作られている。また、個々の家で家伝薬とされる和漢薬が創られはじめたのも鎌倉時代からである。この当時に創られた家伝薬としては「三光丸」や「宇津秘薬」があり、三光丸作る三光丸本店鎌倉時代から続く現在日本で最も古い製薬企業とされ、宇津秘薬その後宇津救命丸と名前を変えてはいるが、こちらも安土桃山時代から続く製薬企業となっている。 小規模な家単位で創られていたが、全国規模で創られるようになったのは江戸時代からとされる江戸時代漢方薬中心として、日本独自漢方医学普及し薬学としての本草学発展人口増加流通網の整備もあり、需要製造増したこの頃紫雲膏中黄膏七ふく龍角散樋屋奇応丸百毒下しといった作られている。現在でも続く七ふく製薬龍角散樋屋製薬はこの同名創業端緒としている。 商業として製薬業発展したのも江戸時代からであり、各地独自に作っていた薬種商大阪道修町集まり薬種中買仲間株仲間一つ)として組織され輸入漢方薬流通一手引き受け日本業の中心地として栄えた道修町は現在でも大手製薬メーカー本社軒を連ねるなど、「の町」として知られる。ここに本社を置く(あるいは置いていた)武田薬品工業田辺三菱製薬塩野義製薬小野薬品工業といったメーカーはこの当時から続く老舗大手メーカーである。 また、富山の売薬代表される配置販売業この頃から急速に全国広まった富山の売薬以外にも、大和売薬近江売薬田代売薬が有名であり、田代売薬ルーツとする久光製薬や、近江売薬ルーツとする武田テバ薬品など配置販売業ルーツとするメーカーも多い。 その後江戸時代中期以降蘭学導入されると、『解体新書』に代表される多く西洋医学書が翻訳・出版されたり適塾鳴滝塾などの私塾各地開設されるなど、西洋医学知識入ってくるようになる明治維新後は、積極的に西洋医学導入努め製薬学科設立日本薬局方制定はじめとして医薬制度整備運営行われるようになった。しかし、それまで輸入販売中心であったため、第一次世界大戦輸入途絶してしまうと、軍事的な側面から製薬国産化急務とされ、その結果道修町にも新薬メーカー次々と設立されアスピリンなどの医薬品合成を行うようになり、日本製薬業合成化学基礎近代的な発展始めた。 しかし、今日的な意味で製薬業発展したのは第二次世界大戦以後のことであり、感染症に効く画期的な抗生物質であったペニシリンや、結核特効薬であるストレプトマイシン国産化がその端緒となっている。ペニシリンストレプトマイシン化学合成ではなく培養によって大量生産されるであったため、発酵醸造技術を持つ食品メーカー主な役割担い、それが契機となり現在でも製薬事業行っているメーカーも多い。明治製菓協和発酵キリンなどがその代表例である。 その後1961年導入され国民皆保険制度により、国民医療機関診療を受けやすくなり、医師処方箋を必要とする医療用医薬品需要高まり急成長する。それまで大衆薬OTC医薬品)の販売主流であったが、1960年代製薬業医療機関ともに技術革新新技術の導入販売促進強化などを行ったために医療用医薬品生産金額急速に伸び1970年代初めに1兆産業成長し、現在までの製薬業発展寄与している。

※この「日本の製薬業の歴史」の解説は、「製薬」の解説の一部です。
「日本の製薬業の歴史」を含む「製薬」の記事については、「製薬」の概要を参照ください。

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