文献史学とは? わかりやすく解説

文献資料 (歴史学)

(文献史学 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 15:15 UTC 版)

歴史学における文献資料(ぶんけんしりょう)とは、史料のひとつで、文書および古文書[注 1]、個人的な日記備忘録などの古記録書籍新聞雑誌など文字によって伝達あるいは記録された資料の総称である。

概要

歴史学的なテキストの関係

文書としては廃棄され、再利用に供した漆紙文書紙背文書を含む。媒体に限らず、木簡竹簡金石文甲骨文粘土板文書パピルス文書なども情報量に応じて文献資料に含めるが、墨書土器や篦書・刻書土器などに記された文字断片は通常は文字資料と呼んでいる。

文献資料は歴史学研究における根本的な資料であり、われわれは歴史的事件や人物に関しての詳細を文献を通じて知ることができる。ただし、以下の点に注意しなければならない。

  1. 当時の人々にとって重大で書き留めておかなくてはならないと意識された事象・事物のみが記録され、すべての事象が記録されるわけではないこと。とくに、あまりにも日常生活に根ざして語るまでもなく当然視されていたような事象・事物[注 2]は記録されず、記録されたとしても廃棄されてしまうケースが多いこと[1]
  2. 時代を遡るほど、著述・編纂が為政者層、体制側、知識階級、有力者側、成人男性、都市住民に片寄る傾向があること。それゆえ、時代が古くなればなるほど、庶民女性子供、地方の実態は掴み難い傾向が生じる。また、掴み得た情報も著述・編纂に携わる階層の価値観を反映したものになりがちである[2]
  3. 記憶違いによる誤記写本として流通する過程で生じる誤写、また、記録・書写の過程で作為による改変なども考えられること。

それゆえ、歴史事象の究明のためには、文献資料を互いに付き合わせて史料批判文献学的な検討をおこなうだけでなく、絵画写真などの図像資料考古学的発見によって得られる遺構遺物などの考古資料、長い間伝承されてきた風俗習慣伝説などの民俗資料、関係者からのインタビューによる聞き取り調査(オーラル・ヒストリー)も視野に入れた論考が必要となる。

脚注

注釈

  1. ^ 特定の相手に意思を伝える公的文書と、請求書や手紙電子メールを含む)など私人間でやりとりされる私文書がある。
  2. ^ たとえば生業衣食住産育排泄にかかわる事象など。

出典

参考文献

関連項目


文献史学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 23:46 UTC 版)

ペリシテ人」の記事における「文献史学」の解説

聖書の記述によればペリシテ人アブラハム時代にはすでにカナンの地定住していたとされるが、この時代ペリシテ人言及した文献聖書除いて他に存在しないため、その起源について諸説存在する聖書の記述では、彼らのルーツハムの子ミツライムの子であるカフトルの子孫であるとされ、「カフトル島から来たカフトル人」と呼ばれている(『創世記』10:13-14、『申命記』2:23)。さらにこれを裏付ける記述は、『エレミヤ書47章4節にも存在する。したがってハムの子カナン始祖とするカナン人とは異な氏族であったとされる。 カフトルが実際にどの地域指しているのかについても諸説あるが、紀元前12世紀頃までに、すでに鉄の精製技術有していたことなどから、クレタ島キプロス島、あるいはアナトリア地方小島1つであった、などの候補挙げられている。今日ではクレタ島であるとの見解示されることが多い。 また、ペリシテ人築いた都市国家の王はセレン呼ばれ、これはギリシャ都市国家のテュランノス(僭主)と同一起源語彙考えられている。

※この「文献史学」の解説は、「ペリシテ人」の解説の一部です。
「文献史学」を含む「ペリシテ人」の記事については、「ペリシテ人」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「文献史学」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「文献史学」の関連用語

文献史学のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



文献史学のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの文献資料 (歴史学) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのペリシテ人 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS