愛知万博閉幕後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:03 UTC 版)
「愛知高速交通東部丘陵線」の記事における「愛知万博閉幕後」の解説
運行会社は、万博閉幕後の利用者数を1日あたり約31,000人と想定し、債務返済に向けての前提ともなっていた。しかし、開業初年の2005年は1日50,000人以上が利用したものの、2年目の1日平均利用者数は約13,000人台に激減した。2007年10月には愛知県が長久手町(当時)に対し、リニモの今後の固定資産税について減免を打診していたことが明らかとなったが、長久手町は「減免するより、税収を乗客増に生かすべきだ」としてこの打診を断っている。その後の利用者数は年々増加し、2009年度には単年度収支が黒字になった。 利用者数低迷の原因として、以下のような点が挙げられている。 沿線に15か所ある大学や高等学校の利用者数が予想以上に少なく、通学利用者の大半を愛知県立大学長久手キャンパス在籍の学生が占めている(最寄駅から学校まで距離が離れていたり、藤が丘駅から直通バスを運行する学校もあり、利用者獲得は見込み通りにはならなかった。また、長久手市と豊田市の境界が公立高校普通科の学区の境界でリニモを利用した通学生の流動が起こりにくい。)。 トランパスを利用して地下鉄や市バスなどとリニモを乗り継いでも割引が行われない。また、トランパスに代わって2011年に導入されたmanacaはリニモでは導入が5年遅れになった(後述)。 藤が丘駅での名古屋市営地下鉄東山線との乗り換えが不便である(リニモのホームが地下2階、地下鉄東山線のホームが地上の高架上にそれぞれあり、乗り継ぎに大人の徒歩で3分以上かかる)。鉄道評論家の川島令三は開業前、著書にて「(沿線から)都心に向かうには藤が丘で乗り換えをせねばならない。あえて乗り換えをさせるのは都市鉄道として失格である。どう考えても東山線の延伸か、計画線である名古屋市営地下鉄東部線あるいは鶴舞線からの支線で八草まで伸ばした方が実用性がある」と評している。 藤が丘駅・はなみずき通駅以外の駅は高架上にあるため、ホームに辿り着くまでに何度も階段を上り下りしなければならない。エレベータとエスカレータも設置はされているが、エスカレータが改札口から最も遠い場所に設置されているケースが多い。 藤が丘 - 杁ヶ池公園間は曲線区間が多く列車のスピードが抑えられるため、距離が短い割に時間がかかる。 運賃が周辺の他の交通機関に比べて高価である。 沿線は都市計画法上の市街化調整区域に指定されている地区が多く、今のところ、法律上は認められている特例措置も導入されていないため、住宅建設が進まず、人口が少なく潜在需要が小さい(特に長久手古戦場駅 - 八草駅間)。 運行会社が学校側に対して藤が丘駅からではなく最寄駅からバスを運行することなどを働き掛けた結果、愛知学院大学が2006年(平成18年)4月から長久手古戦場駅から同大学までのバスを発着させたこともあったが、もともと同大学から名鉄バスによる藤が丘駅までの直行バスが頻繁運行されている上に、長久手古戦場駅から利用すると回り道になることもあって、利用者は僅少で2007年(平成19年)1月末で廃止になった。 2010年(平成22年)4月より、長久手古戦場駅から愛知学院大学・名古屋外国語大学・名古屋学芸大学・名古屋学芸大学短期大学部を巡る無料通学バスの運行が名鉄バスにより開始されている。愛知学院大学へ行く場合、リニモ藤が丘駅から長久手古戦場駅までの定期券を購入し、かつ同駅からこのバスに乗車した場合では、藤が丘駅から有料の路線バスで通学するケースに比べ、月1800円程度割安となるため、このルートに切り替えた学生も出ている。だが、愛知学院大学は藤が丘駅までのバスを引き続き頻繁運行している ほか、他の3大学も地下鉄東山線上社駅や地下鉄鶴舞線赤池駅までスクールバスを運行しており、伸び悩みが見られる。 これまでにも、利用者のさらなる増加を狙って、2006年7月15日の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)開園に合わせて、「Linimo1DAYフリーきっぷ」(大人800円、子供400円)の発売を開始したり、愛知県の事業として、2007年6月16日から通勤定期券利用者を対象とした自転車の貸し出しの実施や、長久手町(現在の長久手市)で行われる催事にてリニモの利用を積極的に働きかけるなどの施策を実施しているが、抜本的な経営状況の改善には至っておらず、今後も利用拡大へのさらなる施策が必要な状況にある。2008年度においては、長久手町がはなみずき通・杁ヶ池公園・長久手古戦場・公園西の各駅前に自転車駐輪場を増設する施策を講じている。さらに2009年度からは愛・地球博記念公園駅北側の空き地を駐車場として整備し、パークアンドライドによる利用の推進も図っている。 2015年現在、長久手市は都市計画の下、長久手古戦場駅周辺で大型商業施設イオンモール及び住宅地・駅前広場リニモテラスの開発を、公園西駅周辺で大型商業施設イケア及び住宅地開発を進めている。また、2015年8月には公園西駅近くに歩行者・自転車用ゲートを新設し、リニモとも利便性の向上を図っている。 2011年より、愛知県企画の地域おこし愛知ぽぷかる聖地化計画と連携した取り組みを行っている。2012年には東部丘陵線(リニモ)のキャラクター をリニモたんとし、全国の公募イラストから決定する『リニモたん総選挙』を行っている等、その他各種イベントとも積極的な連携を図っている。 2015年度(平成27年度)には減損処理実施による減価償却費の減少などもあり開業以来初めて営業・経常ともに黒字となった。
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