対戦車ドクトリンの策定とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 対戦車ドクトリンの策定の意味・解説 

対戦車ドクトリンの策定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/28 13:48 UTC 版)

戦車駆逐大隊 (アメリカ軍)」の記事における「対戦車ドクトリンの策定」の解説

第二次世界大戦勃発すると、機甲部隊集中及び迅速な突破旨とするドイツ軍の「電撃戦戦術各国軍関係者大きな衝撃与えた。既に大規模な機械化部隊有する陸軍にとってもその影響注目に値するものであった1939年ポーランド侵攻におけるポーランド第二共和国崩壊1940年フランス侵攻におけるフランス陸軍及びイギリス海外派遣軍敗北通じて不十分な対戦車能力しか有さない部隊大規模な機甲部隊攻撃を防ぐことはほとんど不可能であるという考えが力を持つようになったフランス戦に関する同時代研究では十分な対戦車兵器持たない歩兵部隊戦車攻撃に対して非常に脆弱であるということ示しており、連合側に立って参戦する可能性があったアメリカでもこの問題に対して関心を払うようになった1941年4月将来対戦車戦闘焦点当てた検討委員会開かれた早急な対策としては歩兵師団の下に対戦車大隊Anti-tank Battalion)を編成することであったが、この方法では対戦車部隊有機的に運用することは難しくなってしまう。会議広く支持集めた案は敵の機甲部隊出現広く対処できるように軍団もしくは軍によって指揮され機動対戦車部隊創設するというものであったが、問題はどの兵科このような部隊を扱うかであった防御的性格を持つという点では歩兵機動的対処部隊という点では騎兵大型の砲を扱うという点では砲兵それぞれ候補として挙げられた。興味深いことに機甲部隊このような部隊指揮権主張することはなかったが、これは彼らの攻撃的な性格そぐわない考えたためであろう指揮権をめぐる問題についてジョージ・マーシャル将軍5月に諸兵科複合的な部隊であるとみなす事で解決図った同時にアンドリュー・ブルース中佐を長とする対戦車計画委員会Anti-Tank Planning Board)を創設し、レスリー・マクネア准将対し早急に対戦車部隊編成するよう命じた歩兵師団各種支援部隊から部隊引き抜きそれぞれ3個の対戦車大隊有する3個の対戦車集団」が早急に編成された。部隊与えられ任務は「素早く積極的に捜索行い敵機甲部隊陣形整え前に攻撃する」というものであった8月には220個の対戦車大隊創設するという計画持ち上がった。これは陸軍規模として55師団想定しており、各師団配備される部隊55個・軍団もしくは軍規運用する部隊55個・総司令部GHQ)の下で戦略予備置かれる部隊が110個の合計220大隊である。1個師団あたり4個の割合対戦車大隊創設するというこの大それた案に従えば全軍の1/4が対戦車任務につく計算になる。 最初に編成された9個の部隊牽引式M3 37mm砲及び75mm砲を半装軌車搭載したM3 75mm対戦車自走砲装備し1941年夏に実施されルイジアナ演習参加したルイジアナ演習には機甲師団参加しており、大規模複合的な機械化部隊行動能力および戦闘能力を試すとともに戦術作戦面での問題洗い出すことになっていた。一方で対戦車部隊側からすれば、機甲集団攻撃司令部直轄対戦車部隊機動的集中的運用によって食い止めることが可能であるという対戦車ドクトリン確立させるチャンスであったマクネア司令部直轄対戦車部隊編成し同時に歩兵師団有する対戦車大隊についても対戦車戦闘主眼置いた運用をするよう命じた結果からいうと、ルイジアナ演習において対戦車部隊機甲部隊攻撃阻止成功した。この結果について機甲部隊側から司令部運用不手際、あるいは不公正な判定よるものだとする意見出された。しかしながら対戦車部隊機甲部隊進撃阻止したことは事実であり、また司令部直轄対戦車部隊よりも師団有する対戦車大隊の方がより戦果挙げたことで新ドクトリン普遍的な性質有していることが実証された。 対戦車部隊11月実施されカロライナ演習参加し、これらを通じて対戦車部隊運用成功であると判断された。11月27日マーシャルブルースの下で戦車駆逐戦術射撃センターTank Destroyer Tactical Firing Center)をフォート・フッド設立し合わせて総司令部の下に53個の対戦車大隊新たに編成するよう命じたまた、より強そうな語感を持つ「タンク・デストロイヤー(Tank Destroyer)」という単語がこの時点から用いられるようになった12月3日既存対戦車大隊総司令部指揮下に再配置された上で戦車駆逐大隊Tank Destroyer Battalion)」に改編された。 新たな対戦車ドクトリンについては1942年6月策定され野戦教範18-5の「戦術的運用戦車駆逐部隊」で言及されることとなった。同教範ではドクトリンについて「戦車駆逐部隊目的1つ、敵戦車撃破である」と述べており、旺盛な攻撃精神を持つことを繰り返し強調している。戦車駆逐大隊小規模防御部隊分割するではなく完全な大隊として運用されることを前提にしており、敵機甲部隊危機直面するまで予備戦力として留め置かれる。また機甲部隊運動対応するための機動能力必要性についても同じく強調されており、この事は戦車駆逐車両の設計において生存性火力よりも速度馬力重視する原因にもなった。 完全に独立した部隊であるという戦車駆逐大隊性格は軍内部人種問題に関してある副作用生むことになった戦争省アフリカ系アメリカ人からなる部隊創設するという方針立てていたが、陸軍では朝鮮戦争時期まで人種による部隊区分残っていた。陸軍省正当な割合黒人部隊創設するよう陸軍迫り既存の2個の大隊黒人部隊改編された。1942年には新たに4個、1943年にも4個(計画では6個)の大隊創設された。いくつかの部隊実践参加しその1つである第614戦車駆逐大隊同大隊は第795および第846戦車駆逐大隊原隊とする)C中隊第3小隊黒人部隊として初め大統領部隊感状授けられ部隊となった

※この「対戦車ドクトリンの策定」の解説は、「戦車駆逐大隊 (アメリカ軍)」の解説の一部です。
「対戦車ドクトリンの策定」を含む「戦車駆逐大隊 (アメリカ軍)」の記事については、「戦車駆逐大隊 (アメリカ軍)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「対戦車ドクトリンの策定」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「対戦車ドクトリンの策定」の関連用語

対戦車ドクトリンの策定のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



対戦車ドクトリンの策定のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの戦車駆逐大隊 (アメリカ軍) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS