国鉄での防振ゴムの応用とは? わかりやすく解説

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国鉄での防振ゴムの応用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 17:09 UTC 版)

鉄道車両の台車史」の記事における「国鉄での防振ゴムの応用」の解説

第二次世界大戦後の日本防振ゴム台車採用した最初期事例1つに、第二次世界大戦後最初新造食堂車となったマシ35カシ36形1950年製)に装着されたTR46がある。 このTR46は、当時量産客車台車であるTR40の派生機種で、従来軸ばね枕ばね共に複数使用の3軸ボギーとし、ばね定数の低い柔らかいばねを使用することで良好な乗り心地実現していた食堂車戦後初め2軸ボギー台車採用するに当たり、ウィングばね式軸箱支持機構採用により高評価得ていたTR40を基本としつつ、乗り心地改善目指して下揺れ枕枕ばねの間に防振ゴムシート挿入したものであった。 この設計変更好成績収め以後食堂車寝台車展望車といった優等車の2軸・3軸ボギー台車各種について下揺れ枕枕ばねの間に防振ゴム挿入する改造工事順次施工されるほどの成功となった。 こうして枕ばねへの防振ゴム採用一定の成果をあげる中、国鉄戦後初の完全新規開発による制式気動車として、キハ44000形を1952年試作する。 このキハ44000形はディーゼルエンジン発電機回し、その電力電動機駆動して走行するいわゆる電気式気動車であるが、その駆動系直角カルダン採用したことで一つ問題生じた直角カルダンでは主電動機電機子軸が線路と平行に配され主電動機長さ車輪のバックゲージに制限されないため狭軌でも採用が容易という利点がある。もっとも、車軸間の線路方向電動機カルダン継手を装架するため、台車軸距従来機械式気動車用よりも長く設計する必要があり、さらに、発電システム電車制御器を併せて搭載する床下機器設置スペース確保する必要もあったことから、台車軸距についてはキハ42000形用のTR29の2,000mmと、この時期電車台車標準であった2,450mmの間をとって2,300mmとされた。 一方搭載可能なエンジン出力が低いキハ44000形の場合軸距増加による重量増を相殺する必要から、台車そのもの軽量化が特に厳しく要求され、しかも主電動機電機子軸に接続される駆動軸位置的に台車の上揺れ枕心皿左右貫通することになったため、物理的に揺れ枕と下揺れ枕の間にコイルばね重ね板ばね設置することが不可となってしまった。 これらの問題対処すべく国鉄が採ったのが、軸ばね下天ウィングばね式として可能な限りばね定数の低い柔らかいコイルばねオイルダンパ組み合わせて使用、さらに揺動特性大きく影響する揺れ枕吊りリンク長を600mmに延伸した上で、TR46で成功した防振ゴムブロックのみを上下揺れ枕間に挿入する特異な設計であった。 DT18・DT18Aと命名された、この特異な設計に基づくキハ44000形用台車は、軽量化コストダウンを特に厳しく要求され、またキハ44000形が最高速度90km/hと高速性能対す要求一段落としていたことから成立した、いわば低レベル妥協産物であった事実完成した実車では基礎ブレーキ装置を両抱式踏面ブレーキしたため制動時軸ばねロックされ防振ゴム以外にばね作用を行う機構無くなり、凄まじい上下動見舞われるなど、この台車劣悪な乗り心地不評買った。 だが、この設計軽量化と製作・保守コスト低減の点では従来台車にはないメリットがある、と評価された。 そのため、液体式変速機搭載したキハ44500形でも軸距を2,000mmへさらに短縮し、端省略した上でこの設計踏襲した台車がDT19・TR49として採用され以後電車用のDT21系(1957年設計)を基本に、揺れ枕部などを一部手直ししたDT22・TR51系(1958年設計)で置き換えられるまで、これらの台車国鉄気動車制式台車として大量生産された。 もっとも、DT19・TR49の設計最終的に失敗判断されており、前述空気ばね試用オイルダンパ改良といった様々な軸ばね特性改善による乗り心地上の試みことごとく失敗終わった。 そのため、DT19・TR49を装着した車両後年優先的に淘汰され一部キハ80系初期車台車交換発生したDT22・TR51系へ台車交換されるなどの経過辿っている。 こうして、日本の国鉄厳し制約迫られ枕ばね簡素化した台車設計していた時期に、民間では、これとは逆に軸ばね簡素化した台車研究開発が、台車メーカー各社ユーザーである大手私鉄各社によって積極的に進められていた。

※この「国鉄での防振ゴムの応用」の解説は、「鉄道車両の台車史」の解説の一部です。
「国鉄での防振ゴムの応用」を含む「鉄道車両の台車史」の記事については、「鉄道車両の台車史」の概要を参照ください。

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