南学の復権とは? わかりやすく解説

南学の復権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/12 08:04 UTC 版)

高知県の文学史」の記事における「南学の復権」の解説

兼山失脚後土佐藩では伊藤仁斎義弟緒方宗哲(1646年 - 1723年)を招き学風一新した。この当時仁斎門下土佐の人陶山南濤(?~1766年)があって『水滸伝』を研究するなど、古義学高知にひろい影響与えたらしい。宗哲は藩主山内豊房の命によって地書『土佐国州郡志』を撰した。 一時古義学の風を受けた土佐学問であったが、その後谷秦山あらわれるに及んで、ふたたび南学朱子学)の興隆を見ることになる。谷秦山1663年 - 1718年、名「重遠」)は長岡郡岡豊の人。代々岡豊八幡宮神職勤める家に生まれた同姓ではあるが谷時中との親類関係はない)。17歳にして京都上り、はじめ山崎闇斎、ついで浅見絅斎師事し、さらに土佐戻って後、書簡によって渋川春海天文暦学神道学び多彩な才能発揮した藩主山内豊房登用され藩士講義を行うが、豊房死後の政変によって、晩年10年余に及ぶ蟄居命じられるその学風闇斎継承し、さらに徹底した日本中心主義をうたうもので、幕末の志士たちに大きな影響与えた。子にあたる谷垣守賀茂真淵教え受けたのも、このような谷家学風背景とうするものであって決して故なしとはしない著作はなはだ多いが、特に高知に関するものとしては式内社考証した『土佐国式社考』(1705年成立)があり、文学的なものとしては幡多郡野中兼山遺児訪ねた折の『西遊紀行』や『吸江十景詩』(1703年)が知られる和歌にもたしなみがあり『秦山詠草』(1735年編)が伝えられる。 秦山は歴史好み、また郷土対す関心深かったこのような学風門下にも受けつがれ、歴史書地誌各種の記録文学などさかんに作られるようになった門下奥宮正明(1648年 - 1726年)は、宝永の大地震惨禍記録した谷陵記』(1707年ごろ)、史料集土佐国蠧簡集』(1726年)、長宗我部地検帳整理した『秦士録』などを著した代官という職業生かした地誌的な著述特色がある。また、秦山の弟子宮地静軒の学を受けた植木惺斎1686年 - 1774年)は『土佐国水土私考』『土佐国淵岳志』などの地誌のほか、家中庶民家門浮沈書きとどめた陸沈奇談』(1751年)を記している。このほか秦山門下の著作としては、沢田弘列『変記』、斎藤実純『明君遺事』、安養寺禾麿『土佐幽考』、入江正雄『詒謀記事』がある。また、やや秦山周辺の人物として、大原富枝小説知られる野中婉1660年 - 1725年)がおり、女訓書随筆朧夜の月』をあらわしている。 秦山の跡を嗣いだのは、谷垣守1698年 - 1752年であった家学によって儒学神道学んだほか、延享元年1744年)には賀茂真淵入門し和歌修めた高知における中央歌壇との交渉嚆矢であり、垣守以降谷家土佐において国学和歌の家として地歩を占めるうになる著作には神道書神代事蹟抄』のほか、人の鑑となるべき徳行集めた土佐国鏡草』(1734年)がある。また、奥宮正明『土佐国蠧簡集』の編纂協力し、その拾遺編んだほか、『秦山集』など父の著作をまとめることにも力を尽くした。 以上、南学系譜属す文人取りあげたが、概して言えばこれらの人々儒者としての意識がつよく、風流風雅の文を以て世に立つという考えかたはきわめて薄かった。したがって、その著作多く思想書歴史書記録類であって文学性はかならずしも高くない漢詩盛んに作られたが、これもまた古文辞派性霊派など近世後期新し文学潮流のなかでつくられ漢詩作品比べれば評価は低い。南学はあくまで経学範囲とどまって近代的な意味での文学とはなり得なかったのである

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