南学の大成とは? わかりやすく解説

南学の大成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/12 08:04 UTC 版)

高知県の文学史」の記事における「南学の大成」の解説

谷時中1598年 - 1649年、号「鈍斎」「鈍翁」)は、天質弟子である。もと真乗寺の僧であったが、経書研究熱中し還俗して朱子学者となった文集6巻語録4巻著した伝えるが、散逸して伝わらない。今、その学術思想細部を知るに由ない所以である。性豪邁でみずから貴しとなし、権門恐れなかったという。また、理財に才があり、巨富築いたことでも知られ、あるときには田地300石を売りはらってことごとく書籍求めたという。当時時中文庫土佐有数規模誇った門下野中兼山山崎闇斎小倉三省出て、その学はいよいよ隆盛極めた野中兼山1615年 - 1663年、名「良継」)は播磨国姫路の人。時中学んだ土佐藩仕えていた親類養子となり、寛永8年1631年)、奉行職に就く。産業振興港湾改修など藩政改革断行し朱子学学風をひろめるに功あったが、そのあまりに峻厳施政のため、次第人心失い寛文3年1663年)、職を追われ蟄居した。『朱子語類』小学』の訳解をつくり、『自省録』『兼山遺草』などの著作ものした。みずからが改修した室戸竣工の折の文章土佐国室戸港記』(1661年)がその代表的な文。また書籍の収集にも熱心で、その書庫兼山文庫呼ばれる小倉三省1604年 - 1654年、名「克」、字「政義」)は土佐の人。谷時中学び、その学を時中の子一斎に伝えた温厚仁慈にして長者風格があり、庶士にひろく慕われた。兼山とともに藩政参画したが、父の死後絶食してその跡を追うたため、兼山失脚を見ることはなかった。著書に『周易大伝研幾』。 山崎闇斎1618年 - 1682年、名「嘉」、字「敬義」)は京都の人。若くして出家し吸江庵に巡して谷時中師事南学感化を受け、還俗して儒者となる。京に戻って学塾をひらき、のち木下家定保科正之らの聘を受けた。その学は朱子学吉川神道の伝を交え、独自の国粋的日本的儒学形成したもので、闇斎別号垂加先生」から垂加神道とも称される。その門からは佐藤直方浅見絅斎近世初期すぐれた朱子学者輩出し後代土佐にも闇斎学統を慕う文人多かった著作に『垂加先生文集正続があるが、高知関係する文学的作品としては、長岡郡本山全山美景描いた『帰全山記』が有名。 兼山三省闇斎経て時中学統谷一斎、大高芝山黒岩慈庵らに引きつがれるが、彼らも兼山失脚と時を同じくして退けられ土佐藩去ったため、一時南学伝統土佐途絶えることになった谷一斎(1625年1695年、名「」、字「宜貞」)は時中の子。父の没後小倉三省師事し、さらに京で山崎闇斎学んだ兼山失脚後、京へ逃れ、やがて江戸出て稲葉氏仕えた著作に『封事』。 大高芝山1647年 - 1713年、名「清介」、字「季明」)。一斎の弟子で、兼山失脚後江戸へ出て松山久松家などに仕えた。『吉良物語』に評を加えたほか、『南学伝』『南学遺訓』によって南学歴史教え大成した別集に『芝山会稿』。ここに収める北江記」(1662年)は吸江十景を詠ったものであるまた、妻いさ(阿波の人)も文名があり、『女訓唐錦』という訓戒書をつくっている。 黒岩慈庵(1627年 - 1705年、名「寿」)は安芸郡安芸の人。兼山闇斎師事するが、兼山失脚後江戸へ出、黒田氏仕える。慈庵は文学的作品優れたものが多く藩主山内忠義に従って高岡郡鳴無宮に参詣した折の『鳴無紀行』(1663年)、友人吸江遊んだ折の『吸江遊覧詩並序』(1665年)、いずれもその文名を高からしめた。

※この「南学の大成」の解説は、「高知県の文学史」の解説の一部です。
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