利用者のマナーと井の頭池の環境問題
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「井の頭恩賜公園」の記事における「利用者のマナーと井の頭池の環境問題」の解説
公園利用者(来園者・近隣住民)のマナーの悪さが問題となることがある。利用者が原因とみられる問題はゴミの問題、夜間の騒音、落書きや、近隣の住民によるノーリードでのペットの散歩や糞尿の放置などが想定される。また公園利用時以外にも公園敷地内に駐輪する者もおり、武蔵野市では通勤・通学時は吉祥寺駅周辺の市営駐輪場の利用を呼び掛けている。 2000年頃より、来園者にゴミを持ち帰ってもらうため公園内のゴミ箱が撤去され、現在は園内にゴミ箱や吸殻入れは設置されていない。これによりゴミやタバコの吸殻が園内に放置されることが一時的に多くなったが、近年はゴミを持ち帰る利用者が多くなっている[要出典]。花見のシーズンには臨時のゴミ集積所が設置されるなど、利用者によるゴミの排出量が一気に増加する。花見の時期には園内で打ち上げ花火などの危険行為を行う者がいたり、利用者同士のトラブルも発生し、メディアによって特集されることもある。 井の頭公園を管理している東京都ならびに東京都西部公園緑地事務所は、公園内での露店による販売行為を禁止している。公園の各所にその旨を伝える張り紙を付けた赤いコーンが置かれたが、その横で堂々と無許可で露店を構える者もいた。これらの取締りを強化すると共に、2007年(平成19年)よりストリートライブや大道芸などのパフォーマンスや販売行為などの公園内での活動を一定のルール下で認可する井の頭公園アートマーケッツという登録制度が導入されている。 「#井の頭公園アートマーケッツ」を参照 また、井の頭池(広さ約4.2ha、深さ平均1.5m)の水質汚染も問題となっている。原因としては、井の頭池に流れ込む湧水の減少のほか、地下水脈に掘削工事による排水が混入しているという説もある。また、井の頭池に住む鯉やカルガモなどのエサとしてスナック菓子やパンの切れ端以外の弁当の残りなどを池に投げ与えることも水質汚染の一つの原因に挙げられ、ミシシッピアカミミガメやカミツキガメなどの外来生物の繁殖の要因ともされている。なお、公園内の売店はかつて鯉のエサとして麩を販売していたが、エサやり防止のため現在は販売していない。 これらの問題を解決すべく、周辺の公立小・中学校にポスターを配布してマナーを守るよう呼びかけたり、児童生徒がゴミ拾いをしたりするなどの活動を行っている。また現在では、橋の欄干から見える池の中に、自然を守るためエサを与えないようにと呼びかける立看板も設置されている。 井の頭池はかつて1日1万トンあった湧水が、周辺の市街地化と地下水汲み上げにより激減し、1960年代から水が濁り始めた。池底が見えなくなると、ゴミの不法投棄や外来生物の密放流が相次いだ。東京都は1980年代から池底の泥土を取り除いたり、水の浄化装置を設置したりしたが、汚染に追いつかなかった。2004年10月の大雨による湧水量増加で池が一時的に澄んだことをきっかけに、抜本的な池再生の機運が高まり、浸透ますの設置に補助金制度ができた。2006年に東京都と地元住民などが設立した井の頭恩賜公園100年実行委員会の目玉事業の一つである池の掻い掘りへと繋がった。 2009年(平成21年)2月28日には、井の頭恩賜公園100年実行委員会の主催による「よみがえれ!! 井の頭池! 井の頭恩賜公園水質浄化セミナー&ワークショップ」が開催された。この活動は、井の頭池の水質浄化のためには多くの市民の理解と参画が重要であるとして企画されたものであり、多くの市民の参加の下、井の頭池の水質の浄化について考える機会が持たれた。「よみがえれ!!井の頭池!」運動は、井の頭恩賜公園100周年を迎える2017年までに池をきれいにするのが目的である。 2014年(平成26年)1月-3月、井の頭池(お茶の水池、ボート池)の水を抜いて池底を天日に晒し、水質の浄化を図る第一回目の掻い掘り(「かいぼり25」)が行われた際には、ブルーギルやオオクチバスなどの外来生物の駆除が行われたほか、不法投棄された大量の自転車などが撤去された。水の透明度は大幅に高まり、第二回目の掻い掘り(2015年11月-2016年3月、「かいぼり27」、井の頭池全域)後の2016年春には、1957年に発見・命名された後に野生では絶滅したと見られていた藻類「イノカシラフラスコモ」が再生した。2017年(開園100周年)暮れ、3回目となる掻い掘り(「かいぼり29」)のための排水に着手、2018年3月に地下水を張り在来種が戻された。 掻い掘りに際して、約1.5メートルの池底から垂直に立っている護岸沿いに杭を打ち込んで砂を流し込み、浅場5カ所(水面ギリギリから水深30センチメートル程度)が設けられた。浅場には池底で採取された種から育てて移植した水生植物が定着し、エビや小魚が住み、それらの動植物を餌とする水鳥も多く見られるようになった。 ボート池の「掻い掘り」状況(2018年2月13日撮影) ボート池東端の仮設排水施設(2018年2月13日撮影) 井の頭公園は多くの野鳥の繁殖地にもなっている。カラスも多く生息しており、吉祥寺、三鷹などの駅周辺や住宅街でカラスがゴミを漁るなどの問題も発生している。また、2017年ごろはこの公園周辺の深夜の治安が悪く、住民から苦情も出ていたが、すでに改善されている。
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