ワルツ
英語:waltz
「ワルツ」とは、3拍子のリズムを基本とする緩やかで優雅な曲調の舞曲、および、その曲に合わせて舞うダンスのことを意味する表現である。日本語では「円舞曲」と訳されることもある。現代では、クラシック音樂のジャンルあるいは社交ダンスの種目として扱われることが多い。
19世紀ウィーンで確立され流行した、比較的テンポが速く軽快なワルツは、特に「ウィンナーワルツ」と呼ばれる。ウィンナーワルツと区別するために従来のワルツを「スローワルツ」もしくは「イングリッシュワルツ」と呼ぶこともある。
ダンスの種目としての「ワルツ(スローワルツ)」は、男女が向かい合って密着し、手を取り合い、ゆったり大きく旋回するように踊る、優美な舞踏である。女性のロングドレスが遠心力で広がる姿は華やかである。
ワルツの踊り方の起源は、中世オーストリアの農民の踊りとされる。この「男女が体を密着させて回るように踊る」スタイルは、貞潔を美徳とする中世ヨーロッパ文化においては禁止されていた時期もあったという。18~19世紀頃になると、激しい動作が減って優雅な動きが主体となるなどの変化も経て、オーストリア・ウィーンを中心にヨーロッパ全域に広まったとされる。
ワルツには当初、飛び跳ねるような激しい動きの要素もあったが、後のスローワルツでは激しい動作は削減された。この飛び跳ねるような激し動きを残したまま発展したダンスは「ワルツ」とは別に「レントラー」として今に伝わる。
音楽の「ワルツ」は、ダンス用の曲として確立された。とりわけ19世紀ウィーンで活躍した音楽家ヨーゼフ・ランナーは「ワルツの始祖」と呼ばれ、ランナーと同時代のヨハン・シュトラウス1世は「ワルツの父」と呼ばれた。その子ヨハン・シュトラウス2世は父の二つ名を継承する形で「ワルツ王」と呼ばれる。
同じく19世紀頃には、必ずしも踊ることを前提としない純粋な音楽作品としてのワルツも作曲されるようになり、音楽のジャンルとしても発展していった。
「ワルツ」の語源・由来
「ワルツ」の語源は、「回転する」「旋回する」という意味のドイツ語の動詞「walzen(ヴァルツェン)」とされる。これがドイツ語の名詞「Walzer(ヴァルツァー)」に派生し、さらに「walz(ワルツ)」の語形で英語に伝わったとされる。ドイツ語では「ワルツ」を「Walzer」という。ちなみにフランス語では「valse(ヴァルス)」という。
「ワルツ」の名曲
「ワルツ王」シュトラウス2世の「美しき青きドナウ」や、「ピアノの詩人」フレデリック・ショパンの「子犬のワルツ」や「華麗なる大演舞曲」などは特に有名である。また、「ロシアのワルツ王」チャイコフスキーの場合、「バレエ音楽・くるみ割り人形より花のワルツ」や「バレエ音楽・眠れる森の美女よりワルツ」なども名曲と呼ばれる。「ワルツフォーデビー」とは
「ワルツ・フォー・デビー」とは、1961年にジャズピアニストのビル・エヴァンスのライブ音源を収録したアルバム、あるいは1956年にビルが手がけた曲名のタイトルである。曲の方は、ビルが自身の姪に捧げるために作ったとされる。静かなワルツがピアノで奏でられた後、途中から、ジャズ調のグルーブした4拍子に変わる。1964年に、歌手ジーン・リースによって歌詞が作られた。「ワルツ」を含むその他の用語の解説
「ワルツエチュード」とは
「ワルツエチュード」とは、アメリカの作曲家ギロック(William L. Gillock)が作曲したピアノ曲のタイトルである。ギロックはピアノ教師をしながら、主に子どものためのピアノ曲を数多く作曲した。「ワルツエチュード」もそのような子供のためのピアノ曲である。現代でもピアノを習う子どもが弾くことの多い人気曲である。
ギロックの「ワルツエチュード」の原題は「Valse Etude」である。「valse」はフランス語の「ワルツ」の呼び方である。
えんぶ‐きょく〔ヱンブ‐〕【円舞曲】
読み方:えんぶきょく
⇒ワルツ
ワルツ
(円舞曲 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/26 15:45 UTC 版)
ワルツ(英: waltz、英語発音: [wɔːlts] (ウォールツ)、仏: valse(ヴァルス)、独: Walzer(ヴァルツァー))もしくは円舞曲(えんぶきょく)とはテンポの良い淡々とした舞曲、及びそれに合わせて踊るダンスを言う(→ワルツ (ダンス) )。舞曲は3拍子が一般的である。
- ^ 『音楽の根源にあるもの』平凡社〈平凡社ライブラリー〉、1994年6月。ISBN 9784582760576。 NCID BN10877003。全国書誌番号:94067385。
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