作品成立・構成とは? わかりやすく解説

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作品成立・構成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 00:08 UTC 版)

密会 (安部公房)」の記事における「作品成立・構成」の解説

安部公房は『密会』の執筆のきっかけとなったものは、中学校教師自分教え子と関係も持ち自殺したという新聞記事だとし、それを見た時に、その教師内面入ってみたらどうかという考え浮かび中学生女の子が「中心イメージ」となり、構想徐々に出来ていったとしている。また救急車サイレンの音も着想一つとされる安部公房は『密会』の函文では以下のように付記している。 地獄への旅行案内書いてみた。べつに特別な装備は必要としない。ただ入口だけは、まぎらわしいので、よく指示に従ってほしい。いったん中に入ってしまえば、あとは君が通いなれた道順にそっくりのはずである。地上では愛と殺意という二本別れていたものが、地獄では一つ球根融けあっているとしても、驚くことはないだろう。いま以上に迷ったりする気遣いはないのだから。 — 安部公房著者言葉作品構成としては、盗聴器しかけられ全て監視されていた主人公が、そのテープ聞きながら、自身行動記録三人称「男」用いてノート記述していったものを軸にしたストーリー展開となり、最後の「付記」では、一人称に戻る。かねてより常に独自の表現求め安部は、既成比喩言い回しを使うことなく、その情景皮膚感覚として読者に伝わるような独特な表現世界を描くことを目指しているが、『密会』における空間構造は、8年ぶりに自作読み返した安部自身が、あまりの不気味さに書いた本人ですらたじろいでしまったという。 安部作品一つ骨格となっている「病人医者」という「管理するものと管理されるもの」の関係性について以下のように語っている。 自分自身中に、やはり患者としての自分医者としての自分というものがあって、医者と患者というものは、両方ともある意味では自立した人間ではなくなっているわけだ。われわれが今おかれている現代という構造、これは非常に病院構造似た面があって、人間その中で疎外されいってい側面に、事件として、出来事として次々ぶち当たるわけだ。その結果、ますます深い迷路中に迷い込んで行くという、その部分探偵小説らしくないいわゆる解決というものは出てこないけれども、解決がないことによって、われわれの、逆に現実認識実態というものに深く照明当てるという構造になっていると思うけれども、これは説明難しい。 — 安部公房自作を語る――『密会』」

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作品成立・構成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 00:21 UTC 版)

美しい村」の記事における「作品成立・構成」の解説

美しい村』は、堀辰雄が、精神的な危機状態時に滞在した美しい村」(軽井沢)での、その精神状態からの脱皮過程描いているが、堀はそのモチーフ音楽のように、「対象なり、感情なりを、すこしも明示しないで、表現」したいと考えバッハ遁走曲主題と対主題応答転調のうちに曲が展開する)を聴いたことが、小説の形式思いついたきっかけとなった。「美しい村」の章の副題に「或は遁走曲」とあるのは、そのこと暗示させている。 堀は小説構想練りながら、毎日散歩重ねて行くうちに、チェコスロバキア公使館別荘から漏れ聞こえてくるバッハト短調遁走曲ピアノから音楽的な構成思いついた。堀が歩いていた散歩道は、ほぼ4つであったが、前田愛は、「いったん時間の流れのなかに溶けこまされた」4つ散歩道が、「それぞれの旋律奏でながら、やがて一つ主題へと絞り上げられて」いき、「目に見える風景一齣一齣を、音符組みかえ、各小節構成して行く音楽的描法」を堀が考えた説明している。 またそれは、主人公「私」が4本の散歩道繰り返し辿っていくうちに、小説の構成全体固まっていくという「入れ子構造」を持ち主題発展追求する小説家のその有様そのもの描いた一種の「アンチ・ロマン」(反・小説となっている。 堀は『美しい村』を書くにあたって葛巻義敏の手紙で次のように述べている。 いつか君に話した題材はすつかり諦めてしまつたやうに書いたけれど、実は、まだあれはすこし未練がある。ただ、それを直接描きたくないのだ。その点で、僕は音楽家が非常に羨ましくなつてゐる。音楽はそのモチイフになつた対象なり、感情なりを、すこしも明示しないで、表現できるんだからね。だから、今度作品をそんな音楽に近いものにして、僕のそんな隠し立を間接にでも表現ができたら、とてもいい思ふんだ。 — 堀辰雄葛巻義敏への書簡」(「『美しい村』のノオト」)

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