ブリトマルティスとは? わかりやすく解説

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ブリトマルティス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 08:23 UTC 版)

ブリトマルティス古希: Βριτόμαρτις, Britomartis)は、ミノア文明における山と狩猟の女神である。ミケーネ文明に受け継がれてギリシア神話の一部となり、徐々によくわからない存在となっていった[1]。ギリシア人にとって、ブリトマルティス(クレータ島方言で[2]「甘美な少女」、「甘美な処女」を意味する[3])またはディクテュンナヘレニズム期diktya すなわち「狩猟網」から派生[4])は山のニュンペー(山精)であり、アルテミスアイギーナ島の「見えない」守護神アパイアーとも同一視していた[5]


  1. ^ 数少ない考古学上の証拠や文献からの推測によると、ミノア文明起源とされるギリシア神話の女神としては他にヘーラーデーメーテールアルテミスエウローペーエイレイテュイアレートーレウコテアーレアーパーシパエーアリアドネーヘレネーがいる。次の文献に詳しい。
    Martin P. Nilsson, The Minoan-Mycenaean Religion and Its Survival in Greek Religion 2nd ed. (Lund) 1950
    Walter Burkert, Greek Religion, 1985:10-47.
  2. ^ ソーリーヌスの『奇異なる事物の集成』 2.8 によれば、この単語はギリシア語ではない。ソーリーヌスはブリトマルティスがクレータ島のアルテミスだと断定している。
    H. J. Rose, A Handbook of Greek Mythology (New York) 1959:117 でテオドール・モムゼン版(1864年)を引用
  3. ^ ソーリーヌス、『奇異なる事物の集成』 ix.8.
  4. ^ 例えば「…みんなは捕らえられたが、彼女は崖から海に飛び込み漁師の網にかかって助かった。その後キドニア人は彼女をニュンペー・ディクテュンナ(網の婦人)と呼び、そのニュンペーが逃れた丘を"網の丘" (Diktaion) と呼ぶようになった」Callimachus, Ode 3 to Artemis, 188ff.
  5. ^ K. Pilafidis-Williams, The Sanctuary of Aphaia on Aigina in the Bronze Age (Munich: Hirmer) 1998, ではアイギーナ島独特の信仰を解説しているが、後世のアパイアー信仰をアイギーナ島でのブリトマルティス信仰に遡及させることには慎重である。ブリトマルティスとアパイアーを明確に同一視している例として パウサニアースの『ギリシア案内記』 ii.30.3 と シケリアのディオドーロスの『歴史叢書』 v.76.3 がある。
  6. ^ キリスト教での例を挙げると、よりいっそうわかりやすいかもしれない。イエスの母マリアの通り名として Mater dolens (悲嘆に暮れる母)や Blessed Virgin(祝福された処女)があるが、「悲嘆に暮れる」、「母」、「祝福された」、「処女」という属性は示されているが「マリア」という名前は出てこない。
  7. ^ 「彼女の名は "よき乙女" を表すと見られるが、アリスタイオスカリストーと同様にその反対の "死の乙女" を意味する婉曲表現と考えられる」 (Carl A.P. Ruck and Danny Staples, The World of Classical Myth [Carolina Academic Press], 1994:113).
  8. ^ カルメーは穀物収穫の妖精である。
  9. ^ a b シケリアのディオドロス『歴史叢書』5.76.3.
  10. ^ a b C. Michael Hogan, Cydonia, The Modern Antiquarian, Jan. 23, 2008
  11. ^ RE, s.v. “Diktynna”, col. 584-588.
  12. ^ Pausanias (.36) saw on the high ground between the two cities "a temple of Dictynnaean Artemis, who is held in the highest honour by the people of Ambrosus; her statue is of Aeginetan workmanship in black stone."
  13. ^ 太古の女神は形容語句として吸収された。アイギーナ島はアテーナイの支配下にあったため、これには明白な社会的政治的意味がある。


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