フェラーリ 126CKとは? わかりやすく解説

フェラーリ・126CK

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/08 17:12 UTC 版)

フェラーリ 126CK
カテゴリー F1
コンストラクター フェラーリ
デザイナー マウロ・フォルギエリ
先代 フェラーリ・312T5
後継 フェラーリ・126C2
主要諸元
シャシー 鋼管スペースフレーム アルミニウムパネル
サスペンション(前) ロッキングアーム式サスペンション, インボード・スプリング / ダンパー
サスペンション(後) ロッキングアーム式サスペンション
エンジン フェラーリ 021 1496cc, 120度 V6, ターボ, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション フェラーリ 5速 Hパターン 横置き MT
燃料 アジップ
タイヤ ミシュラン
主要成績
チーム スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC
ドライバー ジル・ヴィルヌーヴ
ディディエ・ピローニ
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1981年アルゼンチンGP
初勝利 1981年モナコGP
最終戦 1981年アメリカGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
152312
テンプレートを表示

フェラーリ 126CK (Ferrari 126CK) は、スクーデリア・フェラーリ1981年のF1世界選手権で使用したフォーミュラ1カー。フェラーリ初のターボエンジンを搭載し、1981年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。

開発の方針

スクーデリア・フェラーリ初のターボエンジン"Tipo 021"
エンジンブロック上部にターボユニットをマウントしている

車名の"126"はバンク角120度のV6エンジン、"C"はイタリア語のCompressore(過給機、英語:Compressor)、"K"は西ドイツKKK (de:Kühnle, Kopp & Kausch) 社製のターボチャージャーを意味する。

フェラーリは、1975年以降に4度のチャンピオンを獲得したが時代遅れの312Tシリーズに代えて、126CKを開発した。1977年ルノーがはじめて持ち込んだターボエンジンの利点を見出し、V6ターボエンジンを採用した。

このマシンのエンジンには、Vバンクの外側から吸気し内側に排気するレイアウトが採用された。KKK製の2基のターボチャージャーはVバンクの内側に配置され、排気バルブからタービンまでの管長を短くすることができた[1]

ターボラグを嫌ったマウロ・フォルギエリは、ブラウン・ボベリ社が開発したプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(コンプレックスチャージャー、英語: Comprex charger)を採用したエンジンも試作した。このエンジンを搭載した試作マシンは「126CX」と呼ばれた。このエンジンはテスト走行を行ったジル・ヴィルヌーヴディディエ・ピローニの両ドライバーからスロットルレスポンスが良いと好評を得たが、システムが複雑化することとターボの場合よりも車体の重心が高くなることから、1981年の開幕戦アメリカ西GPのフリー走行で試されただけで、採用が見送られた[1]

312Tシリーズの水平対向12気筒からコンパクトなV6エンジンに変更したことで、本格的なグラウンド・エフェクト・カーとして設計することができたが、シャーシはスペースフレームにアルミパネルをリベット止めして補強するセミモノコック方式のままで、エンジンパワーに対応するだけの剛性が不足していた。この年デザイナーとして加入したハーベイ・ポストレスウェイトは「シャーシ技術は石器時代だった」「もし剛性テストをやったら、一発でチョコレートスナックのようにねじれてしまったに違いない」と語っている[2]

126CKは1980年にイタリアGPのフリー走行で「126C」として最初にテストされ、そこで312T5よりはるかに速いとわかった。エンジンパワーが大きく直線では速かったが、ターボエンジン特有のひどいターボラグを持ち、タイヤに厳しく、ナーバスな操縦性のマシンであり、ヴィルヌーヴに「真っ赤なとっても速いキャデラック」と言わしめた。それでも、ヴィルヌーヴは1981年のモナコGPスペインGPで優勝をかざり、1980年の不調からの復活を印象づけた。

フロントウイングは、初期型ではノーズがフロントウイングを分断する形になっていたが、後期型では312T系のようにノーズ上に載せるような形になっている。

シャーシナンバーが049 - 054までの計6台製作され、1980年イタリアGPでは049が使用された[3]。また、049 - 051の3台はモノコック自体が強化改造を受け、049B - 051Bとして第11戦オーストリアGP以降で使用された[3]。この後、049Bはさらに126C2化もされた[3]

スペック

ジル・ヴィルヌーヴがドライブした126CK

シャーシ

エンジン

  • エンジン名 フェラーリTipo021
  • 気筒数・角度 V型6気筒ターボ・120度
  • 最大馬力 550馬力(予選時600馬力)
  • 排気量 1,496.4cc[4]
  • 圧縮比 7.5[4]
  • ボア 81 mm[4]
  • ストローク 48.4 mm[4]
  • スパークプラグ チャンピオン
  • 燃料・潤滑油 Agip

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ポイント ランキング
USW
BRA
ARG
SMR
BEL
MON
ESP
FRA
GBR
GER
AUT
NED
ITA
CAN
CPL
1981 27 ヴィルヌーヴ Ret Ret Ret 7 4 1 1 Ret Ret 10 Ret Ret Ret 3 DSQ 34 5位
28 ピローニ Ret Ret Ret 5 8 4 15 5 Ret Ret 9 Ret 5 Ret 9

脚注

  1. ^ a b Henry, Alan (1998) (英語). FORMULA1 THE TURBO ERA. Hazleton Publishing. pp. pp.19-ff. ISBN 1-874557-97-7 
  2. ^ 『スクーデリア・フェラーリ 1947-1997 50年全史』ソニーマガジンズ、1997年、95頁。ISBN 4789791165 
  3. ^ a b c 『F1 Model Cars』ネコ・パブリッシング、2009年、P.90頁。ISBN 9784777007943 
  4. ^ a b c d 『F1 Model Cars Vol.2』ネコ・パブリッシング、2009年、P.38頁。ISBN 9784777009206 

「フェラーリ 126CK」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フェラーリ 126CK」の関連用語

フェラーリ 126CKのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フェラーリ 126CKのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフェラーリ・126CK (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS