グノーシスのミサの情景描写
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「グノーシスのミサ」の記事における「グノーシスのミサの情景描写」の解説
会衆が儀式の場に入ると、助祭が香祭壇(生命の樹のティファレトの象徴)の前に立っている。助祭は法の書を手に取り、これを大きな帳の中にある祭壇に奉納し、IAO の名においてセレマの法を宣言する。引き返して会衆を先導してグノーシスの信条を述べる。すなわち、主、太陽、カオス、大気、ババロン、バフォメット、グノーシス・カトリック教会、聖徒の交わり、ミサの奇蹟(すなわち聖餐)、さらには、自分が受肉した存在として生まれたこと、そして自らの個人の生が永久の反復であること、以上のことを信ずること(またはそれらの価値)を告げる。 処女が二人の子等と入場し、会衆に挨拶する。彼女は香祭壇と聖水盤のまわりを蛇の物腰で歩き(脊柱の基底部で対になっているクンダリニーの蛇の解放を象徴)、墓の前で立ち止まる。剣で帳を裂き、鉄と太陽と主の力によって司祭を生き返らせる。司祭は四元素(水と地、火と風)によって清められ聖別され、それから緋の長衣を着せられ、知恵の蛇である黄金のウラエウス〔蛇形徽章:エジプトの王権を象徴するコブラ〕冠を頭にはめられる。最後に彼女は司祭の槍をやさしく11回さすり、主を請ずる。 司祭は処女を抱き上げ高祭壇に連れて行き、地の頂に彼女を座らせる。司祭は女司祭を浄化し聖別した後、帳を閉じて三回堂々巡りし、残りの司官はその後をついていく。彼らは香祭壇の前に陣取り、(会衆一同とともに)跪いて礼拝する。一方、司祭は帳の前の階段の一段目に上がる。この象徴的な深淵越えにおいて、司祭は最初の口上を述べ、無限の夜空の女神ヌイトを請ずる。女司祭は司祭にヌイトとして呼びかけ、こちらに上ってくるよう誘いかける。司祭は二段目に上り、万物の無限に凝縮された中心であり、あらゆる星の火にしてあらゆる人の生命であるハディートとなる。助祭は一同を起立させ、暦〔セレマの年中行事〕を説く。司祭は三段目に上り、新アイオーンの戴冠せる征服児ラー=ホール=クイトを請ずる。司祭は槍にて帳を分け開き、高祭壇に座す裸になった女司祭を披露する。司祭はパーンの男性的な力をもって迎え、女司祭は槍に11回口づけて返礼とする。司祭は跪き、礼拝する。 次に助祭は11の集祷(太陽、主、貴婦人、諸聖人、大地、諸原理、誕生、結婚、死、終結)を唱える。 それから諸元素は槍の力によって聖別され、パンは神の身体に、葡萄酒は神の血に変化する。これらから司祭はわれらが主なる太陽であるオン(On)に捧げる象徴的な供物を作る。 司祭と会衆一同は聖歌を歌う。この聖歌はクロウリーの寓意劇『舟』から取ったもので、メイソンリーの第三位階の伝説を表す。 司祭は諸元素を主の名において聖別し、そしてまた全作業の本質的な効用を説く。すなわち健康、富、力、喜び、意志の実現の成功である永遠の幸福である。司祭は聖餅の一片を割り、槍の先に刺し、司祭と女司祭の二人はこれを杯の中に沈め、ΗΡΙΛΙΥ (クロウリーはこれをオーガズムの甲高い叫びと説明した)と叫ぶ。 司祭はバフォメットに請う、「獅子よ蛇よ、われらのうちで強大であれ」。つづいて司祭は会衆に向けてセレマの法を宣言する、「汝の意志することを行え、それが法のすべてとなろう」。すると会衆は「愛は法なり、意志の下の愛こそが」と返す。最後に司祭は次の言葉を唱えながら聖餐を口にする。(聖餅によりて)「わが口に太陽の生命の精髄のあらんことを」そして「わが口に大地のよろこびの精髄のあらんことを」。司祭は会衆に向き直り、宣言する、「わが身に神々のものならざる部分なし」。 つづいて会衆は順番に一人ずつ進み出て、司祭が行ったように一杯の葡萄酒と光のケーキを口にして聖体を拝領する。そして司祭が行ったのと同じように、おのおの神性の宣言を行う。その後、司祭は女司祭を帳の内に隠し、最後の祝祷を行う。 + あなた方に主の祝福のあらんことを。 + 主があなた方の精神を啓発し、こころを穏やかにし、体を健やかにせんことを。 + 主があなた方に真の意志、大作業、最高善、真の叡智、全き幸福の成就をもたらさんことを。 司祭、助祭、子等は墓に退き、開いた帳を元に戻す。会衆は退場する。
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