グノモンとは? わかりやすく解説

グノモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 06:32 UTC 版)

この日時計では、直角三角形のグノモンを用いている。

グノモンまたはノーモン(Gnomon)は、日時計の一部であり、を落とすものである。グノモンという言葉は、古代ギリシア語で「指示する者」「識別する者」等の意味である。

天文学や数学その他の分野で、様々な目的で用いられる。

表記

Gnomonの英語による発音は、「ノーモン」である[1][2][3]。日本語環境では、ノーモンの表記[4]もグノモンの表記[5]も見られる。数学ではグノモンの表記がほとんどである。

日時計のグノモン

起源的には、地面に垂直に棒を立て、その地点における南中の時刻と太陽の高度を測定するために用いられた。中国では紀元前2300年前から使われていた[6]。文献上では、2世紀の九章算術の中で、紀元前11年の周公旦によって既にグノモンが使われていたと記述されている。

タートル湾の公園にある、この斜張橋カンチレバーの桁は、大きな日時計のグノモンになっている。
南米ブラジルのクリチバ、チラデンテス広場に面した建物の壁にあるグノモン。南半球なのでこの日時計は北面している。

アナクシマンドロスは、このバビロニアの道具をギリシアに導入したとされている[7]

北半球では、影は通常北を向くため、グノモンは北向きに地軸に平行に置かれる。つまり、グノモンは、地平に対して設置場所の緯度と同じ角度に向けられることになる。現在、そのようなグノモンはほぼ北極星の方角に向いている。

数学での使用

ユークリッド原論』の第2巻で定義されるグノモン。
コンピュータグラフィックスで用いられるグノモン。
  • オエノピデスは、drawn gnomon-wiseというフレーズで、他の直線垂直に引いた直線を表している[8]
  • 後に、この用語は、直角を引くために用いる指矩等のL字型をした道具に対して使われるようになった。
  • ユークリッド原論』第2巻では、この用語を、大きな平行四辺形の頂点から相似の平行四辺形を切り取ってできる平行六辺形を表す言葉に拡張して定義している。第2巻で扱われるグノモンは正方形の場合のみである。
  • 三次元のグノモンは、CADコンピュータグラフィックスでポインターとして用いられている。慣例により、X軸方向は赤色、Y軸方向は緑色、Z軸方向は青色である。
  • アレクサンドリアのヘロンは、グノモンを、最初のエンティティ(数や形)に別のエンティティを加えて、最初のエンティティに相似の新しいエンティティを作るものと定義した。
  • この意味で、スミュルナのテオンは、多角形数に加えて同種の次の数を作る数として記述した。
  • この意味で最も一般的な使用は、奇数整数、特に平方数の間の図形数である。

フィクション作品への登場

出典

  1. ^ How To Pronounce gnomon
  2. ^ gnomonの語源はギリシャ語に由来し、英語のknowと同根である。knowを「クノウ」とは発音しないことと同じである。
  3. ^ [1] Online Etymology Dictionary
  4. ^ ノーモン 世界大百科事典
  5. ^ 自然の力を利用した時計 セイコーミュージアム
  6. ^ Li, Geng (2014). Ruggles, Clive. ed. Gnomons in Ancient China. Springer New York. July 7, 2014. p. 2095. ISBN 978-1-4614-6141-8 
  7. ^ Laertius, Diogenes. "Life of Anaximander".
  8. ^ Heath (1981) pp. 78-79
  9. ^ Sharan Newman, The Real History Behind The Da Vinci Code (Berkley Publishing Group, 2005, p. 268).

グノモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/22 05:21 UTC 版)

図形数」の記事における「グノモン」の解説

先述のように、四角数からより大きな四角数構成するときにはL字形の「部品」を付加すれば良かったこのような部品古代ギリシアではグノモン(グノーモンやグノーモーンとも、英: gnomon)と呼ばれた。元々グノモンという語が意味するものは、日時計において影を作るための直立の棒であり、垂直を暗示するため、L字形部品に対して用いられることとなったエウクレイデス『原論』第2巻では、正方形のみならず平行四辺形に対して大きな平行四辺形頂点から相似平行四辺形切り取ってできる平行六辺形を表す言葉拡張してグノーモーンという語を定義している。アレクサンドリアのヘロンは、その部品付加することによって元の図形相似図形を得るようなものと定義した矩形数場合、L字形部品加えると、元の矩形新し矩形縦横比異なるため、厳密に相似とはいえないが、このような場合にもグノモンの語が用いられる西暦1000年頃、アラビア数学アルカラジ英語版)は著書『ファフリー』(Fakhri)において、グノモンの考え用いて三乗和の公式 1 3 + 2 3 + ⋯ + n 3 = ( 1 + 2 + ⋯ + n ) 2 {\displaystyle 1^{3}+2^{3}+\cdots +n^{3}=(1+2+\cdots +n)^{2}} を示した実際には彼は n = 10場合のみを説明しているが、疑いなく一般場合意識していた。四角数用いた証明以下の通り。ひとつの点から始め一辺が 3 (= 1 + 2) の正方形となるようにグノモンを付加する。次は一辺が 6 (= 1 + 2 + 3) となるようにグノモンを付加する。これを繰り返して一辺55 (= 1 + 2 + … + 10) となるようにグノモンを付加したとき、最後のグノモンが含む点の個数10 × (1 + 2 + … + 9) × 2 + 10 × 10 = 103計算される。他のグノモンが含む点の個数同様に立方数であることが分かるので、 13 + 23 + … + 103 = (1 + 2 + … + 10)2 が示される

※この「グノモン」の解説は、「図形数」の解説の一部です。
「グノモン」を含む「図形数」の記事については、「図形数」の概要を参照ください。

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