キンセンカの花言葉
キンセンカ花言葉の由来
#ギリシア神話に由来する説キンセンカは鮮やかな色と整った形状からは程遠い、「悲観」や「別れの悲しみ」など、ネガティブな意味の花言葉が多い。これはギリシャ神話の悲哀に満ちた話が由来とされている。太陽の神アポロンは実直で正義感が強く、様々な神や妖精に愛されていた。水の妖精クリスティーもアポロンを愛する者の一人だったが、当のアポロンは人間の女性であるレウトコエと恋仲だった。アポロンの心を掴んだレウトコエを憎むクリスティーは彼女の父である王様のオルカモスに密告する。レウトコエは別に婚約者がいたため、オルカモスは自分の顔が潰されたとひどく怒った。罰としてレウトコエは生き埋めにされてしまい、二度とアポロンと会えなくなった。
アポロンは嘆くと共に、二人の仲を引き裂いたクリスティーを見限った。思惑が外れてしまい、愛するアポロンに嫌われたクリスティーもひどく嘆き、アポロンの象徴である太陽を見つめながら泣き続けたという。何日も泣き続けた結果、遂にはキンセンカの花に変化してしまった。この神話が元になり、キンセンカには失恋や別れを意味するネガティブな花言葉がつけられたのである。原初のギリシャ神話ではキンセンカではなくひまわりだったが、神話が伝わった当時の欧州ではひまわりが知られていなかったため、色や形が似ているキンセンカが用いられた。同様の理由でマリーゴールドにもキンセンカと似た意味の花言葉が使われている。
#キリスト教徒が迫害された歴史に由来する説
キリスト教は欧州各地で広まっている宗教だが、最初から歓迎されていたわけではない。当初は人々を惑わす異端の教えと見なされ、迫害されたこともあった。中でもローマ帝国による国ぐるみの迫害は苛烈を極め、1世紀中期のネロ皇帝の時代と4世紀初期のディオクレティアヌス皇帝の時代は多くのキリスト教徒が追放や処刑の対象になったと言われている。ローマ皇帝は自身の権威を示す理由で富と権力を意味する黄色の衣を着用していたことから、黄色はキリスト教徒にとって縁起の悪い色と解釈されるようになった。「悲嘆」「絶望」などの花言葉は迫害されたキリスト教徒の苦しみを由来とされている。
#ユダヤ人への偏見から来ている説
黄色はキリスト教において不吉な色とされているが、これはキリストを裏切ったユダの着物の色から来ている。ユダは金に目がくらみ、ユダヤ教の権力者にキリストの居所を教えた。ユダヤ教はキリストを社会秩序を乱すならず者と見なし、濡れ衣を着せて処刑してしまった。「失望」の花言葉は信頼していた弟子のユダに裏切られたキリストの悲しい心情から来ているという説がある。また、この話が由来となり、ユダヤ人への偏見が生じたとされている。ユダヤ人の多くは古くから商業や金融業に携わっているが、キリスト教の教義では金儲けは卑しい行いと見なされていた。キリストを迫害し、卑しい金儲けを行うユダヤ人は害悪と見なされ、差別されたのである。
黄色は富や財産を意味すると共に、ユダヤ教の司祭が着用する着物の色でもあった。これらのことから黄色のキンセンカにはキリスト教の立場から見てネガティブな意味となる「絶望」「悲嘆」などの花言葉が用いられるようになった。黄色の花はネガティブな意味の花言葉が多く、バラは「嫉妬」、カーネーションには「軽蔑」の花言葉がつけられている。キンセンカにもこれらの花言葉が用いられるケースが少なくない。現在でも欧州の一部地域ではキンセンカを花束などの贈り物にするのは失礼な行いとされている。
キンセンカの英語の花言葉
キンセンカの英語の花言葉には「grief(悲嘆)」「despair(絶望)」「sorrow(悲しみ、悲哀)」などがある。日本語と同様にネガティブな意味の花言葉が多い。キンセンカは欧州に含まれている地中海沿岸が原産地であり、キリスト教が迫害されたローマ帝国時代にはすでに悲しみの意味を持つ花言葉がつけられていたと言われている。ユダヤ人への偏見も加わり、黄色のキンセンカにはネガティブな意味を持つ花言葉が多くつけられた。キンセンカ色別の花言葉の解説
キンセンカの色の種類は黄色や橙色がある。いずれも「別れの悲しみ」「失望」「悲嘆」などネガティブな意味がある。一方で「忍ぶ恋」「誠実」などネガティブな意味を持たない花言葉もあるが、これは花言葉の由来になったギリシャ神話に出てくる太陽の神アポロンが誠実な性格だったためである。アポロンは人気があり、神や妖精、人間など種族を問わず愛されていた。その点から「忍ぶ恋」の花言葉が生まれたとされている。花言葉には「初恋」もあるが、これは恋を知らない者もアポロンをひと目見ただけで恋心を抱いてしまうことに由来している。品種改良によって白色や複数の色が混ざった花もあるが、これらの色には固有の花言葉が存在しない。そのことから、ネガティブな意味合いが強いキンセンカでありながら贈り物にしても失礼にはならない利点がある。欧州ではキンセンカを花束にするなら白色や複数の色が混ざった品種が無難とされている。「別れの悲しみ」「失恋」など恋の終わりを意味する花言葉から既婚者へ贈るのは特に失礼とされているキンセンカだが、白色など固有の花言葉を持たない品種であればマナー違反にはならないと解釈される。
キンセンカ本数別の花言葉の解説
キンセンカには本数に基づく固有の花言葉は存在せず、普通は本数を問わずキンセンカの花言葉が用いられる。キンセンカはネガティブな意味の花言葉が多いことから贈り物には不向きとされているが、「悲しみ」「絶望」などの花言葉を活かした贈り方として墓前へのお供えが挙げられる。故人に贈ることで「あなたがいなくなって悲しい」「あなたの死を嘆いています」など、故人の死を悼む気持ちを示すことができる。キンセンカの怖い花言葉
キンセンカの花言葉は「悲嘆」「絶望」など、元々がネガティブな意味を持つ言葉である。キンセンカの花そのものがネガティブなイメージを持っていることから、人に贈るなど扱いには注意しなければならない。特にキリスト教が広まっている地域ではキンセンカの色に迫害された歴史を準え、不吉な花と見なしている。そのため、キンセンカを贈るのは相手を嫌う、呪うなど怖い意味を込めた行いと解釈されることがある。日本で広まっている花言葉もネガティブな意味を持つが、キンセンカの花そのものは江戸時代に中国を経由して伝わった。当時は花の形状がさかずきに似ていることから「金色の盞のような花」、すなわちキンセンカと呼ばれるようになった。キンセンカは薬草として使われていたこともあり、外国から花言葉が伝わるまではネガティブな意味を持つ花ではなかった。逆に病気を予防し、健やかに暮らすのに欠かせない花として珍重されていたのである。キンセンカには「唐金盞花」と書いてトウキンセンカと読む和名もあるが、これは唐の国から伝わったありがたい薬草という意味がある。江戸時代の日本において唐は非常に優れた先進国であり、その唐から伝わった花は貴重品であった。また、太陽を思わせる鮮やかな黄色や橙色の花も太陽を特別な存在と見なす日本の風習に適したもので、これらの理由からキンセンカに怖い意味が生じなかったのである。
一方で薬用に加工したキンセンカを摂り過ぎると下痢や腹痛などの体調不良に見舞われることがあったため、その点を理由に忌避されることもあったという。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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