アクティブ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 00:31 UTC 版)
第0世代と区分される、もっとも初期の暗視装置は、JEDEC番号でS-1型の分光感度特性を備えていた。すなわち、近紫外線から近赤外線におよぶ広い波長域に感度を示すものの、いずれも感度が低いものであった。このため、目標の像を捉えるためには、こちらから光線を照射して、反射光を増強する必要があった。可視光を照射しては暗視装置の意味がないため、照射光としては近赤外線が用いられる。 近赤外線は、人間の目では知覚できないものの、それ以外の点では、可視光線とほとんど変わらない特性を備える。従って、第0世代暗視装置の基本的な原理としては、通常の照明の代わりに近赤外線ライトで対象を照らしだして、その反射光を暗視装置で捉え、知覚できるように変換することになる。そのため、「照射装置」と「受像装置」の二組をセットで運用する必要があり、イメージ増幅管が高い電圧を必要とするために、動作電力源として重い積層バッテリーもセットで持ち歩かなければならなかった。仕組みとしては光学式のスコープに赤外線フィルターを付けただけのもので、バッテリーは赤外線ライトのためだと誤解されることがあるが、ライトの電源としてはそれほど大きなものが必要なわけではない。反射してきた赤外線を赤外線フィルター越しに見ても人間の目には見えない。赤外線フィルターはライトから可視光線が出ないようにするためのものである。 この種の暗視装置は、第二次世界大戦中にドイツ軍がパンター戦車搭載用として、世界で初めて実用化に成功した。また、個人用としては、大戦末期の1945年にドイツ軍が実用化した「ZG1229 Vampir(ヴァンピール:「チスイコウモリ」ないし「吸血鬼」の意)」が最初のものである。これは、StG44に装着して使用されるアクティブ赤外線方式の暗視スコープであり、有効距離は100mほどしかなかった。後にアメリカ軍でもM3カービンとして同様の装置が実用化され、ベトナム戦争のころまで使用されていた。M3カービンは、銃を含めたシステム一式の重量が14kgもあり大変に重くてかさばる装備だった。重量の半分以上はバッテリーであるため、後年になるほどバッテリーの小型化による重量軽減が進むが、それでもかなり重い装備であることに変わりなかった。 このような暗視装置は赤外線ライトの出力によって視認距離が変わるため、ドイツ軍では装甲ハーフトラックに大型の赤外線照射灯を搭載した車両も作られた。「Sd Kfz 251/20 ウーフー(Uhu:ワシミミズクの意)」と呼ばれたこの車両は、60cm口径の赤外線サーチライトを装備しており、1,500mの距離で目標を視認することが可能であった。 ただし、近赤外線は人の目には見えないものの、相手も同様の装置を持っている場合は照射源を暴露してしまう欠点があった。つまり相手はみずから赤外線ライトを照射することなく、暗視装置の視界に浮かび上がって見える光源をとらえ、さらに光源に向かって攻撃することもできる。1960年代にはソビエト連邦軍を初めとする共産圏でも同様の装備が出現し、PSO-1のように赤外線フィルタを内蔵することで照射源を目視できる光学照準器が登場したことで被発見率が高まったことや、光電子増倍管の技術進歩によって投光せずとも充分な像を得ることができるようになったことから、第0世代の暗視装置は徐々に退役していくことになった。
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アクティブ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 10:15 UTC 版)
レーダーと同様の原理で、対象物(被写体)に赤外線・超音波などを照射し、その反射波が戻るまでの時間や照射角度により距離を検出する方式。フィルム式コンパクトカメラにおいては標準的な方式である。 この方式では、暗い場所でもピントを合わせることが可能な反面、対象物との間に透明な板(ガラスなど)がある場合に距離検出を間違うことがある。また風景写真のような遠距離のピントは、反射波がカメラまで届かなかったり、届いても微弱なためにピントを合わせにくい。
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アクティブ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 05:30 UTC 版)
「電波ホーミング誘導」の記事における「アクティブ方式」の解説
アクティブ・レーダー・ホーミング(英語: Active Rader Homing, ARH)は、ミサイル本体が目標に電波(レーダー波)を照射することでミサイルを誘導する方式。AIM-120(アムラーム)、03式中距離地対空誘導弾、ハープーン、11式短距離地対空誘導弾、PL-15などに採用されている。 下記のセミアクティブ(SARH)方式と比して、発射後に発射母体の関与を必ずしも必要としないことからファイア・アンド・フォーゲット性を備えるという優位点がある。しかしその裏返しとして、ミサイル側への負担が大きく、小型・高性能なレーダーおよび誘導システムが求められることから、実用化には技術成熟を待つ必要があった。また、高価な誘導システムをすべてミサイルに内蔵し使い捨てにするコスト面の問題も無視できない。 またミサイルの誘導をARH方式単体で行なう場合には、発射直後よりミサイル自身のシーカーにより目標を捕捉しておく必要があり、射程がミサイル内蔵のシーカーの有効範囲内に限られるという欠点がある。このため、現在就役している機種では、ARH方式による誘導は終末航程のみとして、中途航程には他の誘導方式を併用して時系列的な複合誘導方式としている機種が多い。
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