セミアクティブ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 05:30 UTC 版)
「電波ホーミング誘導」の記事における「セミアクティブ方式」の解説
セミアクティブ・レーダー・ホーミング(英語: Semi-active radar homing, SARH)とは、発射母体の電波によってミサイルを自動誘導する方式。発射母体が目標に電波を照射し、目標からの反射波をミサイルに搭載されたシーカーで検知することで、目標である反射波放射源を追跡する。AIM-7 スパローやR-27などに採用されている。 上記のアクティブ(ARH)方式と比して、目標への電波照射を発射母体に任せることから、ミサイル・シーカーの側の負担が小さいという優位点がある。このことから、比較的原始的な技術でも開発可能であり、電波ホーミング誘導としては最も初期に実用化されたほか、情報処理を発射母体に任せることができるため、ECMやクラッターによる影響も低減できる。 しかし一方で、ミサイルの誘導をSARH方式単体で行なう場合、ミサイルが目標に到達するまで、発射母体は絶えずレーダーによって目標を捕捉し続ける必要がある。このことから、下記のような欠点が指摘された。 発射後の機動に制限が生じる。 特にレーダーの覆域が機体の前方象限にしかない戦闘機の場合、敵の応射を回避できない(回避するとミサイル誘導もできなくなるので、ミサイルを無駄撃ちすることになる)という深刻な問題につながった。 同時多目標対処が困難となる。 ミサイルの誘導を担当するレーダーは、基本的に目標1個に対して1基ずつ必要となることから、特に地/艦対空防空において飽和攻撃に対し脆弱となった。 見えない目標への射撃が難しい 目標捕捉は発射前に行なわざるを得ず(Lock-On Before Launch:LOBL方式)、発射母体が捕捉していない目標に対する射撃が困難であった。 現在、電子技術の発達によってARH方式の誘導システムが実用化されたこともあり、対空射撃においては、ARH方式による代替や、慣性/指令誘導と組み合わせての複合誘導化が進んでいる。例えばスタンダードミサイル2型(SM-2)では、中途航程において慣性/指令誘導を採用し、発射されたミサイルに対するイルミネーター(ミサイルの誘導を担当するレーダー)の関与を終末航程のみに限定することで、イージスシステムの情報処理能力と合わせた時分割処理化による同時多目標対処を実現した。
※この「セミアクティブ方式」の解説は、「電波ホーミング誘導」の解説の一部です。
「セミアクティブ方式」を含む「電波ホーミング誘導」の記事については、「電波ホーミング誘導」の概要を参照ください。
- セミアクティブ方式のページへのリンク