【トモダチ作戦】(ともだちさくせん)
2011年3月11日に発生した東日本大震災に際し、アメリカ軍が行った災害救援活動の作戦名である。
作戦名は日本語の「友達」にちなんでいる。
今回の作戦では陸軍、海軍、空軍、海兵隊が連携し、統合軍の形態をとって活動し、24,000の将兵、190機の軍用機、24隻の軍艦が参加した。
作戦司令部は東京・横田基地に置かれ、初代司令官には太平洋艦隊司令官パトリック・ウォルシュ海軍大将が着任した。
大震災発生
2011年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の「東北地方太平洋沖地震」が発生し、それによる津波や地震で「東日本大震災」が発生した。
同時にその地震や津波によって「福島第一原子力発電所事故」が発生した。
アメリカ海軍
アメリカ海軍は震災3日後に10隻の艦艇を現地海域に派遣している。
- 空母「ロナルド・レーガン(CVN-76)」
- →米韓合同演習で西太平洋を航行中だったロナルド・レーガンを主とする第7空母打撃群は予定を変更し、本州東海岸域に展開。
3月13日には海上自衛隊の災害派遣部隊と震災対応についての作戦会議を実施した。
そして空母打撃群は自らの艦載ヘリコプターや自衛隊の洋上給油拠点として運用された。
また、同艦乗り組みの将兵からセーターや毛布など1000着が寄付された。
- 強襲揚陸艦「エセックス(LHD-2)」及びドック型揚陸艦「ジャーマンタウン(LSD-42)」
- →沖縄駐留の「第31海兵遠征隊」を乗艦させ、日本海経由で日本の東海岸へ向けて機動する。
また、エセックスの乗員からは玩具が寄付された。
アメリカ海兵隊
海兵隊は沖縄に駐留していたため、震災の直接的な被害を受けることはなく、キャンプ・バトラーに駐留する第3海兵遠征軍は海兵隊の救助活動の即応動員を許可した。
第3海兵遠征軍の傘下にある第31海兵遠征隊は「エセックス」に乗艦して被災地の沖合いへ向かい、孤立している気仙沼・大島に救援物資や工事用車両、電気工事作業員を上陸用舟艇で揚陸し、補給活動に当たった。
そして各種物資の輸送支援などを行い、4月1日からは300名以上の兵員も上陸。
「フィールドデー作戦」のもと、島内の残骸除去作業を行った。
また、沖縄駐留の「第265海兵隊中型ヘリコプター飛行隊」からはCH-468機が、KC-1302機とともに救助隊と機材の輸送を実施している。
アメリカ空軍
アメリカ空軍は3月14日、沖縄・嘉手納空軍基地からKC-135を交代要員と50名のエンジニアとともに三沢基地に到着させたほか、ワシントン州・タコマのルイス=マコード統合基地から救助隊と機材を2機のC-17に乗せて輸送した。
3月16日、嘉手納基地の空軍第320特殊戦術飛行中隊は、C-130で移動し、残骸撤去が進んでいた航空自衛隊松島基地に着陸。
その後、津波により甚大な被害を受けた仙台空港に陸路で向かい、空港の保守業者などと協力し、滑走路上の残骸を除去し、臨時の航空管制を開始した。
そして滑走路の確保された部分を使い、MC-130を用いて、航空輸送を開始した。
後にこの作業に海兵隊が投入され、米軍はこの空港を使っておよそ200万tの水や食料、毛布を被災地に運んだ。
アメリカ陸軍
アメリカ陸軍は在日アメリカ陸軍が保有するUH-60数機を救助活動に投入した。
3月14日にはアメリカ本土の第1軍団から救助部隊が到着し、補給のための前進後方支援拠点を構成した。
4月21日からはいわゆる「ソウルトレイン作戦」という名称で、自衛隊と共同で、JR仙石線の駅や線路に流れ込んだ残骸の除去作業を行った。
アメリカ兵の放射線被曝
3月14日、救援のために三陸沖に展開中の「ロナルド・レーガン」搭載のヘリコプター要員17人が低レベルの放射線を被曝したとの報告が入った。
そのとき、「ロナルド・レーガン」は福島第一原発の北東約160kmを航行しており、被曝したヘリ要員はヘリ3機に分乗して、仙台市付近で救助活動を行った後、<ロナルド・レーガン>に帰艦した。
これを受けて海軍は同空母など展開中の艦船を福島第一原発の風下から離脱させた。
福島第一原発事故への対処
4月2日、3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故に対応するため、海兵隊の即応部隊「CBIRF」が派遣され、横田基地に先遣隊15人が入った。
そして4日までにCBIRF本隊を含む約150人がそろい、同時にアメリカ軍による行方不明者捜索活動は縮小され、以降、福島第一原発事故への対応や復興支援の段階へ移行した。
作戦終了
アメリカ政府はこの作戦の予算が最大8000万ドル(約68億円)であることを日本政府に伝え、4月5日、「ロナルド・レーガン」は作戦を終了し、2隻の護衛艦とともに東北沖を離れ、4月30日、現場でのトモダチ作戦としての支援活動をほぼ終了した。
日本政府や被災地住民はアメリカ軍に謝意を示し、米軍基地が数多く存在する沖縄県では、アメリカ軍や日米安保条約に好意的な意見もあるが、「在日米軍が普天間飛行場の地理的優位性や在沖海兵隊の存在意義などをアピールしており、不謹慎だ」などの批判もあり、この作戦に対する批評はそれぞれである。
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