『空の大怪獣 ラドン』のラドン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 07:48 UTC 版)
「ラドン (架空の怪獣)」の記事における「『空の大怪獣 ラドン』のラドン」の解説
水爆実験の放射能や火山ガスによる異常気象の影響で現代に復活した。劇中でプテラノドンとの関連性を示すような発言があるが、直接は明言されていない。 阿蘇山付近の炭坑の奥にある洞窟で卵から2体の雛が誕生し、古代トンボの幼虫メガヌロンを捕食していた。成長した1頭が阿蘇山から出現し、航空自衛隊のF-86戦闘機と大規模な空中戦を展開して追撃を振り切った後、佐世保や福岡に降り立って暴れ回る。このとき、口から煙のようなものを吐いており、パチンコ屋に突っ込んだタンクローリーを爆発炎上させている。 陸空両自衛隊からの猛攻によって危機に陥ったところにもう1頭が出現するが、最後は帰巣本能で阿蘇山へ帰ってきたところに自衛隊のミサイル攻撃を受け、その影響で阿蘇山が噴火して2頭のラドンは脱出するもマグマの噴出に巻き込まれ、溶岩の中に消える。 スーツアクターは中島春雄。 巣の描写や餌の存在など、核を象徴したゴジラよりも、生物としての描写が強調されている。また、ラドンの破壊描写はゴジラのような暴力性ではなく、人間の攻撃に対する苦悶の表現ともなっており、ラドンも被害者であるとの面を示唆している。 シナリオ上の設定でプテラノドンは「中生紀に生息した飛竜の一種で空飛ぶ始祖鳥としては最大のもの」とされている。 ストーリーの前半は、炭鉱での殺人事件の捜査に費やされ、ラドンが登場するのは後半に入ってからである。 作中ではラストシーンになるまでラドンが2頭いるという明確な描写がない。一応の伏線は張られているが、世界各地で未確認飛行物体による被害が同時に出ているという電話を航空自衛隊の基地司令室で新聞記者が本社から受け取るという非常に分かりづらい演出のため、海外公開版では2頭いることを説明するシーンが追加されている。最初期の準備稿では、登場するのは1頭のみであった。脚本を担当した村田武雄は、2頭は夫婦であると述べており、監督の本多猪四郎や特技監督の円谷英二らも同様の認識であったという。 黒沼健による原作では、凍結爆弾によって倒されるという展開であった。また、同作品のラドンは肺とエラを持つ水陸両生生物であり、海中に潜んでいるという描写が存在する。 撮影時のアップ写真は存在しない。 デザイン・造形 本作品のラドンは背中に緑と黄色のラインが入っている。デザインは数回にわたって検討され、「始祖鳥タイプ」、「鳥の羽をつけたもの」、「翼竜タイプ」の検討用粘土モデルが作られている。初期のデザインスケッチには始祖鳥をモチーフとしたものも存在していたが、後には翼竜をモチーフとしたものに変更された。 頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄による。スーツの翼は、天竺布にラテックスを塗っているため重量があり、人の手では支えられないため、炭火で炙って曲げた竹を入れて支え、さらにピアノ線で吊っている。 造形物はスーツのほか、上半身のみのギニョールとサイズの異なる飛行モデルが数種類作られた。東宝特撮映画で怪獣の飛び人形が制作されたのは本作品が初であり、布ベースのものや針金の芯に紙を貼ってラテックスを塗ったものなどが用いられたとされる。ラストシーンは、ピアノ線が切れて落下する様子がそのまま用いられた(空の大怪獣 ラドン#特撮参照)。 子供のラドンは、手踊り式のギニョール・モデルで表現されている。 ラドンの飛行により発生する飛行機雲は、作画合成で表現された。 演技 演じる中島は、鳥の動きを研究し、初出現シーンでは毛づくろいのように翼をついばむ動きを取り入れている。一方で、足の形が鳥のような逆「く」の字にはならないため、足元が映らないよう意識していた。 岩田屋の上に出現するシーンや西海橋をくぐるシーンなどでも中島が入ったままスーツを吊っている。西海橋のシーンでは、ワイヤーが空回りして7メートルほどの高さから落下する事故が起きたが、下に水を張っていたため大事には至らなかった。中島は、翼があったことも無事であった要因に挙げている。 自衛隊との戦闘シーンでは、ミニチュアのロケット弾による火や煙が覗き穴から入ってしまい、中島は唇に火傷を負った。後にその対策として、中に風防を入れたり、体に石鹸水を塗るなど試行錯誤を行ったという。
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