エマルション エマルションの概要

エマルション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/21 14:56 UTC 版)

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代表的なエマルションであるマヨネーズ

分離している2つの液体をエマルションにすることを乳化(にゅうか)といい、乳化する作用をもつ物質を乳化剤(にゅうかざい)という。

化粧品乳液を指すこともある。農薬ではエマルションと乳剤を区別し、有効成分を有機溶剤および界面活性剤に溶解した溶液(水と混合してエマルションにしてから使用する)を乳剤 (emulsion concentrate: EC) と呼ぶ。

呼称

古い文献などでは濁点のある「エマルジョン」という表記が多く、化学分野を中心に一般にも浸透しており[2]写真フィルム[3]などでは業界用語として定着している。

一方、日本工業規格では「エマルション」と表記するので、産業関係では濁点のない表記が定着している[4]

ただし、英語の発音を無理に片仮名で表記すれば、「イマァルシャン」が近い[5]

ときどき「エマルション液滴」という記述があるが、エマルションとは懸濁しているを指しており、媒中に分散した滴を指す言葉としては誤りである(「エマルションの状態を保った液体の液滴」という意味になってしまう)。

両親媒性物質とミセル

一般に、のように相互に混ざり合わない液体は、界面張力が大きいので液滴状に分散しても滴が合体することによって界面の面積を小さくする作用が働いて、最終的には二つの層に分離する。

分子構造のある部分と異なる部分が混ざり合わない溶媒(分散系)に対して親和性をもつ物質を両親媒性物質と呼ぶ。分散系に両親媒性物質を添加すると、この物質がそれぞれの溶媒に配向し界面を覆い尽くすように分布する。

一方の物質(混ざり合わない液体のうちの一方または両親媒性物質、またはその混合物)が粒状に会合し(異なる分子が層状に分布し)ている構造を「ミセル (micelle)」と呼び、両親媒性物質がミセルを形成すると液滴の分散系が安定化する。

両親媒性物質が分布することによって界面張力は低下し、特にイオン性物質の場合は電気二重層を形成して液滴間に静電反発力が働くなど、界面を保護するように作用するので、分散系の液滴は安定化する。

たとえば石鹸など陰イオン系界面活性剤は疎水性基を油滴側、カルボキシレートアニオン基を水側に向けて界面に配向することで油を水に可溶化する。一方、カルボキシレートアニオン基の負電荷は分極した水を引き付け、アニオン電荷と分極した水の電荷から構成される電気二重層を形成する。これによって油滴表面には同種の電荷が存在するので油滴どうしは反発し、エマルションは安定する。

臨界ミセル濃度

ミセルを形成するためには両親媒性物質(界面活性剤)が界面に一定量以上存在する必要があり、ミセルを形成するのに必要な最低限の界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度 (critical micelle concentration: CMC) と呼ぶ。この値が小さいほど界面活性剤としての能力は高い。

乳化剤

乳化剤(にゅうかざい、emulsifier)は、安定なエマルションを形成するために添加される両親媒性物質であり、一般には化学品の両親媒性物質である界面活性剤が用いられることが多い。食品用、化粧品用、工業用といった用途に合わせて様々な種類の乳化剤がある。

たとえば、マヨネーズにおいては、卵黄の脂質(リン脂質ステロール類など)が界面活性効果を表し、牛乳においては乳タンパク質が働くことで安定なエマルションを形成している。

水-油系エマルション

水-油系エマルションを形成する場合、油滴が水に分散する水中油滴(O/W型)エマルションか、油中水滴(W/O型)エマルションのいずれかの構成をとる。乳化剤の親水性と親油性の強度がどの程度であるかによって、どちらの状態をとりやすいかが決まる。温度変化などによってO/W型とW/O型との間を移り変わる転相と呼ばれる現象も見られ、その温度を転相温度(HLB温度)という。

親水親油バランス

乳化剤(界面活性剤)の親水性と親油性の相対的強度を表す指標として親水親油バランス(HLB値)が用いられている。HLB値が大きいほど親水性の強度が強い。乳化剤のHLB値が大きいと水中油滴(O/W型)エマルションを形成しやすく、小さいと油中水滴(W/O型)エマルションを形成しやすい。




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