グローバル・サプライチェーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 15:47 UTC 版)
「マルコム・マクレーン」の記事における「グローバル・サプライチェーン」の解説
マクレーンのコンテナリゼーションの利点が明らかになると、競合他社は直ぐに適応している。他社はマクレーンよりも大きな船、より大きなガントリークレーン、より洗練されたコンテナの製造を開始する。1965年の時点でニューヨーク港の年間取扱量は195万トンであったが、翌年は最初の2か月で260万トンを記録し、取扱量は急激な右肩上がりとなった。同時期、国際運行を行っていたのは僅か3社のみであったが、翌年には60社が参入している。このためシーランドは競争力を維持するため現金が必要となった。マクレーンは、自社のトラックがレイノルズのタバコを米国中に輸送していた際、R.J.レイノルズ・タバコ・カンパニーに着目している。1969年1月、レイノルズはシーランド社を5億3,000万ドルの現金と株式で購入することに合意。マクレーンは1億6,000万ドルの売却益を得ており、レイノルズの取締役に就任する。レイノルズは買収を完了させるため、1969年5月に持株会社R・J・レイノルズ(R.J. Reynolds Industries Inc, RJR)社を設立。同年、シーランドは後にアルゴル級車両貨物輸送艦(英語版)(SL-7)クラスとなった、世界で最大かつ最速のコンテナ船「シーランド・ギャロウェイ」を含む8隻の発注を行っている。 レイノルズ傘下でのシーランドの利益は断続的であった。1974年末までにレイノルズはシーランドに対し10億ドル以上投資し、ニュージャージー州と香港に巨大な貨物ターミナルを建設し、コンテナ船も増強している。シーランド最大の経費は燃料費であったため、1970年にRJR社は「アミノイル(英語版)」として知られるアメリカン・インディペンデント・オイル(英語版)社を5,600万ドルで買収している。RJR社は数百万ドルを石油採掘に費やしており、アミノイルを世界の採掘市場で競争するのに十分な規模にまで拡大させている。 1974年、RJR社は最高の年を迎えている。シーランドの収益は10倍近くまで増加し1億4,500万ドルに達しており、アミノイルの収益は8,630万ドルにまで急増している。金融格付け機関のダン&ブラッドストリート(英語版)は、RJR社をアメリカで最もよく管理されている5つの企業の1つに挙げている。しかし、1975年シーランドの収益はアミオイルの収益と共に急減している。この2年後、1977年にマクレーンはレイノルズの取締役会は官僚的であったとして辞任し、レイノルズ社との関係を断ち切っている。マクレーンは「私は起業家であり彼らは経営者であった」と残している。 1984年6月、RJR社は、ニューヨーク証券取引所で独立した株式公開会社として、シーランド社の株式分割を行っている。この年シーランドは28年の歴史の中で最も高い収益を計上した。 1986年9月、シーランド社は貨物鉄道企業CSXトランスポーテーションの子会社、アクイジョン(CSA Acquisition Corp.)と合併。シーランド社の株式は、1株当たり28ドルの現金に交換されている。 シーランドの国際部門は1999年、デンマークの海運企業、A.P. モラー・マースクに売却され、合併後に企業名はマースク・シーランドとなり、2006年には単にマースクラインとして著名となる。国内部門はホライゾン・ラインズ(英語版)として運行されており、米国本土からアラスカ、ハワイ、プエルトリコ、およびグアム向けの輸送を行っており、これは全米船舶輸送数の約36パーセントを占める。本社はノースカロライナ州、シャーロットに所在する。 コンテナの登場により港湾の勢力地図は容易く塗り替えられ、大手資本の参入により船舶は年々大型化し、大量輸送により輸送コストは考慮する必要性が無いほどまでに低下しており、その後、供給多可になった海運業界は値下げ競争に突入したことで体力を失い、身売りや買収などの業界再編が起きている。石油ショックによる貿易の低迷や紛争による原油価格の上昇は燃油サーチャージ制度ができたものの容易く運賃に転嫁することができず、シーランドが所有するSL7など燃費効率の悪い船舶は採算割れを起こし売却される結果となった。 1990年代に入り世界的な製造工場の海外移転に伴い中国、マレーシア、タイが巨費を投じ大型コンテナ港の建設を行っており、現代ではコンテナ全体の4分の一が中国から出荷された物となっている。2010年にはコンテナ取扱量でシンガポールを抜き上海港が首位に立っている。
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