SL北びわこ号とは? わかりやすく解説

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SL北びわこ号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/25 00:12 UTC 版)

SL北びわこ号
SL北びわこ号(2012年2月)
概要
種類 普通列車[1]
現況 運行終了
地域 滋賀県
運行開始 1995年平成7年)8月19日[2]
運行終了 2019年令和元年)11月10日(事実上)[3]
旧運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
路線
起点 米原駅
終点 木ノ本駅
使用路線 北陸本線琵琶湖線
技術
車両 12系客車網干総合車両所宮原支所
C56形蒸気機関車梅小路運転区
C57形蒸気機関車(梅小路運転区)
D51形蒸気機関車(梅小路運転区)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 直流1,500 V[注 1]
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SL北びわこ号(SLきたびわこごう)は、かつて西日本旅客鉄道(JR西日本)が北陸本線米原駅 - 木ノ本駅間で運行していた、蒸気機関車(SL) 牽引による臨時列車[1]である。

概要

滋賀県湖北地域観光振興とSLの動態保存運転を目的とした列車で、1995年平成7年)8月19日に運行を開始した[2]。運行開始から2010年(平成22年)までの乗車人数は25万人にのぼり、米原市の弁当屋「井筒屋」で記念弁当も発売された[4][5]

運行概況

2月10月および11月日曜日祝日ゴールデンウイークなどに運行されていた[注 2]。なお、運行時季によってヘッドマークのデザインが変更されていた。

運行開始当初から1997年(平成9年)11月24日までは米原 - 木ノ本間を2往復または、3・4号のみの1往復運行をしていたが、1998年(平成10年)5月3日から2003年(平成15年)8月までは下り米原発木ノ本行きが2本、上り木ノ本発米原行きが1本の運行となっていた。同年11月8日より下り列車のみ2本運行[注 3]となった。なお、2018年(平成30年)のD51 200投入の影響により、3号は廃止され、下り1号のみの運行となることが発表された。

木ノ本駅構内に転車台がないため、上下列車が運行されていた当時は、上り列車はSLが同駅構内で機回しを行い、逆機客車を牽引していた。しかし、最高速度が45 km/h(正方向時は75 km/h)に制限され、定期列車の本数の多い北陸本線ではダイヤ上の制約が大きく、定期列車への影響が出やすいために[注 4]、2003年(平成15年)11月8日からは機回しを行わず、宮原総合運転所(現・網干総合車両所宮原支所)所属のDD51形ディーゼル機関車を米原方に連結し、SLを木ノ本方に連結した状態で米原駅へ回送する運行形態に変更した。2007年(平成19年)10月21日からは下関車両管理室(現・下関総合車両所運用検修センター)所属のEF65形電気機関車を使用して回送している[6]。また、2016年(平成28年)度の春季運行初日である5月8日には、「トワイライトエクスプレス」色のEF65 1124が回送で牽引した[7]

2020年令和2年)に、新型コロナウィルス感染症感染拡大の影響により運行休止が発表され、翌2021年(令和3年)5月21日には、使用している客車の換気能力不足[注 5]および客車そのものの老朽化を理由に、列車自体の運行終了が発表された[3]2019年(令和元年)11月10日が事実上の最終運行日となった。

2021年(令和3年)9月30日から10月5日まで、京都鉄道博物館のSLスチーム号を利用し、C56 160が牽引する「SL北びわこ号」のラストランが行われた[注 6]。このうち10月3日は、2020年(令和2年)の運行開始25周年の記念事業として企画されていた地元小学生らによる、3種類の公募ヘッドマークを取り付けて運行。

停車駅

米原駅 - 長浜駅 - 虎姫駅 - 河毛駅 - 高月駅 - 木ノ本駅

※ 運行開始当初は、坂田駅および田村駅にも停車していた。

使用車両

通常、牽引機関車には梅小路運転区所属のC56 160が使用されたが、同機が検査や故障などのために使用不可能だった場合、冬季運行の3月初旬に運行がある場合には、同じ梅小路運転区所属で「SLやまぐち号」を牽引するC57 1が牽引することがあった。なお、C57 1は1996年(平成8年)1月27日に本列車の牽引を開始した。かつて、1996年(平成8年)・1997年(平成9年)・1998年(平成10年)の冬季運行時期にこの2両で重連運転されたこともあった。また、C57 1牽引での2015年(平成27年)2月17日の試運転中に不都合が生じ運行が危ぶまれていたが、修理完了により同年3月1日に運行されたこともある[8]。C56 160による牽引は、2018年(平成30年)5月27日をもって終了した[9]。同年夏以降はD51 200による牽引に変更される予定[10][11][12][13]だったが、平成30年7月豪雨などの影響により、同月15日以降同年内の運行はすべてC57 1による牽引に変更された[11][14]。2019年(平成31年)3月10日にD51 200による牽引が開始された[15][16]

客車は、網干総合車両所宮原支所所属の12系客車5両編成[注 7](2010年〈平成22年〉3月13日付で京都総合運転所〈現・吹田総合車両所京都支所〉から転属)が用いられる。かつてSLやまぐち号で使用されていた「レトロ客車」と異なり、オリジナル仕様の12系客車である[11]。全車座席指定席となっている[11]

脚注

注釈

  1. ^ ただし、蒸気機関車が牽引する。
  2. ^ 春季運行は5月の日曜日、夏季運行は7月下旬と8月の日曜日、秋季運行は10月の中旬と11月の日曜日、冬季運行は3月の日曜日となっていた。ただし、1月に冬季運行が行われたこともある。
  3. ^ 「SL北びわこ1号」米原駅(10時9分)発、木ノ本駅(10時52分)着/ 「SL北びわこ3号」米原駅(13時16分)発、木ノ本駅(14時)着
  4. ^ このほか、乗客に木ノ本駅周辺での観光の時間にゆとりを持ってもらうためであることも、理由として挙げられる。また、一部のウェブサイトや文献では、木ノ本駅の構内配線が変更された(機回しに使用できる線路が撤去された)ため、機回しが行えなくなったとあるが誤りである。
  5. ^ 京阪神地区の在来線ではコロナの類型見直しによる対策の原則撤廃により、換気のため停止していた開閉ボタンの使用を2023年6月から再開している。
  6. ^ ただし最終日である10月5日のみ、牽引機をC62 2に変更。
  7. ^ 1号車はスハフ12 129、2 - 4号車はオハ12 341・345・346・352の4両のうち、いずれか3両、5号車はスハフ12 155。木ノ本方が1号車。

出典

  1. ^ a b 通過駅があるが、時刻表ではSL列車・全席指定のみで「快速」マークが付されていない(『全国小型時刻表』(交通新聞社)2018年7月号、「夏の臨時列車案内」付録 p.58。)。
  2. ^ a b “湖北路にドラフト音 JR北陸線米原-木ノ本間 SL「北びわこ号」特別運転”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年8月24日) 
  3. ^ a b “関西唯一、SL北びわこ号の運行終了へ 窓開けられず感染対策の困難やコスト増加で”. 京都新聞. (2021年5月21日). https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/568827 
  4. ^ 2010SL北びわこ号の運行計画”. 交通政策課. 滋賀県. 2010年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月11日閲覧。
  5. ^ ">“SL北びわこ乗客25万人へ 米原駅で記念駅弁発売”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2010年9月25日). オリジナルの2013年9月27日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/ukM7s 2016年10月11日閲覧。 
  6. ^ “SL北びわこ号”上り回送列車のけん引機が変更”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2007年11月28日). 2016年5月10日閲覧。
  7. ^ EF65 1124が"SL北びわこ号"の回送をけん引”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2016年5月9日). 2016年5月10日閲覧。
  8. ^ "SL北びわこ号をC57 1がけん引”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2015年3月1日). 2016年5月6日閲覧。
  9. ^ “JR西日本「SL北びわこ号」C56形160号機ラストラン! 木ノ本駅も混雑”. マイナビニュース. (2018年5月27日). https://news.mynavi.jp/article/20180527-slkitabiwako/ 2019年11月9日閲覧。 
  10. ^ C56形蒸気機関車の最終運転について(SL北びわこ号)』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2018年3月19日。オリジナルの2018年3月20日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180320143846/http://www.westjr.co.jp/press/article/2018/03/page_12102.html2018年3月21日閲覧 
  11. ^ a b c d “JR西日本「SL北びわこ号」蒸気機関車D51形で運転、12系客車も注目”. マイナビニュース. (2019年3月11日). https://news.mynavi.jp/article/20190311-slkitabiwako/ 2019年11月9日閲覧。 
  12. ^ JR西日本,5月27日でC56 160による“SL北びわこ号”のけん引を終了”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年3月20日). 2018年3月21日閲覧。
  13. ^ “SL北びわこ号”,C56による最終運転”. railf.jp. 鉄道ニュース. 交友社 (2018年5月28日). 2018年5月29日閲覧。
  14. ^ “「SLやまぐち号」、豪雨の影響で当面運休 C57形は「SL北びわこ号」に充当” (日本語). トラベルメディア「Traicy(トライシー)」. (2018年7月10日). https://www.traicy.com/20180710-slyamaguchi 2018年7月12日閲覧。 
  15. ^ “西日本豪雨で遅れたが…SL北びわこ号、D51デビュー”. 朝日新聞デジタル. (2019年3月10日). https://www.asahi.com/articles/ASM3B559MM3BPQIP008.html 2019年11月9日閲覧。 
  16. ^ D51 200が“SL北びわこ号”をけん引”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2019年3月12日). 2019年3月16日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク

  • [1] 「SL北びわこ号」の運行終了について- 西日本旅客鉄道

SL北びわこ号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 02:21 UTC 版)

琵琶湖線」の記事における「SL北びわこ号」の解説

1995年から10月および11月日曜日祝日ゴールデンウイークなどに米原駅 - 木ノ本駅間で臨時列車「SL北びわこ号」が運行されていた。通過駅があるが、列車種別快速ではない。2019年11月10日運行最後となった

※この「SL北びわこ号」の解説は、「琵琶湖線」の解説の一部です。
「SL北びわこ号」を含む「琵琶湖線」の記事については、「琵琶湖線」の概要を参照ください。

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