DINOSAUR (B'zのアルバム)
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ナビゲーションに移動 検索に移動『DINOSAUR』 | ||||
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B'z の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 2016年 - 2017年 ![]() ![]() |
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ジャンル | ハードロック[2] ブルースロック[2] ポップ・ロック[2] J-POP |
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時間 | ||||
レーベル | VERMILLION RECORDS | |||
プロデュース | 松本孝弘 | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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B'z アルバム 年表 | ||||
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『DINOSAUR』収録のシングル | ||||
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ミュージックビデオ | ||||
「Dinosaur」 - YouTube 「CHAMP」 - YouTube |
『DINOSAUR』(ダイナソー)は、B'zの20作目のオリジナル・アルバム。2017年11月29日にVERMILLION RECORDSより発売[10][11]。
目次
概要
B'z結成30周年突入時に発表された、B'zとして通算20作目となるオリジナル・アルバム。「30周年」「20作目」という記念アルバムであるが、メンバーは制作時には全く意識しておらず、後からスタッフに「節目です」と指摘されて気付いたと振り返っている[12]。また、発売から約1年半後に元号が平成から令和に改元されたため、本作が平成に発売された最後のCD作品となった。
オリジナル・アルバムとしては、前作『EPIC DAY』から2年8ヶ月ぶりとなる。53rdシングル「声明/Still Alive」や、「B'z×セブン-イレブンフェア」のTVCMソングとして先行公開されていた「CHAMP」を含む13曲を収録している。2015年リリースの52ndシングル「RED」、2016年リリースの配信シングル「世界はあなたの色になる」、「フキアレナサイ」は未収録となっている。
初回限定盤に付属する特典DVDおよびBlu-ray Discには、2017年8月に開催された野外ロックフェスティバル『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』に出演した際のライブ映像を完全収録している。
2018年に結成30周年記念として今まで発売されたオリジナル・アルバムと共にアナログレコード化された[13]。
アルバムタイトルについて
アルバムタイトル『DINOSAUR』は、日本語で「恐竜」という意味であるが、転じて「古くて時代遅れなもの」という意味もある。
今回のアルバムの方向性として、ディープ・パープルのような「70年代ハードロック」をイメージして制作が進められていた。その中で稲葉は、チーフマネージャーから「B'zは日本で唯一のハードロックバンドと言われているらしい」「日本ではB'zの他に誰もハードロックをやらない」という話を聞く。そして、アルバム制作のキーワードとして「DINOSAUR」という言葉が出てくることとなった。ドラマーのシェーン・ガラースから「『DINOSAUR』は、時代遅れのものという意味があり自虐的に聞こえる」という話をメンバーは聞いたが、「自分たちがそこに楽しみを見出してやる」「古いけど、こういうのもありますよ、的な感覚で」とポジティブに捕らえ、また「DINOSAUR」という言葉は姿形もイメージしやすくわかりやすいということもあり、「DINOSAUR」がタイトルに採用された。ちなみに「○○DINOSAUR」などと言葉を付け加えたタイトル案もあったそうだが、松本が「シンプルでいいんじゃないか」と提案し「DINOSAUR」になった[14]。
稲葉は後のインタビューで、「DINOSAUR」の歌詞は自分たちを例えて制作したわけではなく、「DINOSAUR」という歌詞が出来上がった後に自分たちと重なることに気付き、アルバムタイトルにふさわしい、という流れになったと解説している[15]。
制作
2016年から2017年3月まで、メンバーはそれぞれソロ活動を行っていたが、B'zの楽曲制作もソロ活動の合間を縫って進められていた。本格的に制作がスタートしたのは2017年4月からである。本作では、松本が氷室京介の紹介を受けて知り合ったYukihide "YT" Takiyama(以下、YT)をメインアレンジャーとして迎え[16]、ハワイのレコーディングスタジオで松本、稲葉と、YTの3人によってプリプロダクションが行われた。その後ロサンゼルス、東京と場所を移しながら制作が進められた[1]。レコーディングの合間には7月から始まった「B'z SHOWCASE 2017 -B'z In Your Town-」ツアー、8月に参加した夏フェス、そしてお互いのソロライブを挟むというスケジュールだったが、実際はライブツアー前に稲葉以外の作業はほぼ完了しており、稲葉の歌入れが完了したのはライブツアー後だったという[15]。
B'zの作品では長年、ビーイングのギターテックチーム『FAT』が中心となり、FAT特製ギターアンプを初めとしたオリジナルの機材を用いて音創りが行われ、毎回「決まった機材を使って決まったやり方でレコーディングする」という手順であった。 今作ではその方法を見直し、様々な機材を試す方法がとられた。今までのレコーディングでも、ギターに関しては一曲ごとに様々なギターを試してベストなサウンドを選んでいたが、今回はそれに加えてアンプも相当な数を準備していろいろ差し替えたり、楽器の収録マイクの位置も細かく調整してレコーディングを行った[17]。
このようなレコーディング形態になった発端は、松本が今回のレコーディングに向かうにあたり過去のB'zのアルバムを聞き返した所からである。松本は『ELEVEN』や『ACTION』などのギターの音が気に入ったため、その時代の機材を確認すると『FAT』の機材もない時代で、当時は既成のメーカーのアンプを使っていたとのこと。そのため今回のレコーディングでは「当時使っていたアンプを使ってみよう」というアイデアが生まれ、その過程で倉庫に眠っていたままだったアンプや、稲葉から誕生日プレゼントに貰ったアンプなども含めて様々な機材をいろいろ試してみるという流れになった[15]。
リリース形態
- 通常盤
- CDのみの形態。
- 初回限定盤
- 「CD+DVD」及び「CD+Blu-ray」の形態。付属の映像ソフトには、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』2017年8月5日公演での、B'zのライブ映像を完全収録。
収録曲
CD
- Dinosaur (5:11)
- 本作の表題曲であるが、アルバムタイトルが全て大文字なのに対し、楽曲の方は頭文字のみ大文字となっている。
- アルバム制作過程の初期に制作された楽曲で、当初はシングル曲候補でもあった[12]。約1分46秒のイントロのうち、前半のギターパートは、松本によると「恐竜の雄叫び」をイメージしたもので、楽曲制作後に「頭にイントロダクション的なものをつけたい」という松本のアイデアで追加された[17]。本楽曲のベースのクレジットには、クリス・チェイニーとバリー・スパークスの2人がクレジットされているが、これは曲の本編のベースパートをクリスが収録し、後から追加されたイントロダクションのパートをバリーが収録したからである[15]。
- 松本はアルバムの全体的なサウンド創りについて「細かいことをしていなくても、ただパワーコードを鳴らしているだけで凄いインパクトがあるサウンド」と説明し、その例として本楽曲を挙げ「Dinosaurのコーラス(サビ)はただパワーコード鳴らしているだけ」と解説している[17]。
- 歌詞は先述の通り、「自分たちのスタイルは恐竜のように時代遅れ」という、稲葉曰くいい意味での開き直りをテーマにしている。また、稲葉によると「恐竜は誰も本物を見たことがない」と未知の部分が多い存在であることに着目し、そこから「頑張って生きてて、自ら進化しようとしている」というイメージを膨らませて歌詞を制作した[1]。
- PVは「進化」をテーマに、巨大なモノリスがB'zの演奏に共鳴しさらに進化を遂げていく様子をCGでビジュアル化している[15]。また、ミュージックビデオのイントロ部分で松本が使用しているランダムスターは、LOUDNESSの高崎晃と自身のファイヤーバードをトレードしたものである[14]。
- 映画『ジオストーム』日本語吹替版主題歌。B'zが洋画の主題歌を担当するのは、本楽曲が初となる。製作のワーナー・ブラザースは、「松本孝弘が奏でる激しいギターサウンドとボーカル、稲葉浩志の情熱がほとばしる歌詞で魅了するB'zしかいない」とオファー。それを受けたB'zサイドは、「昔ながらの男だが芯が強く進化していく主人公の姿が歌詞に登場するDinosaur(恐竜)に重なる」と感じ、本アルバム収録曲から「Dinosaur」を用意した。監督のディーン・デヴリンは「彼らの一貫したブレない音楽性は、本作の主人公、ジェイク・ローソンの生き方そのもののようで、出会うべくして出会った楽曲だと確信しました」などとコメントを寄せている[18][19][20]。
- CHAMP (3:36)
- 「B'z×セブン-イレブンフェア」および「セブンネットショッピング」TVCMソング。「Dinosaur」同様にシングル曲候補でもあった[12]。
- CMのために書き下ろされた楽曲。タイアップ先からは、「ultra soulみたいな曲」というリクエストがあった。
- 楽曲制作の前にはメンバーとセブン-イレブン側とで、セブン-イレブンの企業説明を兼ねた打ち合わせが行われた。企業説明ではコンビニエンスストア業界1位の業績グラフなどが提示され、「セブン-イレブンには業界最大手という自負がある」という信念をメンバーは聞く。作詞を担当した稲葉は、「1位の孤独感」「1位しか応援しない姿勢」というテーマがアイデアとして浮かび、独走している人にしかわからない誇り、自信、苦悩を想像しながら作詞したという[21][15]。B'zファンクラブの会報でのインタビューにて、インタビュアーから「聴く人によっては『B'zのことを歌っている』と思うのですが」と指摘された際に、稲葉は「(B'z自身のことを歌っていると)思われるだろうとは思っていたけど、それでもいいと思う。だけど自分の中ではないですね。自分では自分のことをCHAMPだと思わないですし」と回答している[15]。
- 発売に先駆け、2017年7月から開催された「B'z SHOWCASE 2017 -B'z In Your Town-」で演奏された。
- PVでは、上記のSHOWCASEでの模様に加え、過去のライブ映像も使用している。
- Still Alive (4:41)
- ハルカ (3:38)
- 松本のソロ活動の際に一緒にプレイしたスティーヴ・ビルマンが、ベーシストとして参加している。松本は当時ライブで一緒になった時のスティーヴのプレイを気に入り、松本の推薦で本楽曲と「Queen Of The Night」を演奏してもらった。この楽曲に至っては、わざわざ彼のためにベースソロパートを開けて待っていたという[17]。
- それでもやっぱり (5:15)
- 声明 (3:38)
- 53rdシングル「声明/Still Alive」1st beat。
- Queen Of The Night (3:22)
- 「Queen Of The Night」とは、日本語で植物の「月下美人」を意味する。
- 70年代の終わりから80年代の初頭ぐらいにかけて流行ったサウンドを意識して制作された曲。松本によると「当時リアルタイムで聞いていたこともあり、そういう匂いのする曲をやりたいと思った」と語っており[12]、「ハートも濡れるナンバー 〜stay tonight〜」(1988年リリースの1stシングル「だからその手を離して」のカップリング曲)の延長みたいなものとコメントしている[15]。
- アルバムツアーでは本作唯一の未演奏曲となった。
- SKYROCKET (3:34)
- ルーフトップ (3:53)
- 弱い男 (4:07)
- 愛しき幽霊 (4:47)
- King Of The Street (3:39)
- コーエーテクモゲームス製作アクションゲーム『真・三國無双8』テーマソング。
- 往年のハードロックスタイルの楽曲。当初は違うイントロだったが、松本が曲中で弾いていたギターリフのフレーズを稲葉が「イントロはこっちの方がいいんじゃない」と提案したため差し替えてみたところ、前のイントロよりもハマりが良かったということで現在のイントロになった[17]。
- ライブでは「ギリギリchop」以来となるプロペラ(タオルを頭上でブンブン振り回す)が取り入れられた。
- ちなみに、「Queen Of The Night」と「King Of The Street」という、同じアルバムの中に「クイーン」と「キング」が両方登場した曲名に関しては、稲葉は特に意図はなく、それについて認識していたものの放っておいたとのことである[15]。
- Purple Pink Orange (4:56)
DVD/Blu-ray Disc (初回限定盤のみ)
『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』2017年8月5日公演でのライブ映像。
タイアップ
シングル曲については各作品の項目を参照
- ワーナー・ブラザース映画『ジオストーム』日本語吹替版主題歌(#1)
- B'z×セブン-イレブンフェア TVCMソング(#2)
- 「セブンネットショッピング」TVCMソング(#2)
- コーエーテクモゲームス『真・三國無双8』テーマソング(#12)
参加ミュージシャン
- 松本孝弘:ギター、全曲作曲・編曲
- 稲葉浩志:ボーカル、全曲作詞・編曲
- Yukihide "YT" Takiyama:編曲(#1.2.4-13)、バックグラウンドボーカル(#7.8.10.12)
- 寺地秀行:編曲・ボーカルディレクション(#3)
- サム・ポマンティ:バックグラウンドボーカル(#8.9)
- トミー・クルフェトス:ドラム(#1.2.6.8.9.12)
- シェーン・ガラース:ドラム(#3-5.7.10.11.13)
- バリー・スパークス:ベース(#1.5.8-13)
- クリス・チェイニー:ベース(#1.2.6)
- トラヴィス・カールトン:ベース(#3)
- スティーブ・ビルマン:ベース(#4.7)
- ジェフ・バブコ:キーボード(#1.2.4-13)
- レニー・カストロ:パーカッション(#1.2.6)
- 斎藤ノヴ:パーカッション(#4.5.7.8.11-13)
- グレッグ・ベイル:サクソフォーン(#10)
- NORIHISA MATSUDA:ギターテクニシャン(#1.4.5.7-13)
- AKIHITO "AK" ONUKI:ギターテクニシャン(#1-3.6)
特典DVD/Blu-rayサポートメンバー
ライブ映像作品
シングル曲については各作品の項目を参照
Dinosaur
CHAMP
ハルカ
それでもやっぱり
SKYROCKET
ルーフトップ
弱い男
愛しき幽霊
King Of The Street
Purple Pink Orange
脚注
出典
- ^ a b c d 『音楽と人』2018年1月号、音楽と人、2017年12月5日。
- ^ a b c “B'z - Dinosaur (2017, CD)”. Discogs. Zink Media, Inc.. 2019年11月23日閲覧。
- ^ “【オリコン】B’z、通算28作目のアルバム首位 歴代1位記録を更新”. ORICON NEWS (オリコン). (2017年12月5日) 2017年12月5日閲覧。
- ^ “【ビルボード】B'z『DINOSAUR』が総合アルバム首位、安室奈美恵『Finally』の連覇にストップ”. Billboard JAPAN (阪神コンテンツリンク). (2017年12月6日) 2017年12月6日閲覧。
- ^ “オリコン月間 CDアルバムランキング 2017年11月度”. ORICON NEWS. オリコン (2017年12月13日). 2017年12月13日閲覧。
- ^ “オリコン月間 CDアルバムランキング 2017年12月度”. ORICON NEWS. オリコン (2017年1月12日). 2017年1月12日閲覧。
- ^ 年間アルバムランキング 1位~25位 オリコン 2017年12月23日閲覧
- ^ 年間アルバムランキング 91~100位 オリコン 2018年12月21日閲覧
- ^ “日本レコード協会 2017年11月度認定作品”. 一般社団法人日本レコード協会. 2017年12月11日閲覧。
- ^ “B'zアルバム「DINOSAUR」詳細発表、初回盤には熱狂の夏フェス映像”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2017年10月13日) 2017年10月16日閲覧。
- ^ “B'z、アルバム『DINOSAUR』詳細発表+特典に<ROCK IN JAPAN>映像も”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2017年10月13日) 2017年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e f 『GiGS』第461巻、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年11月。
- ^ “B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2018年3月22日) 2018年11月10日閲覧。
- ^ a b 『be with!』第115巻、B'z Party、2017年9月。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 『be with!』第116巻、B'z Party、2017年1月。
- ^ 【GOSPELS OF JUDASオフィシャルインタビュー】 GOSPELS OF JUDAS、氷室京介から受け継いだ音楽への思い。最新作を紐解く。. (インタビュー). ワーナーミュージック・ジャパン.. (2018年8月8日). p. 1 2019年9月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 『Player』2018年1月号、プレイヤー・コーポレーション、2017年12月5日。
- ^ “B'z、初の洋画主題歌 監督が絶賛「出会うべくして出会った楽曲」”. ORICON STYLE (オリコン). (2017年11月14日) 2017年11月14日閲覧。
- ^ “B'z、「Dinosaur」が映画『ジオストーム』日本語版主題歌に”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2017年11月14日) 2017年11月14日閲覧。
- ^ “B'z、30年目で初の洋画主題歌!監督「出会うべくして出会った」”. サンスポ・コム (産業経済新聞社). (2017年11月14日) 2017年11月14日閲覧。
- ^ 『be with!』第114巻、B'z Party、2017年6月。
- ^ 『Rolling Stone Japan』vol.01、ネコ・パブリッシング 、2017年12月25日。
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